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やこう

ご乗車ありがとうございます。 車掌は怪談や奇談、洒落怖、ホラーなど、『怖いモノ』をジャンル問わず収集しているオカルトマニアです。 皆様も「この世発、あの世行き」の夜の寝台特急の旅をごゆっくりお楽しみください。
『怖い』を楽しむオカルト総合ブログ
ミルキーウェイに向かう車の中でスマホを確認すると前田さんからLINEが来ていた。 『ワシントンジャーナルとかの海外メディアが大々的に取り扱ってくれてますね!めちゃくちゃ拡散してますよこれ』 一瞬、書いてあることが理解できなかったが、三度読み返して海外の有名メディアが大霊障をきっかけに取り上げてくれているのがわかった。 前田さんが送ってきてくれていたリンクをタップする。 ブラウザに切り替わって表示されたサイトには、海外のメディアがどう扱っているかが翻訳付きで紹介されていた。 「よっしゃ!」 突然大声を出した ...
おバカバーテンダーのジュン君が、客であり飲み仲間でもあるママさんのスナックに行った時の話。 同じ街で夜の飲食店を経営する仲間ということで、互いの店に飲みに行ったり来てもらったりすることはよくある。昔から面倒を見てくれて仲の良いママさんのお店に遊びに行った。営業直前の時間に到着して、当然準備しているであろうスナックのドアに手をかけると、鍵が閉まっていた。 看板や店前の電気はついてる。おそらく買い出しか何かで出かけているんだと重っねママさんに電話をかけた。 「ごめんねちょっと家に忘れ物した。カギ使って勝手に入 ...
「ちょっと下ネタなんすけど大丈夫ですか?」 そう前置きをして語り出した話は実にくだらないものだった。ジュン君が数日前から腹痛に苦しんでいた時のこと。お腹の中になかなか出ようとしないラスボスのような便があることには気づいていたが、運動しても繊維を意識して摂取しても出てきてくれない。外出先でも思い出したようにキリキリと痛みを発し、その度にトイレを探して駆け込む日々を送っていたという。 そんな日々を過ごしつつ、友人と居酒屋で酒を飲んでいた。個人経営の小さな居酒屋で店内は20人も入ればギュウギュウになるような広さ ...
「俺には霊感ないけど、社長といると酷い目に遭うんだよね」 そう話してくれたのは埼玉県某市にある学習塾で働く足立さん。 私の事務所からほど近く、霊感のある塾の社長とは飲み仲間でもあるので、よく営業後の塾にお邪魔しては一杯やりながら社長の霊体験を聞かせてもらうことが多かった。 片付けをする社員さんとも挨拶を交わすわけで、中でも足立さんはお調子者で年齢も近く、互いに友人のような接し方をしていた。 「足立さんはないの?オバケ体験」 塾の応接机に座り缶ビールをやりながら社長と話していたら足立さんが入って来た。 それ ...
中学三年生のころ。ふたつ年上の兄と二人部屋で暮らしていたジュン君は兄の友人達とも仲良くしていた。兄は社交的で交友関係が広く、いわゆる陽キャ集団に属していた。男女問わず様々な友人達が遊びにきており、いわゆる『溜まり場』としてジュン君の部屋は使われていた。 兄達がバイクに乗って買い物などに行くとき、女子生徒などは「私残るねー」といって部屋に居残り、そのままマンガを読んでいることもあった。ジュン君からしたら女の先輩と部屋に二人きりになるシチュエーションでドキドキしていた。以前に兄の友人である男の先輩に言われたこ ...
「あいつだけは許せないって奴がいたんすよ」 ジュン君が渋い顔をして語り出した。ジュン君というのは都内のあるお店でバーテンダーをやっている30代の男性。彼は自分がバカであることを自覚しており、これまでの失敗談やおバカエピソードで笑いを取るのが上手かった。そして子供の頃から日常的に霊を見る体質でもあった。 高校生の頃、彼は実家から電車で2時間かけて東京にある美容室に月イチで通っていた。学校の友人達と被らないためにあえて遠方の美容室に通っていたという。それが彼なりのイケてる行動だった。 高校を卒業してバイトを始 ...
池袋の飲食店で働く霊感少女ナミさんから聞いた話。 現在二十代の彼女は幼い頃から日常的に霊を見てきたために、そこそこの怪奇現象ではいちいち怖がっていられないそうです。 交差点や路地裏の暗がりに立っている人間が透けていたり、自宅以外の場所で不可解な音を聞いたくらいでは基本的に無視を決め込む。 そんな彼女の日常は独特で面白いのでいくつか紹介しようと思います。 それではどうぞ。 祖父が亡くなって5年近くが経つという。 亡くなった時期は新型コロナウィルスが猛威を振るっており、祖父の葬儀はおろか遺体に対面することも叶 ...
