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691 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/07 07:59
受験生のころ、古本屋で英語の参考書を買った。
少々黄ばんで角が傷んでいたがカキコミが少なく、激安だった。
受験生の愛読書として長年定評のある参考書だった。
帰宅して読み始めると、解りやすく買って良かったと上機嫌だった。
当時寝る時はウォークマソで英語のCDを聞きながら眠りに付くのが習慣だった。
いつも通りCDを聞きながらベッドに入っていると、グォ・・・ゴゴ・・と
電話の混線みたいな雑音が入り始めた。
最初は小さい音だったが、次第に英語が聞き取れないくらいの大きな音になった。
買ったばかりのウォークマソが故障したのか?まさか?と、
何度も電源切って入れて、リピート再生したりした。
やっと順調に英会話が流れるようになった。
いつの間にか眠ってしまった。その日久々に夢をみた。
ひどい夢だった。学帽をかぶった学生や、紺のブレザーの高校生が
洗濯物のように一列に並んで、首をつっているのだ。
僕はその光景を遠くから見ていた。
首吊り学生達は、白めをむいて、口々に英単語らしきものを叫んで揺れていた。
その夢は連日続き、CDも相変わらず雑音が入るので
聴くのを辞めた。勉強が手に付かなくなってきたので、兄に相談した。
692 :つづき:04/01/07 08:00
「そのCDもってこいよ。オレのプレーヤーで聴いてみる」
兄がCDをかけた。やっぱりところどころ雑音がグォ・・・ガガ・・ウオオ・・。
兄「リスニングできないほどの音じゃないじゃん。気になるならCD買い換えるしかないな。
ところで、リスニングの成果は上がってるのかよ」
オレ「うん、ほとんど暗記できてるよ。毎日聴いてたから・・。」
兄「じゃ、これは何ていってる?一番最初の会話。」
" I've heard he~・・"
" Well, he commi~・・"
オレ「あれ、こんな会話あったかな?一番最初のは
天気の話のはずだけど? It is the hottest summer that Tokyo has had
in 30years...」
兄「ぜんっぜん違うだろーよ。ダメダメだな~オマエ、もう一回聴け」
693 :つづき:04/01/07 08:01
" I've heard he's dead" " Well, he committed suicide by hanging himself"
兄「彼、死んだんだってね。 そうよ。首をつって自殺したのよ。 だろ」
オレ「な、なんだよそれ!そんな例文あるわけねーだろ」
兄「まー確かに悪趣味な例文だ(w」
オレ「そんな例文なかったってば!今まで!」
兄「言い訳するなよ。勉強不足なんだろ」
突然、CDプレーヤーから大きな雑音がした。
グォグオオ・・グオー!ウオオオ・・・アアアアアアーーーヒーーーッヒヒ!
最後は人間の笑い声のようだった。
オレ「今の雑音・・・人間の声みたいじゃん!何かあるんだよ!変だと思ってたんだ。そうだ、
あの本を買ってからオカシイんだ!」
直ぐ部屋から例の参考書を持ってきて、兄に渡した。
「別になんともねーじゃん」兄はパラパラと本をめくった。
オレ「いや、それを買った日から雑音が始まったし、変な夢もみるようになったんだ」
兄「受験ノイローゼじゃねーだろうな。さっきの雑音だって別に・・・」
くまなく調べようと、兄は表紙を外して裏返した。
そこには・・
『今度落ちたら死にます お父さんお母さん ごめんなさい』
『モウ ツカレタ・・・ オワリニシヨウ』
『○X大学地獄に堕ちろ!堕ちろ堕ちろ!』
『受験戦争を恨みます。僕の18年間は不幸でした。バイバイ』
様々な筆跡の受験生達の呪詛がビッシリと刻まれていた。