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65 :本当にあった怖い名無し:2006/01/10(火) 16:35:12 ID:IqxY+nol0
あれは3年ほど前です。
僕はある会社に営業として勤めていました。
毎日、残業、残業続きでも超勤手当もつかない、
零細企業でした。
同期に、Mくんという人がいました。
僕より年上でしたが、
手が遅く営業センスもなく、
朝のミーティングでは毎回、
部長につるし上げをくっていました。
根が真面目な人間だけに、
相当まいっているようでした。
Mくんは興奮するといつも
「すん、すん、」と
鼻を鳴らす癖があり、
それもまた上司に疎まれている
理由の一つでした。
僕は、そこそこ口もうまく、
それなりに世渡り上手でしたので、
Mくんのようにいじめられることもなく、
なんとかやっていました。
66 :本当にあった怖い名無し:2006/01/10(火) 16:36:27 ID:IqxY+nol0
ある時、Mくんが会社からいなくなりました。
辞めたとかではなく、
失踪したとのことです。
前日に最後まで残業していたのを見た人がいましたが、
その日Mくんは家に帰らず、
そのまま行方不明とのことでした。
はじめのうちは、いくらか騒ぎになりましたが、
1ヶ月もたつと、忙しさもあり
みなMくんのことなど忘れてしまいました。
その日、
僕は一人で残業していました。
明日のクライアントとの打ち合わせに
どうしても足りない書類ができてしまい、
徹夜覚悟でパソコンとにらめっこしていました。
67 :65:2006/01/10(火) 16:38:07 ID:IqxY+nol0
「トゥルルルルル」
時計の針が夜中の3時を過ぎたころでしょうか。
机の上の電話機が鳴りました。
「はい?」
僕は寝ぼけ眼で電話に出ました。
「・・・・・」
受話器からは何も聞こえません。
「もしもし・・・・!」
その時僕は気付きました。
会社の電話は、ビジネスホンで、
外線と内線が使えます。
今の呼び出し音は、内線電話の音だったのです。
僕は慌てて立ち上がると、
室内を見渡しました。
広い室内で、電気はここしかついておらず、
人の気配もありません。
僕は気味が悪くなり、
何も言わずに受話器をもどしました。
「トゥルルルルル」
すると、また呼び出し音が鳴りました。
僕はびくびくしながらも、
電話のディスプレイを覗いてみました。
「302」
かけてきているデスクの番号が表示されていました。
Mくんのデスクでした。
僕は怖くなり、思わず立ち上がりました。
68 :65:2006/01/10(火) 16:48:49 ID:IqxY+nol0
「すん、すん、」
その時、僕の耳元で、
聞いたことのある音が聞こえました。
Mくんの鼻を鳴らす音です。
僕が振り向くと、
そこには誰もいません。
疲れているんだ・・・
そう思い、
僕はまた机に向かおうとしました。
明日までに書類を仕上げなければ、
契約はおじゃんです。
そこにはMくんがいました。
パソコンの画面一杯に広がる、
Mくんの顔。
こちらを無表情に見ています。
そして一言言いました。
「来いよ・・・」
僕は悲鳴を上げて会社から逃げ出しました。
そのまま僕は、会社を辞めてしまいました。
風の噂では、従業員が次々と辞め、
会社は倒産したそうです。