やこう

ご乗車ありがとうございます。 車掌は怪談や奇談、洒落怖、ホラーなど、『怖いモノ』をジャンル問わず収集しているオカルトマニアです。 皆様も「この世発、あの世行き」の夜の寝台特急の旅をごゆっくりお楽しみください。

ジュン君⑤ リコ先輩【動画有】

中学三年生のころ。ふたつ年上の兄と二人部屋で暮らしていたジュン君は兄の友人達とも仲良くしていた。兄は社交的で交友関係が広く、いわゆる陽キャ集団に属していた。男女問わず様々な友人達が遊びにきており、いわゆる『溜まり場』としてジュン君の部屋は使われていた。 兄達がバイクに乗って買い物などに行くとき、女子生徒などは「私残るねー」といって部屋に居残り、そのままマンガを読んでいることもあった。ジュン君からしたら女の先輩と部屋に二人きりになるシチュエーションでドキドキしていた。以前に兄の友人である男の先輩に言われたこ ...

ジュン君④ ぜってー許さないっす【動画有】

「あいつだけは許せないって奴がいたんすよ」 ジュン君が渋い顔をして語り出した。ジュン君というのは都内のあるお店でバーテンダーをやっている30代の男性。彼は自分がバカであることを自覚しており、これまでの失敗談やおバカエピソードで笑いを取るのが上手かった。そして子供の頃から日常的に霊を見る体質でもあった。 高校生の頃、彼は実家から電車で2時間かけて東京にある美容室に月イチで通っていた。学校の友人達と被らないためにあえて遠方の美容室に通っていたという。それが彼なりのイケてる行動だった。 高校を卒業してバイトを始 ...

ナミちゃん② 帰省する際に起きること

池袋の飲食店で働く霊感少女ナミさんから聞いた話。 現在二十代の彼女は幼い頃から日常的に霊を見てきたために、そこそこの怪奇現象ではいちいち怖がっていられないそうです。 交差点や路地裏の暗がりに立っている人間が透けていたり、自宅以外の場所で不可解な音を聞いたくらいでは基本的に無視を決め込む。 そんな彼女の日常は独特で面白いのでいくつか紹介しようと思います。 それではどうぞ。 祖父が亡くなって5年近くが経つという。 亡くなった時期は新型コロナウィルスが猛威を振るっており、祖父の葬儀はおろか遺体に対面することも叶 ...

ナミちゃん① ラブホ幽霊【動画有】

池袋の飲食店で働く霊感少女ナミさんから聞いたお話です。現在20代の彼女は小さい頃から日常的に霊を見てきたためにオバケに関しては慣れ切っているそう。それでも怖いものは怖いそうで、近くにオバケがいたら逃げ出すような生活を送っているとのこと。そんなナミさんが「逃げるに逃げられない」状況に陥ってしまった時のお話が可哀想で面白いので書かせて頂きました。それではどうぞ。 当時付き合っていた彼氏とラブホテルに入ったら、部屋に入った途端、部屋の中からパキッというラップ音が聞こえた。パキッ、パキッと続けざまに鳴っている。氷 ...

ジュン君③ ホッピング幽霊

おバカバーテンダーのジュン君 昔話その3。前話はこちらから。 「ホッピングあるじゃないっすか。ピョンピョンするやつ」バーカウンターの向こうで小さくジャンプして見せるジュン君。「そいつ多分ですけどホッピングやってて死んだんすよ」 小学生の頃、彼は学校からの帰り道で不思議なモノを見た。その日は体調不良で欠席した友人のS君の家に、クラスメイト達と学校のプリントを届けに行った帰りでいつもの道ではなかったという。なんの変哲もない住宅街の路地の向こうに、一人でホッピングをする子供の姿があった。下級生だろうか、その男の ...

ジュン君② 調子に乗ってたんすよ

おバカバーテンダーのジュン君 昔話その2 前話はこちらから 田舎から東京に出てきてフリーターをやっていた頃。 友人宅で飲み会をやっていた時。 前触れもなく「え゙え゙え゙え゙え゙」という声が喉から出てきた。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 自分では制御できないどころか、口が『え』の形に開いたまま閉じることすらできない。 まるで口だけ金縛りになった状態で喉が痙攣している。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 「なに?なにやってんの?」 友人の1人が真顔でツッコミを入れた。 「いや俺もよくわか…え゙え゙え゙え゙え゙…なにこれ」 ...

ジュン君① 閣下ですか?

池袋の飲食店で働くジュンという男性から聞いたお話です。 まず最初に断っておくことがあります。 それは『ジュン君は愛すべきバカである』ということ。 それではどうぞ。 「俺たぶん前世でめちゃくちゃ恨まれてるんすよ!」 とある小さなバーのカウンターに立ってアハハと笑う彼は、子供の頃からそれはそれは恐ろしい目に遭ってきたという。 子供の頃、ジュン君は知らなかったが実家に住んでいる両親や祖父母が頭を抱えていた出来事があった。 ある時期から深夜に実家の電話が鳴るようになったという。 最初に電話に出たのは祖父だった。 ...

