怪談・洒落怖

【新作洒落怖】心霊動画撮影

投稿日:2023年4月13日 更新日:

本文

443 ::2009/08/27(木) 02:18:37 ID:qAzyC9Vy0

これ信じてもらえるかどうか解らないし、書こうかどうか迷っていたのだが…
丁度1年ほど前、俺と友人のTとOは、Oが「ニコ動に釣り動画つくってうpしようぜwww」と言ってきた
ので、買ったきり殆ど使っていなかったOのビデオカメラを持ち出し、俺の親の車を借りて山の中へ出かける
事になった。
誕生日の関係で18になっていたのが俺だけで、免許を俺しかもっていなかったから。

どんな釣り動画かというと、俺とTが録画しながら心霊スポット探索をして、ほんの一瞬女装したOが
画面内に映りこみ、俺とTはその事に全く気付かないまま動画をうpという設定。
今考えるとほんとうにしょうもない内容だが、当時の俺達はノリノリだった。
ただし3人ともビビりだったため、ほんとうの心霊スポットでは無く、ただそれっぽい山の中へ行きそこで
録画する事になった。

午後4時頃に出発し、適当に山道を走らせていると、いい感じに舗装されていない林道を発見した。
その道を少し進むと、開けた場所があり何かの資材置き場のようになっていて、俺達はそこに車を止めると
まず周辺で演出に使えそうな場所はないか、Oが隠れ潜めるような場所はないか色々と探し始めた。
30分ほど辺りを探し回っていると、俺は資材置き場の先の森の中にボロボロの小屋があるのを発見した。
TとOにその事を話し、俺が「ここで良いんじゃね?」と聞くと、Oはさいしょ「ここに1人で待機って気味悪りぃよ…」
ゴネていたが、俺とTは言いだしっぺはお前だろwwwなどとからかい、まあ待機と言っても10分くらいだから
とOを宥めて納得させ、完全に暗くなるまで車の中で待機する事にした。

車の中でゲームをしたり話をしながら2時間ほどが過ぎ、辺りは完全に真っ暗になった。
そして、OがTの姉貴の部屋から無断で持ち出してきた服に着替える間に、俺とTは適当にでっちあげた
心霊スポットの話をしながらあちこち撮影を始めた。

444 ::2009/08/27(木) 02:19:26 ID:qAzyC9Vy0

まず10分ほどそんなこんなで録画をし、Oも準備が出来たということで、本命の釣り部分の撮影を
開始した。
俺とTは笑いをこらえながら必死でビビる演技をしながらOの隠れている建物へと近付いていったのだが、
あと10mくらいまで近付いた時、Oが突然

「やばいやばいやばいやばいやばい!」

と叫びながら小屋の影から飛び出して来た。
俺とTは最初ぽかーんとしていたが、Oがあまりにも必死な形相なため、俺達もつられて全速力で逃げ出した。
広場の車のところまで来ると、Oは自分がまだ女装している事すら気にせずに「早く車出せって!ここはやばい
早く逃げねーと!」と俺を運転席に押し込んで自分は後部座席に乗り込んだ。
俺とTは何がなんだか解らなかったが、ひとまず車を発車させもと来た道を戻り始めた。

暫らく車を走らせもう少しで舗装した道路に出る辺りまで来た頃、異変が起きた。
車の天井に何かが落ちてきたようなドン!という大きな音がした。
俺は親の車を傷つけたら洒落にならないため、一端車を止めて何が起きたのか見ようとすると、Oが
「止まるな!確認なんて後で良いからとにかく走らせろ、ここはやばい!」と俺が外へ出るのを止めたため、
仕方なく走らせようとしたとき、助手席にいるTが俺の腕を引っ張りながら「おい…あれ」と助手席側の窓を
指差した。

Tの指差しているところみて俺は絶句した。
森の中から大勢の人がこちらへ向かって歩いてくる。
人数は20人くらいはいただろうか、全員下を向いてうつむいたまま、ゆっくり歩いているはずなのだが見た目以上
のスピードで車へと接近してくる。
俺は全身の毛が逆立つような感覚に襲われ、全身に嫌な汗が流れ始めた。
ただ人が歩いてくるだけなのだが、俺にはそれが物凄く恐ろしいものに見えた。

