263 :本当にあった怖い名無し:2010/02/27(土) 02:06:47 ID:BgqnUARj0
5/7
車両連結部のドアを開け閉めしているような音だ。その音
がだんだん近づいてきているような気がした。ヤバイ、何
かが来る!言葉では言い表せないような劣悪な波動?を感
じて俺は先頭車両のほうへ移動した。女子高生の前を通り
過ぎた。視線を向けずにいたが、すでにバラバラだったの
がわかった。
そして1番先頭の車両に着いた。空気が異様に冷たい。俺
は運転席のドアを開けようとしたがビクともしない。とい
うか運転手がいない。。。と、電車がトンネルに入った。
外は真っ暗だ。え?トンネル?当然、この路線にはトンネ
ルはおろか高架すら無い。車内の電気が消え非常用の赤色
灯?になった。
バタン!
咄嗟に振り向くと連結部のドアを開け車掌?が入ってきた。
さっきからこっちへ向ってたやつだ。暗くて顔が見えない。
手には金属製の長いアイストングス(氷を挟む道具)のよ
うなものと、黒い大きな布袋を持っている。袋の中では何
かがゴソゴソと動いている。。。
ヤバイ・・・見つかった!
264 :本当にあった怖い名無し:2010/02/27(土) 02:08:33 ID:BgqnUARj0
6/7
どんどんと車掌がこっちに近づいてくる。本能が逃げろと
言ってるが体が動かない。情けないことに失禁寸前だった。
車掌は無言で接近してくる。もうダメだと思った瞬間、俺
の体を車掌がすり抜けた。
え・・・?
と、同時に強烈な、しかも妙に懐かしい匂いがした。
「まだ早えーよ」
そう聞こえたかと思うと、車掌は運転席に入って行った。
パァァァァ・・・ン
いきなりすごい日差しが車内に入ってきた。眩しくてしば
らく目が開かなかった。
新○浜ぁ~新○浜です。市営地下鉄をご利用の方は・・・
265 :本当にあった怖い名無し:2010/02/27(土) 02:09:40 ID:BgqnUARj0
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アナウンスで俺の降りる駅名が流れた。ほどなく駅に着き、
俺は茫然としながらもなんとか降り、ヘナヘナとホームの
ベンチへ座り込んだ。一体今のは何だったのか・・・夢だ
ったのだろうか・・・時計を見ると1時10分だった。電車に
乗ってからちょうど30分。いつも通りだ・・・
数年ぶりに起こった「あっち側の出来事」にヘトヘトになり
ながらも、あの車掌について考えた。乗客はわかる。たぶん
飛び込んだ人達だ。しかしあの車掌だけはどうしても納得が
いかなかった。あの匂い、ふいんき、あれはまさに俺自身だ
ったんだ。
どういうことだ?俺は将来、あっち側の車掌になるのか?そ
れに「まだ早い」と聞こえたが・・いつか俺が飛び込むとい
うことなのか?ふと足元の靴を見たら裏にベットリとドス黒
いものが貼りついていた。すぐに靴屋で新しい靴を買い、そ
れは捨てた。
幸い今は勤務先が変わり、Y浜線は使っていない。しかし今
でも一体あれは何だったんだろうと謎のままだ。