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232 :本当にあった怖い名無し:2011/05/13(金) 15:53:01.19 ID:3L4hLvOL0
Iという霊能者がいた。
自分で「見える」とかいう話は一切してくれなかったが、かなり能力は強かったようだ。
でもそのI。どういうわけか一昨年の秋頃に消えてしまった。
行方不明などではない。完全に、存在自体が消えてしまった。
消える瞬間を直接見たが、自分の目を疑うばかりで信じることができない。
Iの両親に聞いてみても「うちに子供はいない」の一点張り。
学校に聞いても「そんな生徒はいない」そう言われた。
共通の友人に話を聞こうにも、私もIも友人は極端に少ない。
唯一いた友人もIが消えたのと同じ日に事故で死んでいた。
どうしようもなく、ただただ周囲の人たちにIを知らないかと聞き続けている時だった。
Iが大切に持っていた筈の、ある小汚い巾着袋を自分が持っていたことに気付いた。
Iが必ず肌身離さず持っていたもので、勝手に触って引くほど怒られたことを覚えている。
それがふと気になって巾着をあけると、中には数珠玉が何個も入っていた。
それを見たときからだったか…
背後から僧侶の格好をした小さい男が、にたにたしながら後をついてくるようになった。
「あと、いちねん…」
Iが消えたのは18歳の時。
私は今、17歳だ。