本文
14 :1:2012/07/25(水) 10:21:13.93 ID:oXvoMXMZ0
子供のころの話で、しかも自分の体験じゃないんだけど
毎年、夏になると父方の祖父母の家に遊びに行ったのね。
夏以外も行ったんだけど、夏は必ず毎年行った。
父はいないこともあったけど、母と兄と姉と私は必ず。
祖父母と母は、特に祖母が母を大事にしてる感じだったから、
血縁が無いとかあんまり気にしたことなかった。
祖父母の家の裏は山があって、祖父の持ち物らしいんだけど
私たちは祖母に『おじいちゃんかお母さんと一緒のときじゃないと
絶対に入っちゃ駄目』って言われてた。
祖母は足が少し悪かったから、山には入れなかったんだ。
山で竹の子採ったり山菜採ったり栗採ったり柚子採ったりね。
15 :2:2012/07/25(水) 10:31:02.06 ID:oXvoMXMZ0
で、その年は父が仕事の都合であとから来るっていってて、
母と私たちだけで先に祖父母の家に行ってた。
兄はもう小学校高学年だったから、ばあちゃんの言うこときかないで
山に勝手に入ったりしてた。
父が来る日、母が駅まで父を迎えに行って、退屈した私たちは
3人で、山に入っちゃったんだ。
兄がこっそり入ってるのはばあちゃん知ってたらしくて
兄は『迷子になったら大変だからやめなさい』って言われただけだって
言ってて、私はともかく、兄と姉はもう小学校高学年だったから
『大丈夫だよね』って言いながら。
17 :3:2012/07/25(水) 10:39:15.23 ID:oXvoMXMZ0
山に入って5分もしないうちに、姉が『けっこう人いるんだね。
うちの山なのに…勝手に入ってるのかな』って言い出した。
人なんかいないのに。
直後、姉が『ぎゃーーーーー!!!!』って叫んだ。
兄も私も何がなんだかわかんなくて、逃げる姉を全力で追いかけた。
兄が姉を捕まえた時には姉はもう涙ボロボロ流して
『なんで…お兄ちゃんたち…見えないの?あれ…なにあれ…』って
言ってたけど、指差す方見ても木しかない。
兄が家に戻ろうと言ったので兄と姉と3人で、手をがっちり握りながら
ばあちゃんちまで帰った。
山に入って5分くらいで姉がテンパり出して、10分くらいしか山にはいなかったのに
家に戻ったら5時間くらい経ってて、既に到着してた両親にすごく怒られて
山に入ったことを告げると祖父母まで怒り出し、1時間説教された。
19 :4:2012/07/25(水) 10:48:09.16 ID:oXvoMXMZ0
兄と姉は怒られても『あれはなんなの?』と食い下がった。
山の持ち主はじいちゃんだったし、じいちゃんが一番怒ってなかったから
じいちゃんにきいてた。
でもじいちゃんの答えは『おりゃ見たことねえからわかんねえ』。
翌日になっても兄がしつこくきくので、とうとう根負けした祖母が話してくれた。
要約すると、『ばあちゃんの血筋は見える』ものなんだと。
不思議なことに、じいちゃんや母が一緒だと、全く見えなくなる。
でも父も昔友達と一緒に入って、姉とまったく同じ目にあったらしい。
それ以来、父は山には滅多に入らないし、そういえば父が山に入ったのを
見た覚えも無い。
祖母は足が悪い以前に山へは入れないらしい。
兄は納得したのかわからないけど、私はもう姉の取り乱しっぷりが怖すぎて
絶対山には入らないと決めた。
21 :5:2012/07/25(水) 11:01:18.09 ID:oXvoMXMZ0
それ以来山には母と一緒でも絶対入らなかったけど、
中学生のときに祖父母の家に行ったときに外で花火をしてるとき
猫がいたので追いかけていったら、山の際まで行ってしまったことがある。
気付かないで猫を撫でていたら、視界に足が見えた。
爪が無い。なんか黒くて骨ばっている。
よせばいいのに顔を上げてしまった。
今でも鮮明に思い出せる。
元は白だったのかわからない薄汚れた浴衣?みたいなのをきた
推定・女、
笑っている口元が開いてるけど歯がない。
そんなことより目がない。
『ぎゃあああああああああ』と叫んでみんなのところに逃げ、
かたかたしながらみんなに説明すると、姉も父も祖母も
『ああ、それw』と軽く言われて、慣れきっている家族にゾッとした。
『別に悪さするわけじゃないからほっときなさい』と祖母に言われた。
その後も祖母の家に行くたびに何パターンか見るようになった。
姉に至っては今はもう祖母の家以外でもいろいろ見るらしい。
祖父はもう他界してしまったけど、母は今も定期的に祖母の家に行っているし
祖母の血を引きながら今だ30年以上何も見えない兄もよく行っている。
将来は兄が相続するらしい。
文章にすると全く怖くなかったけど、私は未だにあの山は入れないよ。