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486 :本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 08:06:09.49 ID:5r8B5ycr0
中学校時代に体験した不思議な出来事
中学時代、私は吹奏楽部に所属していました。
部員も少なく、放課後の練習も殆ど個人練習ばかりで、私は友人と音楽準備室
で遊ぶのが日課のようになっていました。
遊び方も今にして思えばくだらないもので、大型楽器が仕舞われている戸棚
の中に隠れるというものでした。
事件当日……その日は私とS君以外音楽室に来ている者はおらず、私たちはい
つもの遊びに興じていました。
487 :本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 08:08:26.91 ID:5r8B5ycr0
私が隠れた戸棚は、抜き差し型の鍵がついており、外側から鍵をかけること
が出来ます。
さて、私は戸棚の暗闇の中でS君が見つけてくれるのを待っていました。
しかし一向にS君は現れません。戸に耳を密着させても外から何一つ物音がせず、
少しばかり不安になった私は外に出てみようと戸を引きますが……
びくともしません。
鍵はかかっていませんでした。抜き差し型なので、差し込んだら必ず音がなりますし
鍵が内側に入ってくるのが見える。
ゆえに鍵がかけられていないのはすぐに分かったけれど、どれだけ力を込めても戸は開かない。
488 :本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 08:10:34.42 ID:5r8B5ycr0
――きっと、S君が外側から押さえつけているんだ。
不気味に思いながら、そんな考えが脳内を過り、S君が音楽室に入るまで大笑いをしていた駄洒落を
言ってみることにしました。笑わずとも、何かしらの反応はあるはず。
が、これも反応無し。それどころか、いきなり、外側から戸を爪でひっかくような音が鳴り響きました。
ちょうど猫が爪とぎをするような感じで、ガリガリ……ガリガリ……と。
489 :本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 08:12:36.75 ID:5r8B5ycr0
「おいおい……ふざけるのも大概にしようよ」
と、息苦しさを感じつつ、少し怒気をこめて言ってみると、今度は……。
ドンドン! ドンドン!
突然爪とぎの音から、戸を激しく叩く音に変わりました。
これはただ事ではないと直感した私は、不安と恐怖で全身が凍りつき、耳をふさいで音が止むのを待って
いると、音楽室の扉が開く音が聞こえ、あまりにもあっけなく引出しの戸が開きました。
顔をのぞかせるS君。
490 :本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 08:14:47.49 ID:5r8B5ycr0
「まだ隠れていたんだww」
などと言うものですから、こっちはすっかり怒って
「悪ふざけもいい加減にしろ!」
と怒鳴っていると……。
「は? 俺って今まで職員室で先生と話していたんだけど?」
「なら確かめに行くぞ!」
ということで職員室に向かい、先生に話を聞いてみれば、確かにS君は先生と話していました。
私が閉じ込められている間……ずっと。
491 :本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 08:16:58.10 ID:5r8B5ycr0
ならばアレは一体誰の仕業だったのか?
S君に先ほど起きた出来事を話しながら、今日はもう帰ろうとということで音楽室にカバンを取りに行った。
音楽室と音楽準備室の位置なのですが、
音楽室
下駄箱 音楽準備室
入口
といった作りになっていて、準備室の扉付近には大きなティンパニが置かれている。
S君がふと、音楽準備室の方に目を向けると、彼は顔を真っ青に染め上げて一目散に走りさってしまいました。
カバンも何もかもを放り出して……。
492 :本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 08:19:11.57 ID:5r8B5ycr0
一体どうしたのかと、私も準備室のティンパニの下側に目を向けてみると……
青 白 い 顔 の 女 が こ ち ら を 見 て い た
悪戯が成功した時のような笑顔を浮かべて。
それ以来、私たちは「遊び」を一切しなくなり、卒業した今、後輩たちに話を聞いても不思議な事件は起きていないとか。
あれは一体、誰だったんだ?
以上です。長文失礼いたしました。