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339 :本当にあった怖い名無し:2008/03/30(日) 23:19:19 ID:V+JD5sL30
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子どもの頃の話。
大して遊べる施設がない田舎町だったので、遊ぶといえば
誰かの家でゲームをするか、山とか集落を歩いて探検するとか、の2択
くらいしかする事がなかった。
小学校が休みの日、最初は友だちとゲームしたりして遊んでたんだが
どうにも飽きてしまってどっか面白いところは無いか、て話になった。
俺は近所にうちの爺さんがよく山菜を取りに入っている山があるのを思い出した。
よくふきのとうやきのこをザルいっぱいに取ってうちにもってきてくれていたんだ。
で、その山にいって山菜とかを取りにいくか、て事になった。
341 :本当にあった怖い名無し:2008/03/30(日) 23:19:59 ID:V+JD5sL30
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一旦みんな家に帰って山歩き道具を自転車に詰め込んでその山に向かった。
途中まではアスファルトの道路があるんだが、その先は何もない。
あとはうすら位杉の森が広がっているだけだ。
どこから入ろうか、と思案にくれていると友だちの一人が草むらの先にけもの道
を見つけた。3時くらいなのに日があまり差しこまなくて暗い。
用意がいい俺たちは懐中電灯をつけて進むことにした。
その山は入って見ると思いのほか鬱蒼としていて山菜取り、なんて雰囲気ではなかった。
懐中電灯片手に草むらをかきわけて進む。
ちょっとした探検みたいで小学生の俺たちは目的を忘れて奥へ、奥へと入っていった。
342 :本当にあった怖い名無し:2008/03/30(日) 23:20:21 ID:V+JD5sL30
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で、暫くいくと唐突に草むらがない空間で出た。
俺たちは山の奥に自分たちしか知らない空間を見つけた、という喜びで舞い上がった。
ここをしばらく探索の拠点にしようよ、と言ってそこで普段禁じられてるサバイバルゲームみたいなこと
や花火やらでしばらく盛り上がった。
そんな折友だちの一人が不意に声をあげた。やっていなかった夏休みの宿題の再提出の期限が
明日だった、と言い出したのだ。もういいじゃん、一日くらい変わらないよ、とみんな言ったが、
そいつは先生が怖いから、と言って先に抜けることになった。
343 :本当にあった怖い名無し:2008/03/30(日) 23:21:01 ID:V+JD5sL30
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そんな事をしている内に暗くなってきて、その日は帰ることになった。当然この日の事は
友だちだけの秘密って事になった。山を出る頃には真っ暗になっていたが、こういう山歩きには
慣れていたので特に問題なく山を抜けることが出来た。
ちょっと不気味な雰囲気になってきてはいたがみんなバカ話に夢中でそんなこと気にもしなかった。
でも、自転車を泊めたところについたとき、話は止まった。
あいつの自転車まだおいてあるじゃん。
344 :本当にあった怖い名無し:2008/03/30(日) 23:22:49 ID:V+JD5sL30
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携帯なんてなかった時代だ。一回外で離れてしまえば家に着くまで連絡の取りようがない。
小学生の俺たちは声をあげてそいつの名前を呼んだ。
一人が山に入って探そうって言い出したが、それは別の友だちに止められた。
もしかしたら自転車を置いて車で近くまで迎えに来てもらったかもしれないという話も出た。
なにせ、広場からここまではさっき通ったけもの道をまっすぐ来るだけなんだから、迷うわけがない。
落ちて迷い込むような淵も窪みも無い。だからそうに違いない、という事だったのだ。
で俺たちはとにかくそいつの家に確かめに行くことにした。
だけど、そこに友だちはいなかった。
自分たちの遊びを隠すこともできず友だちの親父さんに事情を話した。
345 :本当にあった怖い名無し:2008/03/30(日) 23:24:02 ID:V+JD5sL30
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親父さんは顔色を変え、寄り合いまで車で行ってしまった。俺たちはどうしていいかわからず
とにかく帰ることにした。家で事情を話すと普段じゃ考えられないくらいこっぴどく怒られた。
他の友だちもそうだった。そのときはただ友だちと危険な遊びをしたこととか、友達を見捨てて
帰ったことを責められたんだ、と思っていたが、
爺さんが事情はまるっきり違う事を教えてくれた。
あの山には昔、この地方を治めていた城の出城があり、この地方が近くの有力な大名に呑み込まれる
際に、まっさきに焼かれ落ちたところで、その跡地は今でも草木が生えないのだ、
と伝わっているという事。うちの爺さんはその供養でその山に時折入っては神酒をまいたりしている
そうだ。そんなところで花火やら戦の真似事をしていたら連れて行かれる者が出ても仕方が無い、
と静かに言ったのだ。
果たして友だちはまだ見つかっていない。
俺たちはあの時山に入って探しにいくべきだったのだろうか?