446 ::2009/08/27(木) 02:20:23 ID:qAzyC9Vy0

俺は車を急発進させ、後は3人とも無言だった。
暫らく走っていると、遠くにドライブインらしい明かりが見えた。
俺はTとOに「とりあえずあそこに入るか…」と言い、2人は無言だったがそのままドライブインの駐車場に
車を止めた。
そこであらためOに事情を聞くと、ようやく自分が女装している事を思い出したのか「とりあえず着替えさせてくれよ」
と言った。
そこで3人とも緊張感が解けたのか、車内の空気が正常に戻った。

3人とも落ち着いてきたため、ドライブインの自販機でコーヒーなどを買い、そこでOにあらためてあの時何が
あったのかを聞いてみるた。
Oの話をまとめると
Oは俺達が来るまで小屋の裏手で待機していたのだが、小屋の反対側から人の声がしたため、俺たちだと思い
予め打ち合わせしていた小屋の窓のところに移動して俺達が来るのを待っていたらしい。
しかし、いつまで経っても俺とTがこないため、一端道の方へと顔を出した。
すると、道の真ん中にぼさぼさの頭のおばあさんが立っており、こちらをニヤニヤと笑いながら見ていたとか。
Oはちょっと気味悪かったが、お婆さんにそこにいられると段取りが狂うため、「すいませーん、ちょっとの間で良いので
どいていてもらえませんかー?」と聞いたのだが、お婆さんはにやにやとOを見て笑っているだけで何の反応もない。
Oはちょっとむかついて、お婆さんのすぐ近くまで行き「ちょっと、2~3分でいいからどいていてくれよ!」と強い口調
で言ったらしい。

するとお婆さんは、にやにやした表情のままOの腕を掴み、そのまま森の奥へと連れて行こうとしたとか。
Oは「何するんですか!」と言って抵抗したが老人とは思えないほど強い力で引っ張られ、ずるずると奥のほうへ
と引き摺られていった。
そして、森の奥のほうからは大勢の人がOのほうへと向かって歩いてきたとか。
Oはそこで身の危険を感じ、お婆さんを蹴りで突き飛ばしてそのまま俺達の方へと逃げ出し、途中で俺達と
合流したという事だった。

451 ::2009/08/27(木) 02:33:57 ID:qAzyC9Vy0

それが人だったのか「それ以外」のものだったのか、Oには解らなかったらしいが、とにかく「普通ではない集団」
であったのは間違いがなかったと思う、なぜなら俺達が戻る途中でみた集団もなんと説明したら良いのか、
とにかく異様な雰囲気がしていたから。
何か釈然としない状況ではあったが、動画作成にも事実上失敗し、時間も時間だったためその日はこのまま
解散となった。

それから夏休中、俺とTとOは何度かつるんで遊んだりしていたが、あの日の事はなんとなく3人とも
話せずに過ごしていた。
そんなある日、俺が友達と朝までカラオケをして、午前5時頃に自転車で家への帰り道を走っていると、大通りの
道の反対側にOをみつけた。
Oは両手でお盆をもっているようで、良く見てみるとどうやらお盆の上に水か何かの入ったガラスのコップを乗せている
ようだった。
俺は「あいつ何やってんだ?」と思い「おーいOどうした~?」と呼びかけたのだが、聞こえていないのか全く反応が無い。
そのままOは十字路を曲がるとどこかへ行ってしまった。

その日の午後2時頃、俺はOからの電話で目を覚ました。
Oが言うには、電話では説明が難しいからとにかくうちへ来て欲しいと言う。
Oの家につくと、Tもいた。
そして、Oは俺とTにまずこれを見てくれと言い、あの日録画した動画を見せた。
その動画を見ていて、Tが「どういう事だ?なんだこれ?」と言い出した。
俺も口には出さなかったがTと同じ感想だった。

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