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0054本当にあった怖い名無し2020/12/05(土) 22:50:23.29ID:Bwn/kSMg0
そりゃ多分夢だろ。で終わるくだらない話しだが、それにしたって怖すぎたので書かせてくれ。ちなみに霊感なし。
俺はアラサーのリーマンで妻子持ち。たまに会社を仮病で休んで家族には普通に出勤すると伝え、そのまま車で家から遠い公園の駐車場で一人の時間を楽しむのが趣味だった。車内で日向ぼっこしながら本読んだりスマホで映画見たり、思いのままに時間を過ごす。
その公園は小高い丘の頂上にあり人気はない。さびれた遊具と球場以外は何もなく、駐車場の周りは林に覆われてる。たまに俺と似たような営業途中らしきサボリーマンが1、2時間滞在して帰ってくぐらい。静かで絶好のサボりスポットだった。
その日も、いつも通り思いのままに時間を過ごし、運転席の座席を倒して寝転びながらスマホで映画を見てた。
ふと気がつくと辺りは真っ暗だった。
やべっ!寝ちまった!と慌てて飛び起き、時間を確認するためスマホを探した。座席や床を手探りで探すが真っ暗で見つからない。チッを舌打ちを打ちながら室内灯を点けた。
その瞬間に凍りついた。
助手席に満面の笑みを浮かべる見知らぬ老人が座っていた。
その老人は耳たぶが肩につきそうな程に長く、目には白目が無く全て黒目だった。神社の神主さんが着るような真っ白な袴を纏っており、髪も髭も生えてない。助手席から真っ直ぐ正面を向いたまましわくちゃの笑みを浮かべていて、俺の事など気付いてもないようだった。
その老人の横顔を見た瞬間に「ギィィイイイイイイーーーン!!」って凄まじい耳鳴りがして、俺は運転席に押さえつけられるようにして動けなくなった。
叫び声をあげるどころか呼吸すらまともにできず、「…コハッ!…カヘェ…」みたいな空気の抜けるような音を発することしかできなかった。
俺の思考回路は完全にストップした。この老人は何者なのか、どうやってこの車に乗り込んだのか、等の疑問は一切浮かんでこず、ただここから離れたい、コイツから1ミリでも遠ざかりたい、そんな思いに全身を支配されていた。
そんな状態がどれぐらい続いたのだろうか、老人がその顔をゆっくりとこちらへ向けようとしているのに気がついた。
0055本当にあった怖い名無し2020/12/05(土) 22:51:12.31ID:Bwn/kSMg0
「あぁ…もうだめだ。」
その時はっきりと死を確信した。目の前にいるのは決して抗えない存在だと、俺の心も体も完全に諦めた。
それから恐怖は後悔へと変わった。家族の顔が次々に浮かぶ。
嫁、子供、両親。
ごめんなさい。ごめんなさい。
目を瞑り心の中で呟きながら、泣いていたと思う。
目を開けると老人の顔が完全にこっちを向いていた。何故か腹の辺りが痛い。
老人はシワクチャの口を開けては閉じ、マムマムと何事かを呟きだした。何と言っているかは全くわからない。
その瞬間
「ギョワァァァァアアアアーーーン!!」
と耳鳴りが一層大きくなり、腹は痛いを通り越して熱いに変わった。
老人の顔も満面の笑みから般若の様な形相に変わっている。
腹は更に熱くなり、これまでに味わったことのない苦痛のなかで突然「ブチッ!」と大きな音がした。
俺は腹が裂けたんだと思った。上半身と下半身が千切れた。それ程の衝撃だった。そこからの記憶がない。
気がつくと再び車内、室内灯も点いてた。辺りは真っ暗だが老人の姿はどこにもない。俺は恐怖と混乱で暫く動けなかったが、とにかくここを離れなくてはと車を出した。
家までの道中、あれは夢だったんだと自分を納得させ続けた。それでも体の震えは止まらなかった。これほどの実感を伴った夢など初めてだったし、室内灯が点いてたのがどうしても引っかかった。
とにかく命があることに感謝し、家に帰り家族を抱きしめた。
大したオチもなくて悪いがこれにて終了。書いてみるとあんま怖くねぇな、すまん。
それ以来その公園には近づいてないし、会社サボるのもやめた。家族との時間を大切に過ごしてる。
体の不調といえば尿管結石になったことぐらい。痛風と並んで3大激痛と呼ばれてるみたいだけど、正直あの時の腹の痛みに比べたら何てことない。痛み止めの座薬打って仕事続けてた。
ネットで色々調べたがやはり夢なんだろうな。金縛りはそういう怖い映像を伴うって書いてあったし、半覚醒状態で暴れて室内灯も点けたんだろう。ただあんな思いは2度としたくない。