202 :本当にあった怖い名無し:2014/03/05(水) 22:15:32.83 ID:PZeaZkp10
帰ってきたその日。
僕はあえて自分の部屋に一日中いました。
ソロソロ、白黒をつけたかったのです。
3時の客人がなんであるのか、確かめる必要がありました。
それほど僕の心は磨り減っていました。
そしてもう擦り切れる寸前だということもわかっていました。
ですから部屋でジッと待っていました。
時間は体感より、ずっと早く流れました。
夜になりました。
3時です。
いつもの時間です。
そしていつもの音が響きます。
ドンドンドン!!!!
ドンドンドン!!!!!
ドンドンドン!!!!!!
今までの教訓でこれを無視します。ここで見に行っても、恐らく影すら掴めないでしょう。
音が激しくなり、調子が勢い良くなりだします。
それに合わせて鼓動もまた、早くなりました。
そして音は一旦止み、とびきりが出た後、再び止みました。
そして。
背後の窓を叩く音が聴こえます。
ドンドンドンドンドン!!!
ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!
僕は。
振り返りました。
203 :本当にあった怖い名無し:2014/03/05(水) 22:20:29.77 ID:PZeaZkp10
僕はガラス越しに、ついに犯人を見ました。
女性でした。
いや、人とは言えないかもしれません。
長く振り乱した髪が、所々青黒くなったブルーチーズみたいな体にペットリとくっついていて、
その体は一糸纏わぬ裸体により如何なく見せ付けられています。
ですが最も目を引くのは、その顔でした。
唇とその周りの肉が無く、歯茎と歯が丸見えになっているのです。
更に口が耳まで裂けていて、顔の半分近くを占めているのです。
ですから、歯茎と歯は獣みたいに大きく………
禍々しいものでした。
また顔のそれら以外のパーツはいたって普通で、こちらをみて微笑んでいました。
真逆な顔で。
その女性は、顔だけ真逆でアゴとかエラ辺りから髪を生やしていて、頭部と首が繋がっているのでした。
僕はその姿に、その瞬間は怖いだの、気持ち悪いだのといった、感想はなにも感じませんでした。
ただただ、ヤバイ………と感じました。
自分の体とは思えないほどの、俊敏さで部屋を飛び出した僕は、後ろを振り返らず、一目散にマンションから飛び出しました。
204 :本当にあった怖い名無し:2014/03/05(水) 22:27:19.35 ID:PZeaZkp10
そして、昨日のネットカフェに逃げ込みました。
そして、呂律も回らないなか、店員にどうしよう、どうしようと叫びながら、掴みかかって揺さぶり続けました。
自分でも何がしたかったのか、わかりませんでした。
店員に言って解決するものでもありません。
ですが、とにかく助けが欲しかったのです。
店員は僕を諭すと、奥に引っ込んで、なにやら探しているようでした。
そして優しく僕にズボンを渡してくれました。
僕には何のことかわからず、唖然としていると、
店員が僕の腹部あたりを指差しました。
僕はそのズボンの意味を理解し、すぐさまトイレに入り、着替えました。
どうやら僕は何時の間にか漏らしていたのでした。
腹部から股下にかけて、尿で散々に濡れていました。
僕は着替えて、汚れたズボンを貰った袋に詰め込んで、店で夜を明かしました。
次の日、僕は管理人さんに実家にもどる旨を伝えそのマンションから退去したのでした。
205 :本当にあった怖い名無し:2014/03/05(水) 22:30:24.58 ID:PZeaZkp10
そしてつい先月。
そのマンションに今だ住んでいる友人にこの話をすると友人経由で管理人さんに伝わったらしく、
謝罪をしたいと管理人さんに言われました。
僕はやはりあの部屋には恐ろしい、いわくがあったのだと、恐ろしく思いました。
そして管理人さんに会い、話を聞くと、どうにもおかしいのです。
管理人さん曰く、私は貴方が怪しく思っているのが可笑しくて、一度だけノックをしてふざけたことがあったが、それも一度きりで、女の事など何もしらないのとのことでした。
僕は狐につままれた気分になりました。
一連のことは僕の妄想なのでしょうか。
その事より後にも先にも恐怖体験をしたことは一度もありません。