315 :本当にあった怖い名無し@:2015/06/13(土) 20:14:39.91 ID:ZdsK0XGH0
Jさんは引っ張りながら大声でヨットの中で寝てる友人二人を呼び、起きたばかりで状況のいまいちわかってないながらも
親父とJさんの作業を手伝い大の男4人掛りで何とか引き上げに成功した。
親父が「大丈夫ですか!?」とHさんに呼びかけると、肩で息をしていたHさんが「出すぞ!!!」と周囲に響き渡るような
大声を上げた。それが合図になったかのかJさんは物凄い勢いで係留ロープを外し、ほぼ同時にHさんがエンジンをかけて
普段のHさんからは想像もできない荒い操縦でヨットは桟橋から離れた。
親父にはHさんを引き上げたあたりからずっと「ンゥゥゥゥ~ゥゥン~ゥゥン…」と
牛蛙の鳴声のような男の鼻歌のような声が聞こえおり、入り江から出た後もずっと聞こえており、
操縦しているHさんの様子も明らかにおかしく、ただ事ではない事態に巻き込まれたのは間違いない。
Hさんに何があったのか問いただそうとすると、Jさんが「あかん…追ってきてますわ…」と震えながら言う。
316 :本当にあった怖い名無し@:2015/06/13(土) 20:16:28.90 ID:ZdsK0XGH0
JさんはHさんが落ちた時に、その周囲には人間の子供ぐらい大きさのの異様に白い”なにか”が複数見えたそうだ。
親父が飛び込もうとした時にそいつらは一斉にJさん、親父の方を向いたが、ライトの光を反射とかそういうレベルじゃなく
目が真っ赤に光っていたと。今は見えないが気配だけは島から離れた今もずっと付いてきている気がすると。
親父が妙な声が聞こえるかと尋ねると無言で首を縦に振った。
Jさんの友人2人も声は聞こえているらしく、Jさんの話を聞いて明らかに狼狽している。
親父も肝が冷えて変な汗が止まらなかった。
Jさんが話し終わると、Hさんが「俺には見えんかったけどな…タモの先を何かが引っ張りよったせいで落ちた。
気がついたら海の中で、浮き上がろうとすると見えんけど何かが足首や腕にしがみついてきた…」
と苦い顔をして言った。
親父やJさんの友人2人も、Hさん、Jさんが冗談を言ってる様には見えず、
もう島からはかなり離れており、航路はとりあえず出発したハーバーに向かっているが妙な声がまだ聞こえる。
数分とも数時間とも時間感覚がないまま全員沈黙していたが、ふと考えが親父の頭をよぎった。
その時なぜそんなことを思いついたのかわからないが、捕まえてバケツに入れていたイカを海に逃がそうと思ったらしい。
317 :本当にあった怖い名無し@:2015/06/13(土) 20:18:34.51 ID:ZdsK0XGH0
親父が心の中で「勝手に捕ってすまんかった。許してくれ。」と念じながらイカを海に逃がしてやると
しばらくしてずっと続いていた妙な声が急に聞こえなくなった。
全員が同じタイミングで聞こえなくなったらしく皆で顔を見合わせて変な笑いが出た。
その後、深夜過ぎに出発した地元のヨットハーバーに到着し、近くの24時間やってる健康ランドに全員なだれ込んで
風呂に入ってようやく生きた心地になった。その時にHさんが「これ見てみ…」と皆に肩や腕を見せてくれたが
3本爪で引っかいたようなミミズ腫れがいたるところにできており、あらためて皆ゾッとしたそうな。