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585 :本当にあった怖い名無し@:2015/06/24(水) 18:45:05.68 ID:Yll9Y2Zl0
昨夜実家からお盆の帰省についての電話があり、以前のお盆の事を思い出したので少しだけ語らせてほしい。多少フェイク入れるのは許して欲しい。
それは私がまだ東京で大学生だった時、お盆の夜に起こったこと。
実家に帰るとお盆ということもあって、久々に会う親戚の人もいた。その中で妹のように接していた従姉妹(以下K子)がデジカメを持ってきていたらしく、久々に親戚が揃った記念ということで動画を撮り始めた。
お酒が入っていたこともあって最初はみんな浮かれていたが、急にデジカメの調子が悪くなった頃から雰囲気は変わり始めた。
K子が「音声は撮れているけど、映像が撮れない」とデジカメの不調を訴えたのだ。新品なのにおかしいと騒ぐので、私とK子の父がデジカメの様子をみた。
K子の言うとおり映像は撮れていなく真っ暗で、音声のみが再生された。でもその音声には少しおかしな点があって、ノイズが走っているのだ。機械関係には詳しくないが、そんな激しい動きで撮っているわけでもないのにノイズが入るのはおかしい。ましてや新品だ。
二度目の再生の時、私はノイズ以外のおかしな点にハッキリと気付いてしまったが、この場の雰囲気を壊したくなくて黙っていた。
586 :本当にあった怖い名無し@:2015/06/24(水) 18:56:01.27 ID:Yll9Y2Zl0
他の親戚は「お前が機械音痴だからだろ」と茶化していたが、私の異変に気付いた母はK子のデジカメを取り上げ、先ほどの音声のみの動画を再生し始めた。
どうやら母も気付いたらしく「ノイズ以外にも何か聞こえる」と漏らしてしまった。私はしまったと思ったが、時既に遅くその場は静かになってしまった。
茶化していた親戚も興味がわいたようで、その場にいた全員で動画を視聴したが、私と母以外はノイズ以外のことに気付かなかった。K子一家以外の親戚は「酔いが覚めてしまった」と言って、半ば気味悪がるように近所の居酒屋に向かってしまった。
家に残ったのは、私の家族とK子一家。そして問題のデジカメ。母は雰囲気を壊してしまったことに責任を感じたようで、私は「私も聞こえたよ。母さんだけじゃない」とフォローした。
その時になって私は母には霊感があることを思い出した。母は幼い頃から見ていたらしく、特に病んでいたという訳ではないが時折見えない何かを感じていたようだった。
もしかして、と思っていたところ祖母が「何か聞こえたのか」と問い詰めてきた。母は「男の人の声。掃除とか言っていた」と答えた。
掃除という突拍子もないキーワードにその場にいた母以外全員が首をかしげた。そんな中、祖母は何かを思い出したように言った。「父さんの部屋の掃除をまだしていなかったね」と。
587 :本当にあった怖い名無し@:2015/06/24(水) 18:57:48.58 ID:Yll9Y2Zl0
祖母の言う父さんとは、私でいう祖父。私含め親戚が集まるのが思った以上に早く、実家の部屋全て掃除し終えていなかったそうだ。
その部屋の中には祖父の部屋も入っていた。
「もしかしたら、父さんが来たから掃除してほしいと言ったのかもね」と言った祖母は、夜にも関わらず祖父の部屋を掃除しようと言い出した。
何もしないよりだったらいいだろうという事で、家に残っていた全員で祖父の部屋を掃除した。
掃除を終える頃には居酒屋に行っていた親戚も帰ってきていて、問題となっていたデジカメの事なんて忘れているようだった。
またここで飲み直すぞと言うほどで、私の家族とK子一家も交えて再び飲み会となった。
母が笑顔を取り戻してくれたことは良かったが、未だに私の心の中は晴れなかった。
母が聞こえたモノと私が聞こえたモノが違ったからだ。
K子に「あのデジカメ本当に新品なの?」と軽いノリで聞いた。
お酒が入っていたこともあって、K子は特に身構えることなく「新品だよ」と答えてくれた。
「あ、でも、このデジカメ駅のホームに落とした事あるんだよね。その時に電源入ったらしくて、変な写真撮れちゃったみたいでさ」と笑っていた。
その時先程の動画が過ぎって、私は自分でも気持ち悪いくらい鳥肌が立っていた。
588 :本当にあった怖い名無し@:2015/06/24(水) 18:58:46.41 ID:Yll9Y2Zl0
私が聞こえたのは人の叫び声と電車みたいな音。そして何か潰れる音。
そして一瞬だけ映し出された人の目元。
K子に落とした駅の場所を聞くと、そこは自殺する場所として有名な駅。地方育ちの自分でも噂として聞き覚えがあった。
K子にそのデジカメをお祓いしてもらうように言ったが、さほど気にしていないようでその時は適当にあしらわれた。
だが翌週K子の気が変わったらしく、結局お祓いに行った。何故行ったのかは教えてくれなかったが、その時のK子は「睨んでくる」と言葉を繰り返すだけだった。
あの時、母は場の空気を変えようと嘘で祖父の事を言ったのか、それとも本当の事か。
K子の心変わりの理由、諸々不明だが足を踏み込まないことにした。
その後のK子含めK子一家は、お盆になっても来ることはない。
長くなったけど、以上です。未だに気味が悪いのでここで吐き出させてもらいました。