0573本当にあった怖い名無し2023/06/24(土) 00:12:44.36ID:jU2AKj+d0
車が停まったのは山の中?のお寺か神社?みたいな場所だった。
車が停まってすぐに布団を顔まで被せられて、父親に抱えられて運ばれてたから、そこがどこかまったくわからなかった。
ドタドタと足音が聞こえて、知らないおじさんの声が聞こえた。
これもやっぱり訛ってて、要約する。
お婆さん「どんぞくさまだ 手伝え」
おじさん「えぇっ!? 無理ですよ!「だびぉが」がないじゃないですか」
お婆さん「だびぉが がなくてもやるしかない このままだと犠牲者が増える」
「だびぉが」は俺がそう聞こえただけで実際違うかもしれないけど、おじさんは布団を剥がして俺を見た。
おじさん「あぁ、どんぞくさまに呼ばれたんだなぁ」
中年くらいのおじさんは哀れむような顔をしていた。
再び布団を被せられて、どこかの部屋に寝かされて、何かで四肢を床に固定された。
0574本当にあった怖い名無し2023/06/24(土) 00:13:38.91ID:jU2AKj+d0
顔には布団を被せられたままで、とにかく暑いし息苦しかった。
それでも部屋中にお香のような匂いが充満しているのはわかった。
すぐに鼓膜が破れそうなほど大きい音(多分鈴)が鳴り始め、さらに大きな声でお婆さんのお経みたいなのが聞こえた。
頭がおかしくなりそうだったし、実際おかしくなってたと思う。
俺は車内の時みたいに意味不明なことを叫び続けて、ずっと暴れようとしていた記憶がある。
四肢を拘束されたのは俺が暴れないためだったのかと納得をしていたからだ。
その後の記憶はさらに曖昧だった。
起きてるのか寝てるのかわからない、夢と現実の区別がつかなくなった。
0575本当にあった怖い名無し2023/06/24(土) 00:14:22.07ID:jU2AKj+d0
お婆さんのお経の声、ずっと鳴り響いてる鈴の音、おじさんの足音が激しくなったと思ったら鳴り止んだ。
突如顔の布団を剥ぎ取られた。
終わったのかと思って恐る恐る目を開けたら、心臓が止まるかと思った。
夕方に蔵で見たあの気持ち悪い土像とよく似た顔の、幼児のような服を着た、小柄だけど子供ではない、女みたいなのが立っていた。
子供にも見えるしおばさんにも見える、そんな感じだった。
土像顔の女が俺を見ながらずっと何かを言っている。
気持ち悪い、と思ったけどそれを口に出してはいけないと本能で感じた。
あのお婆さんやおじさんがいないことや、あんなにうるさかった鈴やお経が聞こえないこと、部屋に漂っていたお香の匂いがなくなっていることは瑣末な問題だった。
俺は、目の前の土像顔の女を怒らせてはいけない。気に入られてもいけない。逃げなければいけない。一つでも間違えたら◯ぬことがなぜかわかった。
0576本当にあった怖い名無し2023/06/24(土) 00:14:54.61ID:jU2AKj+d0
じゃあどうしたらいい。
俺は泣きそうだった。
身体を横たえているはずなのに、なぜか背後からおばあさんの声が聞こえた。
お婆さん「どうもするな、なにもするな、何も口を聞くな、何も感じてないふりをしろ」
藁にもすがる思いで、言われた通りにした。
ずっと口を閉ざして、表情も変えないように、ずっと動かずに。
目の前の異様な顔をした女に一切反応をしてはいけない。
呼吸も浅かったと思う。
いつの間にか意識がなくなっていたらしい。
目が覚めたら俺は地元の病院のベッドの上だった。
0577本当にあった怖い名無し2023/06/24(土) 00:15:32.34ID:jU2AKj+d0
熱中症で倒れて、救急車で病院に運ばれたらしい。
見舞いに来た母ちゃんは安心している様子だった。
そんなはずはなかった。
俺は爺ちゃんの家に行ったはずだった。
そして変な土像を壊し、熱を出してうなされていた。
爺ちゃんの家であったことを話したら、母さんは訝しむように「父方のお爺ちゃんはあんたが生まれる前に亡くなった」
俺は脳の検査をすることになった。
納得がいかなかった俺は父ちゃんにも同じことを聞いたら、同じように「俺の父さんはお前が生まれる前に死んだよ」と返された。
爺ちゃんの家のことや、蔵のことを聞いたら「俺の実家は〇〇市(県庁所在地)で、蔵なんかなかったぞ。その実家ももうとっくに売り払ってる」
結局、脳の検査をしても異常はなく、入院直前と爺ちゃんに関する記憶だけが食い違うのを除けば問題がなかった。
すぐに退院して元の生活に戻った。
あれからもう10年以上経つが、やはりあの出来事が熱中症で見た夢だとは思えない。
俺には確かに爺ちゃんがいたし、蔵で変な土像を壊したし、おばあさんやおじさんにも会った。
あのお香の匂い、四肢を拘束され、顔に布団を被さられて息苦しく暑かったこと、土像の顔をした異様な女のこと、どれも夢とは思えない。
どうしても忘れることができないので書き込んだ。
今度記憶の中の爺ちゃん家の土地へ行く予定なのでメモを兼ねて書かせてもらった。