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0678本当にあった怖い名無し垢版2021/06/21(月) 22:50:05.48ID:j7zEGls80
これは私が十年ほど前に経験したことです。
今から十年前の話です。
当時私は地元を離れて、T県のT大学に通っていました。
次の日が日曜日ということもあり、サークルの皆でカラオケに行こうということになり、U駅の裏にあるカラオケ店に行きました。
カラオケは盛り上がり延長の末11時ぐらいまで続き、私は先輩の車でT大学まで送って行ってもらうことになりました。
大学についたのは深夜12時前後ですでに大学の明かりもほとんどが消え、大学が山の上の方にあることもあり周囲にも明かりのついた建物もありません。
道路脇にある街灯だけが道を照らしていましたが、接触でも悪いのかあちらこちら点いたり消えたりを繰り返していました。
大学から私の住むアパートまでは徒歩20分ほどで着くこともあり、夜風に当たりながらゆっくりと帰ることにしました。大学下の最初の十字路を右折し、さらに長い下り坂のふもとの十字路を左折しました。
地崩れ除けのコンクリート壁沿いの道を歩いていくと、ふと無音になりました。
秋の頃であったこともあり虫のさざめきがしていたのですが、急に何も聞こえなくなり、なぜか空気が生ぬるく感じました。
少しおかしいと感じましたが家に帰らないわけにもいかず、無心で歩いていました。
少し進むとコンクリート壁側にコンクリートの階段とそれが見えました。
年の頃は小学生くらいでしょうか、背丈は私の胸元ぐらいで白いロングのワンピースと縁のとても広い麦わら帽子のようなものを被っていました。顔はほとんど見えませんでしたが私はなぜか寒気がしたので声をかけることはできず、なるべく視界に入れないように通り過ぎました。
20メートルほど歩いた頃でしょうか、ひたひたと何かが後ろを着けてくるような音が聞こえてきました。すごく小さい音なのですが周囲が無音であるためかなぜかとてもはっきりと聞こえました。
私は後ろを振り返ることはできず、そのままアパートの私の部屋まで帰りました。私の部屋は二階にあったため階段を上るのですが、ひたひたという音はカンカンという金属音に変わり、まだ着けられていることがわかりました。
私は恐怖から汗をかいた手でカギを開け滑り込むように部屋に入り後ろ手に戸を閉めました。カギとチェーンロックを厳重にかけ、少し開いていたカーテンを閉めるとようやく落ち着きました。
0679本当にあった怖い名無し垢版2021/06/21(月) 22:51:09.90ID:j7zEGls80
本当はすぐにでもシャワーを浴びて寝てしまいたかったのですが、水場や鏡を見ることも怖くそれもできませんでした。
私は枕元にあったヘッドホンを耳に付けCDプレーヤーをリピートにして音楽をかけました。明かりをつけた部屋で音楽をかけ、なるべく入口に視線を向けないようにしていると、
いつの間にか寝てしまっていたのか朝になっていました。
CDプレーヤーは電池が切れすでに停止し、外は深夜の無音が嘘のようにざわめいています。
私は覚悟を決めカーテンを少し開くと外は明るくなっていて、入口の気配も無くなっていました。
その日は何も手に付かず外に出る気も湧きませんでした。
月曜日になり大学に向かうとあの階段の横にはやはり誰もおらず、代わりに十字路の角に白い花束が献花されていました。
私は知らなかったのですが私がカラオケに行った日ちょうどその十字路で交通事故が起こり子供が一人亡くなったとのことでした。
私はあの少女はその子供ではないかと思いましたが、調べるのも憚られ、なるべく考えないように大学に向かいました。
それからしばらくは何も起こらず私も半ば忘れかけていたのですが、長期休暇で実家に帰った時にそれは起こりました。
私がアパートに帰って来ると入口に二つに折られた紙が挟まれていました。
紙はアパートの警備会社のものでそこには〇月〇日に隣の部屋の住民がドンという大きな物音を聞いたと書いてありました。
その日はまだ実家にいたため私が出した音ではありません。ブレーカーも上げていったため電気機器が動いたとも思えませんし、落下物も誰かが入った痕跡もありませんでした。そしてカギはチェーンロック以外は全て掛けられていました。
物音があったのは深夜1時過ぎだと書いてありました。
その後決まって1時から2時頃に物音がすると前後左右の部屋から苦情が来るようになりました。その周期は短くて1週間程度から長くて3週間ぐらいでした。ただ気になるのは苦情が来るのはどれか一つの部屋で同時に苦情が来ることは無かったことです。
他の部屋の人に聞くと何も聞こえなかったというのです。
0680本当にあった怖い名無し垢版2021/06/21(月) 22:51:49.55ID:j7zEGls80
私はやはりこの部屋に何かいるのではないかと確信しました。
あの時に入られたのかまでは分かりませんが、その何かはずっとこの部屋にいて悪戯をしているのではないかと思ったのです。
ある日の夜、ふと目が覚めると白い何かにのしかかられていました。
体はピクリとも動かず辛うじて目だけ動かせたので白い何かに視線を向けると、そこにあったのは帽子に隠れて見えなかった少女の顔でした。
次の瞬間私は汗だくで目覚めました。その少女の顔は私の知らない顔でした。夢か現実か今となってもわかりませんがその顔は今も覚えています。
その日以降悪戯はピタッと止みました。結局卒業するまでそして卒業してからも私は彼女に会うことはありませんでした。
私は二年ほど前に事故のことを調べることにしました。時間と場所さえわかっていれば調べられるので、あの少女の名前だけでも知りたかったのです。
そしてその事故の記事を見つけました。そこに映っていたのは私の知らない少年でした。