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0153 階段 2022/03/14(月) 14:31:13.00ID:93F9NC0j0(1/3)
今から40年ほど前、〇媛県の某市（今も実家がある）に住んでいた頃の話
実家は中2階の構造で、1階の居間から5段上ると階段の踊り場があり、正面（西）は壁になっている
右の扉（北）を開けると台所で、左の階段（南）を上れば、父母の寝室や自分と弟の共同部屋がある2階に続く
ある初夏の夕方、当時小学3年生の自分は、自室のある2階へと階段を上っていた
時間は17時半くらいで、もう少しすれば母が仕事から帰宅する感じだった
父もまだ仕事から帰宅しておらず、何の理由か忘れたが弟も不在で、自分1人で留守番している状態だった
0154 階段 2022/03/14(月) 14:32:08.78ID:93F9NC0j0(2/3)
踊り場まで来た自分は体の向きを変え、少し薄暗くなった階段の1段目に右足を置いた。
自分が右利きということもあり、いつも右足から踏み出すのが癖だった
2階まで続く階段は10段あり、階段の電気をつけないまま上り始めた
そして2階に到着した自分は、何か違和感を覚えて上から階段を見下ろした
幽霊がいたとか、何か変なものが落ちていた訳ではない
誰しも経験があると思うが、繰り返し同じ動作をしていると、体でリズムを覚えたりすることはないだろうか？
まさしくそれに近い感覚で、階段を上り切ったにもかかわらず、何かが腑に落ちない
何が原因なのかわからないので、少しの間その場で考えた
そこで自分は、いつもと同じリズムでもう一度階段を下り、踊り場まで戻ってみた
やはり何かがおかしい、踊り場まで下りてきた感覚がいつもと違う
不思議に思った自分は、とりあえず下から順番に階段を指差しながら数えてみた
なぜか12段に増えていた
「え？あれ？10段のはずなのに？」
もはや訳が分からない
「数え間違いしたのかも？」と思い、今度は1段ずつ階段を上りながら、声に出して数えてみた
間違いない、たしかに12段ある
0155 階段 2022/03/14(月) 14:33:02.59ID:93F9NC0j0(3/3)
恐怖心より、あまりにも不可解な現象が目の前で起こっていることに混乱した
本当は10段と思っていた階段が実は12段で、今までずっと勘違いしていたのではないかとさえ思った
「まてよ、さっき1段目は右足から踏み出したっけ？」
もし左足から踏み出していれば、違和感が生ずるのは当たり前だ
「きっとそうだ、自分が混乱していたせいで階段が多い気がしたんだろう」
急いで踊り場に駆け下り、右足を1段目に置いてから、もう一度声に出して数えながら階段を上った
奇数段は右足で偶数段は左足になるため、当然10段目は左足、2階到着時は右足のはずだ
しかし、なぜか左足で2階に到着してしまう
しかも今度は11段になっていた
もう理解不能で、あまりにも怖くなった自分は、半ば階段を飛び降りるようにして1階に駆け下りた
居間の電気をつけ、そのまま母が帰宅するまで玄関前で待ち続けた
そして母が帰宅後、階段の電気をつけ、もう一度おそるおそる階段を数えてみた
すると、自分の記憶のとおり、階段は10段しかなかった
それ以降、中学を卒業するまで、昼間でも階段の電気をつけないと2階に上れなくなってしまった
「何で明るいのに電気つけるの？」と両親によく言われたが、どうせ話しても信じてくれないと思い、何も言えなかった
社会人になって地元を離れ、帰省した時に当時を思い出して階段を数えてみたが、間違いなく10段だった
今はもう平気だが、本当にあれは一体何だったのだろうか？