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723 :1/12:2009/07/13(月) 00:28:02 ID:yzLus+8HO
人間って壁をすり抜けたりする事ができるの知ってました?
10の14乗分の1くらいの確率で。
なんか細胞を形成している素粒子に透過性があるかららしいんだけど。
たまたまこないだテレビで見て知ったんだけど、それを見てもう15年くらい前の出来事を思い出してしまって、あの時の現象はそういう事だったのかな…と思って書いてみる事にしました。
俺は珍走団って訳じゃないけど、バイクが大好きで、仲間とつるんで土曜の夜に走るのが好きだったんだけど、同時に心霊スポットも大好きだったんです。
ある土曜日に有名なトンネルに仲間と行ってみた。
そこは入り口付近に桜の木があって、こう書いてある。
「コノキ二ノボリシモノノロイアリ」
この木に登りし者呪い有り、という意味で、おそらく近所の人がたむろする若者を迷惑に思って刻んだのだろうと推測できるのだけど、ほとんどの奴は怖くて登らない。
そんな中一人だけ上半身裸で木に登って上着を振り回している奴がいた。
そいつが今回の話の主人公ヨッシーって奴なんだ。
724 :2/12:2009/07/13(月) 00:29:48 ID:yzLus+8HO
ヨッシーは時代遅れの改造バイクに乗ってシンナーを吸引しているような痛い奴で、仲間内では浮いているほうだった。
みんなヨッシーを無視してトンネルの写真を撮ったりしていた。
携帯とか無くてインスタントカメラで撮っていたんだけど、撮影者がおかしな事を言い出した。
「あれ?フィルムが巻けない」
3枚くらい撮った後カメラが壊れたらしい。
「おいおい霊現象かよ?」みんなが騒ぎだした時
ドサッ!
暗闇で音がした。
「いててて…」
なんとヨッシーが桜の木から落ちてた。
みんなは爆笑して場が和んで、その場はうやむやになって帰宅したんだけど、一週間後、カメラの持ち主が厄介な問題を持ち込んできた。
3枚撮れたトンネルの写真を現像したらとんでもないモノが写ったと言う。
とりあえず家に呼んで見せてもらったら、焦った。
トンネルの地面に無数の頭蓋骨が写っていたから。
そのトンネルは朝鮮人労働者が何人も死んだという噂があって、出口から差し込む光が2つ写るといってGOROという雑誌に掲載されてから一躍有名になったトンネルなんだけど、頭蓋骨の山が写った話は聞いた事がない。
725 :3/12:2009/07/13(月) 00:32:24 ID:yzLus+8HO
数千はあろうかという頭蓋骨を見て怯えているところに我が家の電話が鳴った。「事故った!迎えに来てくれないか?」
偶然にも一緒にトンネルに行った奴から。
迎えにいく準備をしていると又電話が鳴った。
「ごめん、迎えに来て!事故ってバイクが駄目になった」
またまたトンネルに行った奴から。
するともう一度
「バイクが動かない!」
なんと3人もトンネルに行った奴から電話が。
この時はまだ恐ろしいとは思っていないから、仕方なく全員迎えに行く事にしたんだけど、最初の電話があった奴の所に向かう途中に今度は俺が事故った。
前の日に交換したクラッチワイヤーが切れたんだ。
ちょっと不吉なモノを感じた。
で、改めて家に集合したら、事故った奴らは皆とても不自然な事故だったと言う。
頭蓋骨の写真を見せたら全員怯えてた。
一人が言った。
「おい、事故は偶然じゃないよ!ぜってぇ祟りだよ!○○のババアに見てもらおうぜ!」
○○のババアとは当時有名な霊能者と言われていた人で、お寺に住んでいて、なんと悩み事を言わないのに答えだけくれるという噂の人だった。
見料は5千円。
ま、不気味な写真を処分してもらうだけでもいいか、と代表者3人でババアの所に行ってみる事にした。
ババアの住む寺は田舎だったけど、人だかりがあってすぐに分かった。
二時間位待ってようやく寺の中に入れたんだけど、ババアの部屋は相談者で溢れている。
驚いた事にババアは人が沢山いるのに相談に答えていた。
でも、相談者は何も語っていない。
何も語っていないのに相談者の関係者の名前を言ったりしている。
どうやら離婚の縁切り相談なんかもやっているようだった。
周りの人は名前は聞こえるが、イマイチ内容は理解できず、プライバシーは守られている。
「このババア…本物か?」そう思った時、ババアがこちらを向いて舌打ちをした。
「この野郎ども!厄介なモノ持ってきやがって!肝試しなんてやるもんじゃないよ」
アシスタント等一人もいない。
アポも取っていない。
俺は何も喋っていない。
だのにババアは全て見抜いているような口振りだった。
726 :4/12:2009/07/13(月) 00:34:34 ID:yzLus+8HO
「いいか、よく聞けよ。今から札書いてやる。それを持って肝試しに行った8人全員で川に行ってドクロと札を一緒に流せ!絶対後ろ向くなよ!分かったか?五千円置いてとっとと帰れ!」
ババアはチラシの裏に変な梵字みたいなのを書いてよこした。
俺達は狐につままれたようにキョトンとしたまま五千円を置いて一言も喋らないまま寺を出た。
「インチキだろ?」
「でも…ドクロとか8人とか…ズバリだったよね?」結果としてババアを信じる事にするしか無かった。
何がどうとんでもないのかもわからず、俺達は8人を集めて川に出かけるしか無かった。
ババアの所に行かなかった5人に経緯を説明した
「いいか?絶対振り向くなよ?ヤバイらしいぞ。あと、みんな走るなよ!慌てて転んだら大変だから!」
そんな説明をしていると一人だけ聞いてない奴がいる「ヨッシー!聞いてるのか?振り向いたら大変な事になるらしいぞ?大丈夫か?」
ヨッシーは返事をせず、ヘラヘラしていた。
「よし!じゃあ流すぞ?いいか?流したら直ぐに回れ右だぞ!振り向くなよ?走るなよ!」
俺はそう言ってドクロの写真と梵字を書いたチラシを川に流したんだ。
みんなは同時に回れ右をしてゆっくりとその場を後にした。
15歩位進んだところでヨッシーがバカをやりだした。
「俺は桜の木に登っても平気だったんだよ!呪いなんて怖くねぇ!へ!」
そう言って後ろを振り向いている。