やこうの記事
駅のホームにいる霊がどう見てもウルトラマンにしか見えない件
「僕が見たものがなんだったのか、わかる人がいたらと思って」 そう語ってくれたのは、都内で接骨院を営むKさんという男性。 Kさんにはとある思い出がある。 今となっては思い出したくない記憶だが、それがなんだったのか、今も気になっているという。 東京の西のはずれの街で生まれ育ったKさんは、幼い頃から霊感があった。 物心ついた時には街中や家の中で変なモヤを見るようになっていた。 毎日見かけるものだし、彼に襲い掛かってくるわけでもなかったから、特段それが恐ろしいものであるという認識はなかったという。 人間サイズの白 ...
第二部 四話 それぞれの覚悟
平将門を封じた結界が破壊されてから2週間。 この間に私たちは実に6回のデモを行った。 最初のデモが成功したことを受けて私はまずジローさんに相談して、天道宗による解体工事が終わるまでなるべくデモを続けようと決めた。 すでに鎮しずめ物が掘り出されてしまった解体現場を除く全ての現場で連日デモを行う。 OH!カルトや怪談ナイトの公式Twitterで参加を呼びかけ、平日だろうがなんだろうが構わず集まってシュプレヒコールを上げる。 2回目以降のデモではマイクを握るのはジローさんの役目となった。 もともと芸能人として活 ...
第二部 三話 魔法陣喪失
「ミルキーウェイ?」 和美さんからの電話に出ると、開口一番にその名前を言われた。 「天道宗の本部の場所がわかったわ。NPO法人ミルキーウェイ。ネットで調べたけど横浜にある会社ね。最上階がオフィスになっていて、そこが天道宗の本部みたいなの」 和美さんは興奮しているようで早口にそう言った。 「ちょっ…ちょっと待って。どうやってわかったの?」 「理恵さんがようやく話してくれたのよ。あの子はそこでヨミの霊を取り憑かされた。地下にすごい数の箱が保管してあるらしいから、すぐにでも乗り込むべきだと思う」 これから乗り込 ...
実話怪談・池袋西口のラブホテルに現れた怪異
池袋の飲食店で働く霊感少女ナミさんから聞いたお話です。 たくさん聞かせていただいたお話のひとつなので、今後数話にわけて投稿します。 それではどうぞ。 当時付き合っていた彼氏とラブホテルに入ったら、部屋に入った途端、部屋の中からパキッというラップ音が聞こえた。 パキッ、パキッと続けざまに鳴っている。 氷の入ったグラスに水を注いだ時のようなパキッという音だったという。 かつて実家や心霊スポットで感じたような嫌な雰囲気は、その部屋では何も感じなかった。 ただ部屋の中では繰り返しラップ音が鳴っている。 彼氏にはど ...
第二部 二話 壊された日常
前回のあらすじ 天道宗のインタビューを受け入れた水無月達。 インタビューを続ける中で天道宗の思惑を見抜いて、彼らの望みが『この国の破壊と混乱である』と断ずる水無月。 そんなさなかテレビをつけてくれと申し出る天道宗。 画面に映し出されたのは国内4か所で同時多発したヨミによる集団自殺テロの映像だった。 再び現れたヨミという恐怖にさらされたこの国は…。 土曜日の昼過ぎ。 朝から自宅のパソコンでネットゲームをやっていたら携帯がヴヴヴッと震えた。 画面を見ると由香里からのLINEが来ている。 ちょうど手が離せるタイ ...
第二部 一話 繰り返される悪意
前回のあらすじ 天道宗によるヨミ騒動や大規模な呪術結界の存在をOH!カルトで告発した水無月。 出演したラジオ番組「怪談ナイト」生放送中に天道宗から取材の申し込みが届く。 恐怖を抱きつつもまたとない機会に取材を受けることに決める。 水無月、神宮寺、伊賀野、ジロー、阿部の5人が民明書房の会議室で天道宗を待つ。 内線電話で私宛の来客が到着した旨を聞いてわずかに逡巡する。 受付のスタッフに、そのまま来客を会議室に連れてきてもらうよう頼んだ。 本来なら私が取材相手をロビーまで迎えにいくのが礼儀だが、たとえその数分間 ...
第一部 四話 恐れを乗り越えて
「てことはここも天道宗の結界の内側になるわけか」 神宮寺さんがフムと息をついて腕を組んだ。 私は泰雲堂の応接セットで神宮寺さんと向かい合っている。 宗方くんはカウンターに座っているがこちらに顔を向けて話を聞いている。 三谷建設でのヒアリングで天道宗の敷いたレイラインのことを知り、特殊な鎮物をした箇所をマーキングした地図をコピーさせてもらって、すぐに泰雲堂へと戻って神宮寺さんに報告をした。 「陣じんがあるならどこかに傷をつけて破綻させるのが結界破りの定番だが、ビルの地下に埋められちまったものはすぐにどうこう ...