池袋の飲食店で働く霊感少女ナミさんから聞いたお話です。現在20代の彼女は小さい頃から日常的に霊を見てきたためにオバケに関しては慣れ切っているそう。それでも怖いものは怖いそうで、近くにオバケがいたら逃げ出すような生活を送っているとのこと。そんなナミさんが「逃げるに逃げられない」状況に陥ってしまった時のお話が可哀想で面白いので書かせて頂きました。それではどうぞ。 当時付き合っていた彼氏とラブホテルに入ったら、部屋に入った途端、部屋の中からパキッというラップ音が聞こえた。パキッ、パキッと続けざまに鳴っている。氷 ...
「ホッピングあるじゃないっすか。ピョンピョンするやつ」バーカウンターの向こうで小さくジャンプして見せるジュン君。「そいつ多分ですけどホッピングやってて死んだんすよ」 小学生の頃、彼は学校からの帰り道で不思議なモノを見た。その日は体調不良で欠席した友人のS君の家に、クラスメイト達と学校のプリントを届けに行った帰りでいつもの道ではなかったという。なんの変哲もない住宅街の路地の向こうに、一人でホッピングをする子供の姿があった。下級生だろうか、その男の子は自分達よりも早い時間に帰宅して一人で遊んでいるらしい。 そ ...
田舎から東京に出てきてフリーターをやっていた頃。 友人宅で飲み会をやっていた時。 前触れもなく「え゙え゙え゙え゙え゙」という声が喉から出てきた。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 自分では制御できないどころか、口が『え』の形に開いたまま閉じることすらできない。 まるで口だけ金縛りになった状態で喉が痙攣している。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 「なに?なにやってんの?」 友人の1人が真顔でツッコミを入れた。 「いや俺もよくわか…え゙え゙え゙え゙え゙…なにこれ」 人間の声というより、鳥か爬虫類が喉を鳴らすような音。 エと ...
池袋の飲食店で働くジュンという男性から聞いたお話です。 まず最初に断っておくことがあります。 それは『ジュン君は愛すべきバカである』ということ。 それではどうぞ。 「俺たぶん前世でめちゃくちゃ恨まれてるんすよ!」 とある小さなバーのカウンターに立ってアハハと笑う彼は、子供の頃からそれはそれは恐ろしい目に遭ってきたという。 子供の頃、ジュン君は知らなかったが実家に住んでいる両親や祖父母が頭を抱えていた出来事があった。 ある時期から深夜に実家の電話が鳴るようになったという。 最初に電話に出たのは祖父だった。 ...
『前田さん、ニュースみてます?』 『今起きてる事件は天道宗のガチの無差別テロなので駅には行かないでください』 『駅前にも行かない』 『できれば知り合いにも拡散よろです』 篠宮さんから立て続けにLINEが入ってきたので仕事の手を止めてニュースサイトとTwitterを表示する。 渋谷のスクランブル交差点で、小さな子供らしき黒い影が踊るように飛び跳ねながら駆け回っている映像がリツイートされている。 一見してCGかと思ったが、同じような映像が別々のスマホで撮影され続々と上がっているので、それがマジであるのがわかる ...
天道宗の集大成、大霊障と思われる同時多発の心霊テロ。 東京や大阪の人が多く行き交う場所に置かれた箱。 その周囲で人がバタバタと倒れていき、ネットで拡散した映像や画像にはどう見ても心霊としか思えないナニかが映り込んでいる。 そして人々の面前で行われたヨミによる集団入水自殺のパフォーマンス。 結局横浜で海に飛び込んだ人間で助かったのは2人しかいなかった。 その2人も病院に搬送されたということ以外の情報はない。 篠宮さんとの電話を終えた俺は阿部ちゃんと共に民明放送から最も近い現場に急行した。 駅構内は現場付近こ ...
おバカバーテンダーのジュン君 昔話その3。 前話はこちらから。 「ホッピングあるじゃないっすか。ピョンピョンするやつ」 バーカウンターの向こうで小さくジャンプして見せるジュン君。 「そいつ多分ですけどホッピングやってて死んだんすよ」 小学生の頃、彼は学校からの帰り道で不思議なモノを見た。 その日は体調不良で欠席した友人のS君の家に、クラスメイト達と学校のプリントを届けに行った帰りでいつもの道ではなかったという。 なんの変哲もない住宅街の路地の向こうに、一人でホッピングをする子供の姿があった。 下級生だろう ...
おバカバーテンダーのジュン君 昔話その2 前話はこちらから 田舎から東京に出てきてフリーターをやっていた頃。 友人宅で飲み会をやっていた時。 前触れもなく「え゙え゙え゙え゙え゙」という声が喉から出てきた。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 自分では制御できないどころか、口が『え』の形に開いたまま閉じることすらできない。 まるで口だけ金縛りになった状態で喉が痙攣している。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 「なに?なにやってんの?」 友人の1人が真顔でツッコミを入れた。 「いや俺もよくわか…え゙え゙え゙え゙え゙…なにこれ」 ...