第三部 三話 大霊障エピローグ

『前田さん、ニュースみてます?』 『今起きてる事件は天道宗のガチの無差別テロなので駅には行かないでください』 『駅前にも行かない』 『できれば知り合いにも拡散よろです』 篠宮さんから立て続けにLINEが入ってきたので仕事の手を止めてニュースサイトとTwitterを表示する。 渋谷のスクランブル交差点で、小さな子供らしき黒い影が踊るように飛び跳ねながら駆け回っている映像がリツイートされている。 一見してCGかと思ったが、同じような映像が別々のスマホで撮影され続々と上がっているので、それがマジであるのがわかる ...

第三部 二話 大霊障・後編

天道宗の集大成、大霊障と思われる同時多発の心霊テロ。 東京や大阪の人が多く行き交う場所に置かれた箱。 その周囲で人がバタバタと倒れていき、ネットで拡散した映像や画像にはどう見ても心霊としか思えないナニかが映り込んでいる。 そして人々の面前で行われたヨミによる集団入水自殺のパフォーマンス。 結局横浜で海に飛び込んだ人間で助かったのは2人しかいなかった。 その2人も病院に搬送されたということ以外の情報はない。 篠宮さんとの電話を終えた俺は阿部ちゃんと共に民明放送から最も近い現場に急行した。 駅構内は現場付近こ ...

バ怪談・ホッピング幽霊

おバカバーテンダーのジュン君 昔話その3。 前話はこちらから。 「ホッピングあるじゃないっすか。ピョンピョンするやつ」 バーカウンターの向こうで小さくジャンプして見せるジュン君。 「そいつ多分ですけどホッピングやってて死んだんすよ」 小学生の頃、彼は学校からの帰り道で不思議なモノを見た。 その日は体調不良で欠席した友人のS君の家に、クラスメイト達と学校のプリントを届けに行った帰りでいつもの道ではなかったという。 なんの変哲もない住宅街の路地の向こうに、一人でホッピングをする子供の姿があった。 下級生だろう ...

バ怪談・調子に乗ってたんすよ

おバカバーテンダーのジュン君 昔話その2 前話はこちらから 田舎から東京に出てきてフリーターをやっていた頃。 友人宅で飲み会をやっていた時。 前触れもなく「え゙え゙え゙え゙え゙」という声が喉から出てきた。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 自分では制御できないどころか、口が『え』の形に開いたまま閉じることすらできない。 まるで口だけ金縛りになった状態で喉が痙攣している。 「え゙え゙え゙え゙え゙」 「なに?なにやってんの?」 友人の1人が真顔でツッコミを入れた。 「いや俺もよくわか…え゙え゙え゙え゙え゙…なにこれ」 ...

バ怪談・閣下ですか?

池袋の飲食店で働くジュンという男性から聞いたお話です。 まず最初に断っておくことがあります。 それは『ジュン君は愛すべきバカである』ということ。 それではどうぞ。 「俺たぶん前世でめちゃくちゃ恨まれてるんすよ!」 とある小さなバーのカウンターに立ってアハハと笑う彼は、子供の頃からそれはそれは恐ろしい目に遭ってきたという。 子供の頃、ジュン君は知らなかったが実家に住んでいる両親や祖父母が頭を抱えていた出来事があった。 ある時期から深夜に実家の電話が鳴るようになったという。 最初に電話に出たのは祖父だった。 ...

怪談の体験者さんと執筆者さんが匂わせしてきてイライラする話

「この先の話もあるんだけど、それは言えないんだ」 こういう展開は怪談に限らず人に話を聞く仕事をしていれば出くわすことだろう。 何かクリティカルな出来事があるらしいのだが、『とある事情』とやらで話すことができないと。 「これ以上はマジで洒落にならないからごめん。〇〇さん、これ以上はまずいよね?」 「ああーうん、まずいね、まずい」 グループ通話のやり取りを聞いて内心でため息をつく。 うんざりしていた。 グループ通話の相手は当該の怪談の体験者とそれをまとめた怪談作家である。 彼らとツイキャス配信をするためのテス ...

第三部 一話 大霊障・前編

勧請院さんと合流してから今日で3度目の天道宗施設襲撃。 俺がカメラを向ける先で、篠宮さんと勧請院さんが天道宗の男から話を聞き出している。 勧請院さんが1人で乗り込んで油断させつつ施設内を制圧し、その後にカメラを持った俺から施設内に入って撮影する。 まあ制圧といっても施設にいるのはほとんどが中高年の大人しそうな人たちで、なぜか不自然な体勢のまま気を失っているので、その場で暴力が振るわれた形跡はない。 勧請院さんによる威圧というか、霊的な何かを浴びせると普通の人間は気を失うのだそうだ。 試しにやってみせようか ...

駅のホームにいる霊がどう見てもウルトラマンにしか見えない件

2024年ニコニコ超会議出展ブースにて配布 取材:かみよう『琴葉茜と不思議探訪シリーズ』 執筆:夜行列車 「僕が見たものがなんだったのか、わかる人がいたらと思って」 そう語ってくれたのは、都内で接骨院を営むKさんという男性。 Kさんにはとある思い出がある。 今となっては思い出したくない記憶だが、それがなんだったのか、今も気になっているという。 東京の西のはずれの街で生まれ育ったKさんは、幼い頃から霊感があった。 物心ついた時には街中や家の中で変なモヤを見るようになっていた。 毎日見かけるものだし、彼に襲い ...

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