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963 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
実家が葬儀用具の卸売をやってた。親父が確か4代目だか3代目。
俺は長男で跡継ぎだったんだけど、経営が傾いていたことと、
俺自身そんなに継ぐつもりもなかったので、親父が脳溢血で死にかけたのを機に会社を畳んだんだ。
寺とか神社とか、葬儀会社とかの直接な仕事じゃないとはいえ、
やっぱり人の死で稼ぐ商売、心霊的な話はチラホラ親父から聞かされてきたし、
たまーに俺も体験することがあったんだけど、その中で一番ヤバイ話。
会社を畳むことが決まって、家族で色々と片づけてた時だ。
事務所は親父の生家(随分前から住んではいないけど)だったから、
会社の在庫やら親父、おばさんの私物やらが沢山あった。
で、まだ使えそうだけど俺たちは使わないし、とはいえ捨てるのも勿体ない、
みたいなものを表に出して、欲しい人に持っていってもらおうって事になったのね。
住宅地だとたまにあると思う。
玄関に段ボールを置いて
「ご自由にお持ちください」
って、アレ。
964 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
事務所にはみんなが期待しているような呪いアイテムも当然あった。
ヤバイ具合に薄汚れた日本人形とか、人の手の皮?が張り付いたハサミとか、
でも、そういうものは、ちゃんと仏壇の横に整理してあって、
そういうのは親父が管理して、後日神社に持っていく手筈になっていた。
一つ一つ丁寧に紙に包みながら親父が
「このハサミは○○が九州のお客さんが死んじゃったからってんで
預かって来たんだけど、△△が触ったら手から離れなくなってな!
どうしようもなくなって神社にいって、祈祷しながら無理やりはがしたんだよ!
そのゴミみたいな奴、○○の手の皮だぞ。俺以外は触るなよ~」
とか説明するもので、俺はこの会社継がなくて本当によかったとか思ってた。
それでも親父が言うには、本当にヤバイ話は”伝染する”ということで、
継がないなら俺たちには話さないということだった。
で、それから数日経った頃、親父が俺に電話かけてきたんだよ。
「お前、紅い、牡丹柄の手鏡を見なかったか?」
って。
965 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
なんでも、呪いアイテムは全部帳簿管理して、定期的に懇意にしてる神社に
持ちこんでたんだけど、あったはずの手鏡が無いんだと。
んで、見た目には綺麗な漆塗りの上等なものだから、
間違えて「ご自由ボックス」に入れたりしてないだろうか、
ということだった。
いつもあっけらかんとしてる親父の切羽詰まった感じの声に、
それはどういうものなのか、どんな由来のあるものなのか?
って聞いたら、
「いやー、これはしかしだなー、うんー」
とか言いだすので、あ、これはヤバい話なのかもしれない。
と思って、詳細を聞くのはやめといた。
とりあえずボックスに入れた記憶は無いので、
忘れた方が良いんじゃないか?って言ったんだけど、
もし万一外に出たら死人が出ちゃう。
家の中にはあると思うから、再度探してみる。ってことでその場は終わった。
967 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
さらに後日、俺とは別の土地で一人暮らしをしている姉に会う機会があった。
姉は父に似て豪放磊落というか、
「ガッハッハ」
と笑うタイプの女性だったんだけど、妙に暗く、ボソボソと喋るようになっていた。
何かしゃべる前に必ず
「ごめんね」とか、ネガティブなワードを付けてくる感じ。
あと、何故か所々に敬語が混じるようになっていた。
「ごめんね、”弟”メニューとってください」
とか。そんな感じ。
正気を失ってる!とかいうほどではなかったんだけど、
顔色も良くなかったし、言っちゃ悪いがデブだったのに、
結構なホッソリさんになっていたこともあって、何か精神的に病んでいるのでは?と思って、
分かれて直ぐに母に相談したら、
「直ぐに会いに行く!」
といって、様子を見て、ヤバそうならしばらく姉と暮らす!と言っていた。
実は姉は学生時代に拒食症→過食症→リストカットの3連コンボをキメた過去があって、母は姉に対して少し過敏になっている部分があるんだ。
今思えば、俺は姉ちゃんの様子がおかしいって、親父に相談すべきだった。