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怪談夜行列車

【新作洒落怖】蔵の中の木箱

投稿日:2023年10月30日 更新日:

本文

0568①2023/06/24(土) 00:08:29.30ID:jU2AKj+d0

少し長いけど俺の昔話だ。

俺が中学生だったころ、お盆に爺ちゃんの家に行った時の話。
爺ちゃんの家には古い蔵があって、数十年単位で誰も立ち入ってないような場所だった。

やることがなさすぎて退屈だった俺は興味本位で蔵に入ることにした。
一応施錠はされてたけど窓を施錠する金具?が老朽化で朽ちてたからあっさり入ることができた。

まあ汚い汚いわけよ。
だけどなんか古そうなものが所狭しに置いてあってワクワクしたんだわ。
蔵の中を物色してたら紐で何重にも縛られた汚い木箱があったんだよ。
中には何か固いものが入ってて、動かすとぶつかる音がするしけっこう重かった。
木箱にはお札みたいなのが貼ってあって、こんなん絶対ヤバいやつじゃんって当時の馬鹿な俺は興奮しちゃったんだよ。

一旦母屋に戻って工具箱から紐を切れそうな道具を拝借して、早速木箱を開けようとしたんだわ。
でも紐切っても木箱が開かないんだ。
なんか木箱自体に釘かなんかが打ち付けられてて絶対開かないようになってるんだよ。

イライラした俺はその木箱を壁に投げつけちまったんだよ。
そしたらいとも簡単に木箱が割れた。
そこまでならいいんだけど、木箱の中身まで砕けてた。
なんか気持ち悪い土偶みたいな、とにかく粘土っぽいのでできたキモイ人の形した像だったんだけど、頭と身体は真っ二つだし頭の方も半分砕けちゃってるしで、やべえと思った俺は全部ほっぽって蔵から逃げ出したんだ。

0569②2023/06/24(土) 00:10:07.07ID:jU2AKj+d0

蔵から出た後は埃とか吸いすぎて気持ち悪いし、身体もなんかベタベタするから風呂に入った。
風呂から出たらちょうど夕飯ができたみたいで居間で父ちゃんと母ちゃんとじいちゃんとで飯を食ったんだけど、おかしい。

食べ物の味が全くしない。食感もやばかった。
なんか紙をひたすら齧ってるような気分で、口の中がどんどん乾く感覚。
だけど俺以外はみんな普通に飯食ってるんよ。

気分が悪くなって夕食はほとんど手をつけずに先に部屋で眠ることにした。
だけど寝苦しくてなかなか寝付けなかった。

0570③2023/06/24(土) 00:10:29.60ID:jU2AKj+d0

心配した爺ちゃんが一口サイズのゼリー持ってきてくれたんだけど、なんか食感とか舌触りがレバーみたいに感じて気持ち悪くて吐いた。
しばらくしたら熱も出てきた。

もう夜だったし、そもそもお盆でどこの病院もやってなかったから、母ちゃんは救急車を呼ぼうとしてた。
でも爺ちゃんが止めた。

じいちゃん「〇〇(俺の名前)、お前、夕飯の前までどこ行ってた?」

身体が跳ね上がる感覚だった。
多分めちゃくちゃ動揺してたと思う、爺ちゃんにすぐ気付かれた。

爺ちゃん「まさか蔵に入ったのか?」

普段の優しい爺ちゃんと同じ人間とは思えないくらい、爺ちゃんの語気は強く顔も鬼の形相になっていた。

爺ちゃん「蔵で何を見た?」
俺「木箱を…」
爺ちゃん「どの木箱を見たの?」
俺「紐で縛られてて、お札が貼られてたのを…」
爺ちゃん「それを開けたのか?」
俺「壊しちゃった…箱と箱の中身も」

言った瞬間に爺ちゃんから殴られた。

0571本当にあった怖い名無し2023/06/24(土) 00:11:21.34ID:jU2AKj+d0

母ちゃんは叫び声を上げてたし、父ちゃんは何事かと部屋にやってきた。

爺ちゃんは部屋の中を歩き回りながらぶつぶつ何か言ったあと「救急車を呼んでも無駄だ」と言うとすぐに家を飛び出した。
庭から車のエンジン音が聞こえた。
母ちゃんは爺ちゃんの様子に混乱してて、それを父ちゃんが宥めてた。

しばらくすると爺ちゃんが帰ってきた。
しわくちゃの小さいお婆さんを連れていた。

お婆さんは俺を見るともごもごと喋り出した。
熱で意識が朦朧&お婆さんの話し方が方言混じりで何言ってるか全部は理解できなかったので要約するけど、

お婆さん「お前が蔵で見たのは「どんぞくさま」だ お前は見たし、壊した 本来ならお前はこの後◯ぬ でも私がなんとかする」

そんなことを言うと、お婆さんは家族を部屋から追い出して、俺の枕元に座って巾着袋からくるみぐらいの大きさの木のビーズ?(形は不揃いでゴツゴツしてた)みたいなのを繋げた長いネックレスみたいなのを取り出した。
それでなんかお経みたいなのを唱え始めた。
意味不明だったし正直早く救急車を呼んでほしかった。

0572本当にあった怖い名無し2023/06/24(土) 00:12:02.47ID:jU2AKj+d0

熱が下がる気配も体調が治る様子もない。
何時間かわからないくらいそんな状況が続いた後、お婆さんが突然立ち上がった。

お婆さん「諦めてもらうよう説得したが無理だった、戦うしかねえ」

そんなことを言って、爺ちゃんを呼び出して何か話していた。

その後、俺は掛け布団ごと父ちゃんに抱えられて、爺ちゃんの車に乗せられた。
運転席に爺ちゃん、助手席にお婆さん、後部座席に俺と父ちゃんだった。

身体がとにかく暑いし苦しいし意識は朦朧とするのに身体の奥が暴れてるような意味不明な状態で、なぜか爺ちゃんとお婆さんに殺意まで沸いていた。
多分俺は何か叫んでた気がする。
朧げな記憶だけど「俺はおかしくない!」「俺は感謝されているんだ!」みたいな自分でも意味不明すぎることを口走ってた。
身体が勝手に暴れそうになるのを父ちゃんに抑えつけられてた。

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