970 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
1か月ほどしたある日、親父からいつになく真面目な声色で、直ぐに家に来て欲しいと言われたので、実家に帰って見たものは、変わり果てた姉と母の姿だった。
見た目は明らかにやつれていて、骨と皮の老婆みたいになっていた。
前にネットで見た、ベジタリアンの女の子の画像そっくりだった。
そして、俺や親父に対して敬語で喋っていて、一人称を「僕」と言っている。
何より異様なのが、真っ白なおしろいに真っ赤な口紅に、おかっぱのちょっと長いバージョン?
みたいな、全く同じ髪型をしていた。
「お母さん!どうしたの?姉ちゃんも何言ってんだよ!」
とか激しめに話しかけても
「ごめんなさい。直ぐに片付けます」
とか
「ごめんなさい、お荷物どかしますね」
とか言って、どう見ても異様な感じだった。
さらに極め付け。俺と親父が目を離すとキャッキャと子供のように二人でじゃれ合いはじめるんだが、二人はお互いにお化粧をし合いながら、牡丹の柄の手鏡を使っていた。
971 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
頭を抱える親父に説明を求めると、少し迷った後に、
「どうせ説明するつもりで呼んだんだしな…」
と言って、経緯を話し始めた。
「あれは、ウチに丁稚奉公に来てた小僧の持ち物だったんだ」
昭和初期はウチの会社も景気が良く、従業員も結構いたんだけど、
商売柄、少し白い目で見られることも多く、普通の社会人というよりは
何かしら事情のある従業員が多かったらしい。
その中の一人に、丁稚奉公に来てた少年がいた。
少年はコドモオカマ(と、親父は言ってたけど、たぶん性同一性障害?ってやつ?)で、
親がどんなに注意しても周りに隠れて化粧をしたりするもので、
顧客だった親から半ば厄介払いの体で会社に丁稚奉公に出されたのだと言う。
昭和にそんな時代劇みたいな奉公とかあんのかよ?
とか思ったけど、どうも本当らしい。
でも、当然会社でも厄介者扱いされるわ、通わせていた学校でもいじめられるわで、次第に心を壊していき、最後には会社で首を吊って自殺したんだとか。
972 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
当時は自殺、夜逃げはそんな大事件!と言う程のことじゃなかったらしく、
「かわいそうなことしたな」
くらいで終わったそうなんだが、彼の遺品の手鏡が、曰くの品になってしまった。
最初の犠牲者は従業員の娘。
遺品の中でも大きい物は実家に送り返したそうだけど、小さい者は処分することになったんだけど、
綺麗な手鏡は勿体ないと思ったのか、従業員が自分の娘にあげたそうな。
しばらくすると娘が自分の事を”僕”と言い始め、やたらと化粧をしたがるようになる。
知的障害のようになり、どんどんどんどんやつれて行き、最後にはやせ細って死んじゃったと。
次にその従業員。頭がおかしくなって亡くなったとはいえ、
娘のお気に入りの遺品である手鏡を仕事中によく見てたらしいんだが、
ある日から急に化粧をし出し(もちろんオッサン)、やつれて会社に来なくなり、
自宅で首を吊っていた。
このあたりであの手鏡はヤバイ!直ぐに神社に!
という話になったんだけど、神社に持っていったら
「無理やりあの会社から引き離したら会社がつぶれる」
という旨のことを言われて、それからずっと保管してあったのだそうだ。
973 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
何故、あの手鏡を姉が持って帰ったのかはわからないが、どう見ても異常事態だった。
親父が俺を呼んだのは、二人を縛り上げて神社に持っていくため。
俺の方が当然力が強いとはいえ、キチガイのようになってしまった実の母と姉を
縛り上げて車に乗せるのはつらくて涙が出てしまった。
親父の運転するハイエースで神社まで行き、そこで全員祈祷してもらって、
いくらか症状が落ち着いたように見えた姉と母は
「まだ完全に祓うには時間がかかる」
ということだったので、親父が金を包んで、総本山?的な、泊まれる施設のある某神社に移送となった。
俺と親父は出来る限り頻繁に先祖の墓参りをして、仏壇をきれいに整え、信心を持って祈っていれば、必ず母と姉は元に戻る。と言われた。
974 :本当にあった怖い名無し:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:J/PF5Y2q0
これが3ヶ月前の話。
親父が行くと良くない(何故かは知らない)とのことで
俺が月1で某神社に行ってるんだけど、姉と母はもう見た目には正常に戻っているように見えた。
髪型がスポーツ刈りみたくなってたのが可愛そうだったけど…
姉も幸いフリーターだったから、もともと職歴ないようなものだし、
大きな問題は無い形で終わりそうで、本当に良かったと今安心しているところ。
でも不安要素もあって、一か月くらい前かな?
一息付いたなーって時に親父が言いだしたんだよ
「あのな、あの呪いアイテムリスト…あと3個、見つからないものがあるんだよ…」
もう怖くて怖くてしょうがない。
建物ツブして、地鎮祭みたいなのやれば瓦礫に埋もれた?はずの呪いアイテムも祓われないかな?
って今は考えてます。