第一部 三話 見え始めた影
天道宗を告発する記事を書いて1週間ほど経ったある日、私は東京駅の近くにある喫茶店に呼び出されていた。 呼び出しをかけたのは姉。 昔から頭の上がらない数少ない相手である。 篠宮神社の長女として最も神様の近くに置かれ、何をするにも拝殿や本殿が目に入る位置で行うよう躾けられて来た神様の許嫁。 母にしてみれば「神様がしーちゃんを直接見守りたいから、おそばに置かせて頂いてるだけよ」ということだが、本人にとってはたまったものではなかったらしく、高校卒業と同時に姉は東京へ出た。 両親の教育方針としてはただ「何をするにも ...
【ありがたすぎてシェア】「闇の鳴動」に対する台湾の皆さんの反応
Unlin篠宮神社シリーズが好き、天道との決戦を待っている読者はたくさんいますよ! 01「第一部 一話 霊能者インタビュー 嘉納康明1~2」「魔女」に対するコメント be*******: 篠宮神社を見ただけでスレをクリックした。 an******: タイトルを見ただけで凄く興奮した!!!! an*********: 興奮したのは私も同じです! do**********: 俺の愛人になってくれるって何よwww あしたのエピソードが楽しみです! o8****: おおおお!待っていました! cy*****: ...
第一部 二話 望まぬ再会
前回のあらすじ 天道宗によるヨミ騒動や邪悪な箱の呪術を受け団結する霊能者達。 月刊OH!カルトでの特集をラジオでも拡散するべくジローに依頼する水無月。 リスナーから相談を受け呪術の施された箱を回収し、伊賀野庵で除霊を行う。 伊賀野和美の除霊に感銘を受けたジローは、伊賀野・笠根・水無月に出演を依頼する。 「はい。今夜も始まりました。毎週金曜の夜にお届けする怪奇な番組『怪談ナイト』のお時間です」 阿部ちゃんのキューに合わせていつも通りの言葉で喋り始める。 いつもは小林さんと2人きりなので、5人もいると放送ブー ...
【業務連絡】書籍発売のお知らせと今後の展望【読者の皆さんへ】
書籍化についてのお知らせです。 以前の投稿で「書籍化します」とお知らせをしましたが、実は日本国内ではなく台湾での書籍化となります。 特設ページ http://www.revebooks.com/chilin/Shrine/news.html 書影が確認できます。 表紙はあの御方!! 販売ページ https://www.books.com.tw/web/sys_puballb/books/?pubid=chihlin 「買いますよ~」と言ってくれた日本の読者さんには本当に申し訳ないですが、現在、日本国内での ...
山に入れなくなった話【朗読用】 第14話
「ウチの母に事の顛末を説明して、それで例の神様についてどう思うかを聞いてみたんです。なので私の考察というよりは母の考察ですね。私を通してウチの神様もある程度は事情をわかってくれてるはずですから、その神様と母の言うことが今のところ最も信憑性があると思っています。母が直接前田さんとお話ししたいと言うので、今から電話しますね」 篠宮さんがスマホを取り出し電話をかける。 ここにきて新たな人物か。 しかも母とは。 実家が神社と言っていたな。 女性が神主なのだろうか。 「もしもし?お母さん?今から大丈夫?うん、うん、 ...
山に入れなくなった話【朗読用】 第13話
結果が出たのは篠宮さんが初めて来社してから一週間ほど経ってからだった。 この一週間でほとんどわかったというのだからライターというのは大したものだ。 最初にわかったのはアレの正体だった。 「まずはアレの正体ですね。アレは一般的にオバケと呼ばれるモノではありませんでした。アレはいわゆる鬼。オニです。人が死んで化けて出たのではなく、最初から鬼として生まれた、主に山などに住む妖怪ですね」 鬼。オニ。オバケではない。 だからあんなに生々しい食われ方だったのか。 「鬼については古今東西、強いのも弱いのも良いのも悪いの ...
山に入れなくなった話【朗読用】 第12話
《月刊OH!カルト》編集者 篠宮水無月みなづき ライターさんが差し出した名刺にはそう印刷されていた。 クソみたいな名前の雑誌だなと思いつつ軽く談笑する。 この手のオカルト系雑誌は今まで積極的に避けてきたので詳しくはない。 この雑誌が有名なのかどうかも全くわからない。 「マニア向けジャンルですからねー。知る人ぞ知るって感じです。根強いファンがいますから時代に左右されないでそこそこの部数をキープしてます」 篠宮さんは長い髪をゆる巻きにしてまとめた感じのアクティブ系女子で、ジャケットにジーンズというラフなスタイ ...
山に入れなくなった話【朗読用】 第11話
振り返ってみれば一連の怪現象に悩まされたのはたった四日間の出来事だった。 あのビデオ編集の仕事をした日から数えると結構な日数になるのだが、伊賀野トク子の死を知り、寺社を巡って御守りやお札を集め始めたのはつい六日前のことだ。 「…………」 凄まじい四日間だった。 あの霊に翻弄され続けた四日間。 特に最期の二日間はキツかった。 木崎美佳の姿をしたアレにつきまとわれ、最悪なことに死人まで出てしまった。 「……………」 タッキーと伊賀野さんのお弟子さん達。 取り返しのつかない犠牲を思うと辛い。 しかし不謹慎だが、 ...