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17:本当にあった怖い名無し:2015/03/05(木) 13:28:26.88 ID:hvDgfQTl0
これは小学校6年生の頃の話
俺の田舎で起こった出来事です
その村には、大人から入るなと言われている神社がありました
理由を聞いても答えてはくれません
俺らは怖い物知らずでバカだったんで
まーなにもないと高をくくり、夜に肝試しをすることにしました
俺と村の子供4人
ガキ大将のA、Aに無理矢理連れてこられた怖がりのB、
Aの弟のC、寺の息子で霊感があるDです
鳥居を超えたあたりから、Dは止めようと言い出しましたが
ほかの3人は何ともなかったので、さくさく進みました
道の一番奥まで進むと、獣道みたいな切れ目がありました
「おい、なんかやばいな」
ここまで来ると、嫌な雰囲気を全員が感じたようです
しかしAは無理矢理にでも行こうとしました
僕らは皆で止めたのですが、先が気になるAに引きずられる形で進みました
18 :本当にあった怖い名無し:2015/03/05(木) 13:39:04.87 ID:hvDgfQTl0
獣道を超えると、そこは鎮守の森の中にぽっかりと開いた空間でした
8畳ほどの広さで、平たい岩が敷き詰められていました
石畳・・・いや、舗装といえるほどのものではなく、
アンコールワットみたいに自然と同化していました
所々苔が生えた石の隙間から無造作に雑草が伸びています
よくみると、石造りのほこらのようなものが奥の方に見えました
周囲と同化しており、暗がりでは目立たないのですが
何故か異様な存在感を放っておりました
「おい、やばい気がするぞ」とDが言いました
さすがにAも怖気づいていましたが
「ここまで来て調べずに戻れねーだろ」と言って、ほこらに近寄りました
ほこらは俺らの背丈と同じくらいで、大きなものではありません
遠目には天然石を寄せ集めて作ったように見えたのですが
近くでみると赤茶けたぼろい木戸が付いていました
観音開きの戸で中央に木の錠前が付いていました
錠前はにかわの様なもので固定されておりました
19 :本当にあった怖い名無し:2015/03/05(木) 13:54:49.64 ID:hvDgfQTl0
「あけてみようぜ」
Aはそう言いました
錠前は子供の力でも簡単に外せそうですが
皆はあまり乗り気ではありませんでした
そんな空気を無視して、Aは錠前に手を掛けました
にかわらしきものが、ばりばりと剥がれる音とともに
それはあっけなく外れました
戸を開けると、中にはさらに小さな祭壇があり
中央に石で出来た置物がありました
一見すると牛のような外見ですが、何の動物か分かりません
大きさはアルミ缶ほどです
胴と頭、角か耳か分からない突起が頭上にふたつ
全体的に角がなく丸っこい、子供が粘土で作ったような感じです
Aは「なんだこれ、大したことないや」といって
置物を手に取りました
Aは皆にも手渡そうとしましたが、気味が悪いので持ちたがる人はいませんでした
「うあ・・・」
Bが祭壇の中をのぞいて言いました
視線を祭壇の中に移すと・・・
石の置物が置いてあった下には、魔方陣のような物があったのです
円の中に筆で描かれた呪文のような文字がありました
直感的に、置物を封印してあるものだと思いました
「兄ちゃん!やばいから戻そうぜ、それ!」
弟のCはAに言いました
Aもさすがにヤバいと思ったのか
「お、おう、そろそろ戻すわ」と置物を戻しました
20 :本当にあった怖い名無し:2015/03/05(木) 14:13:48.87 ID:hvDgfQTl0
翌日、Aが夜中のうちに失踪したと村中大騒ぎになりました
前日に一緒にいた俺たちは、当然事情を聴かれまして
神社での出来事を全て話しました
「あれを開けたのか!ばかたれ!」
村の爺さんに怒鳴られました
真剣な顔で「あれ」について語り始めました
「あれ」つまり石の置物は、何らかの呪物だそうです
何時からあるか、正確なことは不明ですが、少なくとも江戸時代にはあったらしい
神主が代々管理しており、村の人間は誰も近付かない物だそうです
置物は「ボリ」と呼ばれるもので
子供が触ると、体が重く感じて自ら動けなくなるそうです
不思議なことに、見ると触りたくなることもあり、危険なので結界に封じていたと言います
「Aはボリに魅入られたのかもしれない」
村の爺さんはそう言いました
21 :本当にあった怖い名無し:2015/03/05(木) 14:27:58.35 ID:hvDgfQTl0
しばらくすると、Aが神社の境内で発見されたと連絡がありました
奇妙なことに、Aは自分から体を動かすことが出来ないと言います
爺さんの話と一致するので、皆は恐ろしくなりました
Aは病院に運ばれました
しばらく入院していましたが、動けない原因は全く分かりませんでした
一向に良くなる気配もありません
呪いなんて信じがたい話ですが・・・
Aの両親は、ボリを管理する神主に相談しました
皆もAが心配なので、神社まで付いていきました
「事情は分かりましたが、どうなるか分かりませんよ」
神主は神妙な面持ちで言いました
Aは神社の中に運ばれて、お祓いを受けました
神社の中は狭いし、お祓いは危険だというので
お祓いの様子は子供にみせてくれませんでした
22 :本当にあった怖い名無し:2015/03/05(木) 14:29:54.62 ID:hvDgfQTl0
しばらく待っていると、Aと神主とAの両親が神社から出てきました
Aは自力で歩いているので、何とかお祓いは成功したようです
その後しばらくは、Aは足が重く感じられたそうで
走ることが出来るまで数週間掛かったそうです
幸い、後遺症もなくAは回復しましたが
「触っていた時間が長ければ、再び動くことは出来なかったかもしれない」
「Aはおそらくボリに呼ばれたのだろう」
「再びボリを触らせるために・・・」
神主はそのように語っていました
ボリとは何なのか?
誰が何のために作ったのか?
いつからそこにあるのか?
いつまで力を持ち続けるのか?
いつまで封じる必要があるのか?
今となっては誰も知りません
ただ、強力な呪物だということは、間違いないようです
これが私の体験した不思議で恐ろしい話です