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怪談夜行列車

【新作洒落怖】山道の猿

投稿日:2022年5月5日 更新日:

本文

554 :1/8:2009/04/18(土) 12:30:22 ID:IZkfOfTn0
山怖スレより転載

653 :トロンパイ:2009/03/11(水) 02:13:35 ID:K8iAqaBJ0

十代最後の思い出に心霊スポットとして有名なトンネルがある山に凸したときの話。
俺と友人三人は金も車も無かったのでバスを乗り継いで現地に向かい、夜に歩いて帰宅するという
今考えたらアホすぎる計画を立てて出発した。
当時は心霊凸+深夜ウォーキングの旅で二重においしいなんて気持ちだったと思う。

下車後、バスのある町からひたすら歩いて山に向かうわけだが、車に弱い友人Aがバス酔いしてしまったため、
予定以上に町に滞在してしまった。
夕日が急速に沈んでいくのを尻目に、急ぎ足で町から山に向かう道を駆けていた俺達の前に
山での仕事帰り風のおっさんが現れた。挨拶されたので返すとちょっと立ち話するハメになった。
おっさんは日が沈んでからの山は危ないとしきりに俺達を止めたが、サバイバルを求めるお年頃の俺達には馬の耳に念仏だった。
結局あまり深く山に入らないことを約束させられて別れたが、
おっさんの「夜の山は人を飲み込む」という言葉と別れ際の
「道に迷ったとしても絶対獣道には入っちゃならねぇ。戻るも進むもきれいな山道だけにせれ」
という助言が少し気になったが、まぁ特別不思議な台詞ではないので受け流した。

555 :2/8:2009/04/18(土) 12:32:43 ID:IZkfOfTn0

654 :トロンパイ:2009/03/11(水) 02:14:23 ID:K8iAqaBJ0
そんなこんなで山道に入った時点ではもう真っ暗闇。朧げな月の光と懐中電灯だけが頼りという状況。
さすがに夜の山はそれなりの雰囲気があり、気が狂いそうな静寂と時々何かが立てる物音で緊張感が高まっていく。
暗闇の中、目的地へと進むのは至極困難だ。早くも道に迷いかけた俺達だったがそこはドントウォーリー、
こういうことを予測して詳細な地図を持参していたので地図担当のBに地図を出してもらった。

地図に沿ってなんとかトンネルまでたどり着き、トンネル内を散策。
特に怪奇現象などには見舞われなかったが、トンネルの壁をくりぬいて(彫って)作られた地蔵にはちょっとビビッたw
壁そのものを彫って作られた地蔵なんか見たこと無かったし、何よりその地蔵の造詣も少しおかしかった。
地蔵の基本的造詣なんてものは知らないが、地蔵ってこう顔も姿も丸っこいじゃないか。
そのトンネル地蔵は丸みがないわけではないんだけど、顔がやたら長く、体に対して顔部分がでかい。
その上、つり目気味で微笑している表情だからなんかキツネみたいに見えてなんだか変な感じがした。

557 :3/8:2009/04/18(土) 12:34:29 ID:IZkfOfTn0

655 :トロンパイ:2009/03/11(水) 02:33:12 ID:K8iAqaBJ0
ちょっと怖気づく面々だったが、貧弱体質なのにお調子者で気の強いAが
A「この地蔵俺にそっくりじゃね?誰に断って立てたか知らんがモデル代くれ」
と意味不明発言(確かにキツネ顔のAに似ていないこともなかったがw)
A「もしかしたら俺の母ちゃんが内緒で俺の美形を売り物にしてるのかもしれん。でもどうせならこんな田舎じゃなくて都会で売れたかった」
ちょいナルが芸風のAのおかげでだいぶ緊張がほぐれた俺達は地蔵以外に目ぼしいものがないので
地蔵に食いしん坊のCが隠し持っていたから揚げを強奪してお供えした(本当は奪い合ったはずみで落ちたからお供えしただけw)

トンネルを後にした俺達は、トンネル内で撮った写真に何か写っているかなみたいな話題をしながら山を下り始めた。
来た道を戻るだけなのでサクサク進んでいったが、不思議なことにずっと同じ道を廻っているような感触。
最初は気にせず進んでいたが、どう考えても山を降りることができているくらいの時間が経過し、道に迷ったと悟った。
特に迷うような分岐はなかったはずだが、間違った可能性があるので再度トンネルを目指して戻ることに。

かなり長い間足を進めたがトンネルにすらたどり着けなかった。いったい俺達はどこにいるんだーとパニくりはじめたとき
地図を眺めていたBが突然悲鳴を上げて転倒した。

558 :4/8:2009/04/18(土) 12:35:52 ID:IZkfOfTn0

658 :トロンパイ:2009/03/11(水) 03:00:19 ID:K8iAqaBJ0
「どうした!?」とBに光を当てる。
B「な、なんかが降って来た!!」
なんだなんだとあたりを見回すと一匹の猿が飛び回っているではないか。
野生の猿なんて見たことなかったし、そもそもこの山に猿がいるということも知らなかった俺達は驚愕したものの、ちょっとだけホッとした。
B「なんだよ、猿かよ。驚かせやがって~…あ!!」
またもやなんだなんだと俺達はどよめくといち早く気づいたAが叫んだ。
A「Bのバカが猿に地図取られとる!!」
猿を照らすと確かに猿が地図を持って跳ね回っている。
AとBが地図を取り替えそうと飛び掛るも、猿は颯爽と林の中に消えてしまった。

困り果てた俺達だったが、あまりにも素早く猿が逃げ去ったので猿を追うこともままならず
とりあえず山道を下ることにした。当然分岐がきても勘でしか選べない。
まぁなんとかなるか~と猿アクシデントで逆に吹っ切れた俺達は猿を罵倒したり、
好敵手として讃えたりしながらぐんぐん進んでいった。
すると思いのほか早く分岐にたどり着いた。

右と左、どちらの道にするか。道を照らし、風景を必死に思い出して空っぽの頭をひねっていると、
「なんか左の道にある!」というAの指摘の元、左の道を調べると、なんとトンネルのキツネ地蔵があるではないか。
来た道にはそんなものなかったはずなのに。怪現象に驚くというよりは、いかに最善の道を選ぶか必死になっていた俺達は
来たときはなかった地蔵がある=その道は間違った道、ではないかという考えの検証に夢中だった。
その結果、俺・B・Cは右の道を選ぶと主張したが、Aが猛反対。
これは本体である俺を助ける地蔵の導きだと主張して一歩も譲らなかった。

B「こんなときにネタはやめろ!」A「いや本気だ!」
AとBの口喧嘩にひたすらオロオロする俺とC。
そんなカオス手前の状況の中、右手の道から地図を持った猿が突如出現。あまりにも早い再会にも驚いたが、
猿が「こっち!こっち!」みたいに見えるジェスチャーをするのは夢でも見ているのかと思うほどたまげた。
突然の新展開にさらに困惑していると、Aが無理やりBを左の道に引っ張っていった。

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  • B!

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