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0060本当にあった怖い名無し2023/02/20(月) 02:31:09.43ID:YkmB77mW0
俺の家はかなり田舎にあって、毎日車で2時間ほどかけて通勤してる。
その日はやけに疲れてたんだ。
いつもは曲がらない道で曲がってしまって、しかもあろう事かそのまま進んでしまった。
気づいた時には全く知らない道に出ていた。
街灯もない山道に入ってしまった。
俺はナビを見るために1回止まることにした。
ナビを開いても上手く位置情報が拾えない。
最近は田舎や山の中でも圏外になる事は少ないのに。
時刻は0時頃、誰かが通る気配もない。
このまま進む訳にもいかず、辺りが薄ら明るくなるまで待つことにした。
眠ろうにも、その日叱責した社員の恨めしい目や俺の陰口を言いまくる女社員の言葉が頭をぐるぐる駆け巡って眠れない。
俺は再び起きてスマホを開いた。
なにかおかしい。
少なくとも数分は目を閉じていたはずなのに時間が一向に進んでいない。
焦燥感や不安とともに冷たい汗が一気に滲む。
周りの木々が囲んで俺を見ているようなそんな気になる。
コンコンっと不意に車の窓ガラスが叩かれ俺の体がビクッと跳ねた。
窓ガラスの外には警官が2人立っていた。
「大丈夫ですか?不審な車が止まっていると通報があったので来ました。」
感じのいい中年のおっさん警官の声に安心した俺は車から降りて事情を説明した。
0061本当にあった怖い名無し2023/02/20(月) 02:31:40.07ID:YkmB77mW0
「この辺は迷う方が多いんですよ、帰り道を案内するので1回このままついてきてください。車の方は道が分かったら取りにこればいいでしょう」
風もないのに木々がざわめいている。
いや違う。
自分の心臓だ。
俺はいても立ってもいられなくなり車に飛び乗った。
そして窓ガラス越しの警官を視界に入れることなく車を急発進させた。
あの警官はおかしかったんだ。
その時はただどこでもいいからそこから離れたかった。
思えば最初は窓ガラスが閉まっているのに警官の声はまるで真隣で喋ってるようだった。
降りてから気づいたがもう1人の警官は顔がなかった。
最初は影になっていて見えないだけかと思ったが違った。
顔の部分が墨で塗ったみたいに真っ黒だったんだ。
俺は少しだけバックミラーを確認した。
警官は真顔でこちらを見つめていた。
街灯のない山道をひたすらに進む。
何度も警官2人にすれ違う。
「この辺は迷う方が多いんですよ、帰り道を案内するので1回このまま着いてきてください。車の方は道が分かったら取りにこればいいでしょう」
警官とすれ違う度に声が耳元から聞こえる。
気づいたら俺は車通りのある広い道に出ていた。
近くにコンビニに車を停めてスマホを確認すると時刻は0時半、位置情報は俺がいつも通勤に使う道の1本先を示していた。
俺はそれから会社を辞めた。
溜まりに溜まった疲労があんな幻覚や夢を見せたのだと自分に言い聞かせる為に。
辞めてからは特になにもなく過ごしている。