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551 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 01:55:39.56 ID:WXkp8cckI
突然だが、"階段怪談"って遊び、知ってる人いるか?検索してヒットしないから、多分俺の町だけの話なんだろうけど、それについての洒落にならん話を一つ。
俺がその遊びを知ったのは小学6年の頃だった。
俺は普段、5年から同じクラスだったABCと男子4人でつるんでいて、クラスでは結構うるさい方だった。
4人とも凝った遊びが好きで、秘密基地作りや、心霊関連ではコックリさんなんかは序の口、近所の墓地に肝試しに行ったりもしていた。まあ、普通のゲームとかもしてたけどね。
"階段怪談"の話は何処からともなく広まって、学年中の噂になった。
もちろん俺達は、
「どうする?やるか?」
「そりゃ、やるだろ!」
って感じの軽いノリで、決行することに決めた。
その"階段怪談"の概要は次の通り。
学校の階段の一番上の踊り場、つまり屋上へと続くドアのある踊り場に座り、その一つ下の踊り場からの階段の段数だけ、順番に怪談を語っていく。
一つ怪談を語るごとに、"何か"が一つ階段を上がってくる。
"それ"が自分達の踊り場まで上がった時、世にも奇妙なことが起こるらしい。
*途中で止めてはいけない。
*"それ"が登り切るまで、階段の下を覗いてはいけない。
他にもいくつかルールがあるんだけど、細かいからとりあえずカット。丁度、百物語とコックリさんを混ぜ合わせたような遊びだ。
仲良し4人組に加え、話を聞いた女子のDちゃんを加えてメンバーは5人。
噂が大きくなるにつれてこの話は先生の耳にも入り、"階段怪談"は固く禁止されていたため、決行は日曜日にこっそりと行われることになった。
552 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 01:56:12.35 ID:WXkp8cckI
決行当日、俺らは二つ三つの怪談を用意して学校に集まった。
女子の面前カッコつけたい俺は、ABCをチビらせるような怖い話を本を漁って探したのを覚えている。
5人が集まり、早速屋上に続く階段に向かい、踊り場までの段数を数える。
12段だった。
「お前ら、ビビってねえよなww」
「当たり前だろww」
なんて余裕シャクシャクの俺たち。Dちゃんも案外肝が据わっているようで、ほとんど怖がっている様子はなかった。
埃っぽい踊り場に座って輪を作り、始める体制を作る。俺の座る位置は、階段のすぐ近く。つまり階段に背を向ける形だった。ほんの少し嫌だったがカッコつけたい俺は何も言わなかった。
そんなこんなで、"階段怪談"は始まった。
語り部は、A、B、C、俺、Dちゃんの順番。
俺含め、用意してきた怪談はみなそれなりに怖く、一周回った時には、少なからずみな背筋に冷たいものを感じていた。
時々「お前怖がってんだろww」という茶化しが入るが、なんとなく勢いもなくなっている。Dちゃんも少し不安そうだった。
553 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 01:56:45.87 ID:WXkp8cckI
休日の学校は、心なしかなんだか薄暗い。不気味な雰囲気に包まれながら、俺らの"階段怪談"は二週目に入った。
Aの怪談が終わる。ルール通りなら、コレで六段目。
あと半分だ。
誰もがそう思っていただろう、その時。
ギシッ……
と、確かに音がした。
思わず、顔を見合わせる俺ら。
「気のせいだろ」とは、誰も言えなかった。
正直この時点で俺はかなり帰りたくなっていた。他の奴らもそうだろう。
しかし、ルールに『途中で止めてはいけない。』とあるので、そういうわけにもいかなかった。止めたら、どんなことが起こるか分からなかったから。
Bが怪談を始める。
すると、急に空気が変わったのを感じた。
重苦しく、何かに閉じ込められたかのような雰囲気。
ヤバイ、コレは多分本当にヤバいやつだ…と俺含め全員が思った。
Bの怪談が終わる。
……ギシッ…
俺の背後でまた音が鳴った。
あと五段。
登り切ったとき、何が起こるのか?
もはや誰も強がりを言うやつはいなかった。Dちゃんは殆ど半泣きだった。
554 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 02:01:33.07 ID:WXkp8cckI
Cの怪談が終わる。
……ギシッ…
気のせいじゃない。
確かに聞こえる。
背後に何かがいるのを感じる。
俺の前に座るAは、必死で顔を伏せていた。
恐らくすでに顔を覗かせているだろう"それ"を、見ないようにしているのだろう。
次は俺の番だった。
俺は必死の思いで、用意してきた怪談を語り出した。
その時。
「気~ぃづいてるんでしょぉ~~?」
と、真後ろで女の声がした。
思わず息が止まった。誰かがヒッと声をあげる。
隣ではDちゃんが嗚咽をあげていた。
しばらく沈黙した。
どうすればいいのかを考えたかったが、頭がうまく回らない。
俺は続けるしか無いと思った。途中でやめるのを禁止されている以上、それ以外に考えつかなかったから。