『怖い』を楽しむオカルト総合ブログ

怪談夜行列車

【新作洒落怖】謎の歌声と腐臭

投稿日:2021年4月27日 更新日:

本文

138 :1:2011/05/26(木) 19:10:22.12 ID:eyYw6u020

1年前に仲間内でとある山へキャンプへ行った時の話をしようと思う。

大学が夏休みに入る少し前、高校の頃からの仲間のAから電話があった。
Aとは進学先が別々になって実際に会う機会も減っていたが、時々こうやって
電話が来ている。
その時の話は、高校の頃のいつもの仲間で集まって久々に何かしないか?
という内容だった。

夏休みに入ってすぐ、俺達はAのアパートに集合した。
面子は俺、A、それとBとCの4人、高校の頃特に仲の良かったメンバーだ。
最初は近況などを話していたが、そのうち本題になり、さて、何をしようか
ということになった。

が、集まっても何も安が浮かばない…
そうこうしていると、話に加わらずAのPCで何かをしていたCがおもむろに

「google mapで適当に見つけた場所にキャンプにいかね?」

と言い出した。

139 :2:2011/05/26(木) 19:11:03.63 ID:eyYw6u020

俺とAとBが「はぁ?」

と言うと、Cは結構大真面目に

「いやいや、おもしろそうだろ?目的地もランダムで全く知らない場所にキャンプ
行くんだぜ」

と得意げだ。

でもまあ、たしかに行き当たりばったりは面白そうではあるかもしれない。
俺がそう思っていると、Bもそう思ったのか

「よし、じゃあ“キャンプ場”で検索してみようぜ」

と言ってきた。
するとCが

「それじゃつまんなくね?いっそそういうキャンプ場とかじゃなくてほんとに
人気の無い山奥とかそういう場所にしね?」

と言い出した。
たしかにおもしろそうだ。
俺達はその時そう思った。

140 :3:2011/05/26(木) 19:11:54.14 ID:eyYw6u020

そして、適当に山っぽい場所をあちこち探し回っていると、周囲に人家もなく、
ただ林道らしき道が1本通っているだけの場所を中国地方のある場所に見つけた。
拡大してみると、川べりで少し開けていてキャンプにも最適そうに見える。
俺達は東日本出身だ、西日本方面のことは殆ど知らないし、地理的にも
立地的にも俺達の理想に合致しているように見えた。
キャンプ地はその場所に決定した。

当日の朝。
Cがバイトして買ったというボロい軽に乗り込み、俺達は出発した。
そして、その日の夕方には目的地近くに到着した。
その日は近場にあったスーパー銭湯のような場所で食事と風呂を済ませ、
そのまま近場の公園のベンチで寝た。

翌日。
近場のコンビニやスーパーで3日分の水や食料を買出しし、俺達は目的地
へと向かった。
携帯で地図を確認しながら山道をどんどん進んでいくと、とうとう携帯の電波が
届かなくなってしまった。
が、今まで通ってきた道が検索した時に見つけた林道だったので、そのまま
道なりに進むとすんなりと目的地の開けた場所に到着できた。

現地についてみると、その場所は google mapの航空写真で見るよりも
ずっといい場所だった。
すぐ横に川が流れていて水も綺麗だ、それに川沿いの開けた場所はかなり広く
ジメジメ感もまるでない。

141 :4:2011/05/26(木) 19:12:44.69 ID:eyYw6u020

俺達はすぐにキャンプの準備を始めた。
車から荷物を運び出し、テントを建て石を並べてかまどを作り、薪を集めたり雨対策
にテントの回りに溝を掘ったりしたのだが、早めに到着したこともあり午後2時過ぎ
頃には全ての作業が終ってしまった。

暫らく川に石を投げて水切りなどをしながらgdgdしていると、Aが

「暇だしちょっと回りを探索してみないか?」

と言ってきた。
暇だった俺達は特に反対意見もなくそうする事にした。
川が狭くなっているところから対岸に渡り、来たときから見えていた対岸の砂利道を
上へ上へと進んでいった。
暫らく進んでいると、横道がありその先の森が開けて白いコンクリート製の壁の小さな
建物が見えてきた。
その建物は1階建ての長方形で、山の中にぽつんとあるにしてはやたら小奇麗なのだが、
一見してどういう目的の建物なのかさっぱり解らない。
窓も少なく、その窓も全てブラインドが閉じていて中をうかがい知る事もできなかった。
何かの管理事務所のようにも見えるが、そのわりには他に建物らしきものも周囲に無い。
俺が

「なんだこれ?家じゃないし、何?」

といったが、誰も何なのかさっぱり解らず答えは帰ってこない。
とりあえず俺達はそのまま周囲を探索してみる事にした。

142 :5:2011/05/26(木) 19:13:34.17 ID:eyYw6u020

探索してみてわかったのだが、この建物はどうも少なくとも今は使われている痕跡が
無いらしいことだけは解った。
理由は簡単で、表の方は砂利が敷いてあるので目立たなかったが、裏の方は雑草が
生い茂り明らかに何年も放置されているのが解ったからだった。
すると、表のほうにいたAが

「おーい、こっち来てみろ」

と俺達を呼んだ。
Aの所に行ってみると、なんとAは建物のドアを開けていた。

C「ちょ、おまえ、流石にそれはまずくないか?」
B「鍵とかかかってなかったのか?」

と言うと、Aは楽しそうに

「鍵掛かってなかったぞ、ドアノブ回したら普通に開いたし」

と悪びれる様子もなく返してきた。
そして俺も

「でもこの建物、明らかに廃墟じゃね?鍵は元から開いているんだし
ちょっと入るくらいならいいだろ、なんの建物か興味あるだろ?」

俺がそういうと、Aも同意してきたし、BとCも本気で止める様子は
なかったのか「ちょっとくらいならいいか」と返してきた。
俺達は中に入ってみる事にした。

143 :6:2011/05/26(木) 19:14:10.99 ID:eyYw6u020

中に入ると、室内には調度品のようなものや家具のようなものは
何もなかった。
長い事放置されているようで、部屋の中は非常に埃っぽい。
10畳分くらいの長方形の部屋があるだけなのだが、変わっている
のは、部屋の真ん中に下へと続く階段があることだ。
4人とも黙り込んでしまった。

この状況、流れ的に今更下に行かないわけにはいかない。
問題は誰がそれを言い出すかなのだが、こんな怪しい建物のしかも
地下へと続く階段、あからさまに怪しすぎて誰もその一言をいえないでいた。

暫らくの沈黙の後、最初にBが口を開いた

「下真っ暗だよな?懐中電灯ないし、装備整えて明日で良いんじゃないか?」

最もな意見だった。
そしてこの提案をしたBに俺は心のそこで感謝した。
しかし、Cが唐突に

「明かりなら携帯画面で十分じゃね?」

しかもAもそれに同意のようだ。
俺とBはここで断れば確実に2人にヘタレとからかわれるのが目に見えていた。
ぶっちゃけ怖かったが、4人で下へと降りていくことになった。

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