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532 :1/2:2010/07/09(金) 16:40:02 ID:SskSCDPL0
今でもわけがわからない、
4年前、前の職場で働いていたときの話
季節は冬に入った頃、かなり寒くなってきた頃だった
その時、少し難しい案件の見積依頼を受けていて、
担当者である自分ひとりだけが夜まで事務所に残っていた
見積書の提出期限が次の日の朝だったからだ
深夜1時を廻った頃、ふと見たら窓ガラスに誰かが張りついていた
事務所はビルの8Fフロア
窓ガラスはそいつの周辺だけ、真っ白にくもっていた
両手を押し付けて、赤い服を着ているように見えた
くもったガラスごしでぼやけているので、詳しくはわからない
押し付けた両手と同じ高さに顔があって、輪郭が白くぼやけていた
張り付いている奴は荒い呼吸をしているらしく、口のあるあたりだけ
窓のくもりがやたら濃くなったり、薄くなったり。
533 :2/2:2010/07/09(金) 16:40:59 ID:SskSCDPL0
何がなんだかわからないまま、呆然とそれを見ていたら
そのまま後ろに倒れるかのように、べり、と剥がれて居なくなった
疲れて夢でも見てるんだろうか?と、漠然と思ったけど
(もしかして今のは、いわゆる幽霊というやつでは?)と考え出したところで
やっと恐怖を感じるようになった
今のはなんだったのだろうと思って、あの窓ガラスに近づいていった
くもった部分に触ろうとした時、向いの鏡張りのビルが目に入った
俺のいるフロアの真上の窓に、さかさまに張り付いている人間らしき姿が見えた
首を伸ばして、上から俺を覗きこんでいるような格好だった
俺は弾かれたように事務所を逃げ出したんだ
深夜で電車もなかったから、始発までコンビニに逃げ込んでひたすら立ち読みして
始発に乗って家へ帰って、テレビをつけてソファで震えていた
これ以降は後日談も何もない
誰にも話さなかったし、別に何も起こらなかったから
ただ、本当に不思議な経験だった。
あの、髪のない、つるっとした白い後頭部と、長い首が忘れられない。
でも、最悪顔を見なくてよかったとも思う。