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598 :小さくなる影:2011/06/26(日) 02:35:05.21 ID:nYwu4D7pO
事の始まりは先々月くらいになります。
母方の実家は結構な田舎で、訳あって私はそこで一人暮らしをしていたんですが、
夜、私が寝ていると、縁側の方のふすまが、ふっと明るくなったんです。
私がそれに気付いて、ふすまの方に目をやると、そこには、ものすごく大きな人の影があったんですよ。
いや、人の影、と言っても大き過ぎて腰だけしか映ってなかったんですが、手の形がはっきりと見えたので、私はそれが人の影だと解ったんです。
599 :小さくなる影:2011/06/26(日) 02:35:41.13 ID:nYwu4D7pO
私はびっくりするだけで、何も出来なかったのですが、その影は、私が見ている事に気付いたのか、
次の瞬間には明かりごと消えてしまいました。
かなり怖かったのですが、本当に一瞬の出来事だったので、見間違いか何かだと思い、その日は寝てしまいました。
しかし、それからほぼ毎日、夜中にまったく同じ事が起こるようになりました。
601 :小さくなる影:2011/06/26(日) 02:36:04.29 ID:nYwu4D7pO
最初に影が見えるようになってから5日目くらいになって、
流石に私は、これは夢ではないぞ、と思い始めました。
誰かのイタズラか、目の錯覚か、何かは分からないものの、連日連夜外が明るくなりふすまに人の影が映るなんて事は、気味の良いものではありません。
ですが、誰に相談すればいいかわからなかった私は、誰にもそれを話す事のないまま、そんな状態を一週間程過ごしました。
694 :小さくなる影:2011/06/26(日) 11:07:29.97 ID:nYwu4D7pO
続きです。
毎夜毎夜、その影を見ていた私はあることに気付きました。
明かりと影は私がふすまを見るまでは消えてくれないのです。
そして、もうひとつ。
影が日に日に小さくなっていくのです。
最初、腰だけしか映っていなかった影は二週間経った頃には、お腹から膝まで見えるようになっていました。
この頃には私は、毎日のように起きるこれは、イタズラなんかではなく、霊的ななにかなんだろう。
と思い始めており、影がだんだんと小さくなっていく事に気付いた時は、
放っておいたらその内消えてしまうだろうと考えたのです。
695 :小さくなる影:2011/06/26(日) 11:08:03.94 ID:nYwu4D7pO
私が思った通り、影は一月もすればほとんど全体が分かる程に小さくなっていました。
夜、気付かないまま寝てしまうの事もしばしばあり。
次第に恐怖心も薄らいで行きました。
それからつい先日までは、影が小さくなっていくだけで何も起こることがなく、日が過ぎて行きました。
影が全身を映すようになり、髪が腰まで伸びたいかにもな風貌に、最初の頃はこの影がものすごく大きかったのだと思うと、少し恐怖したのを覚えています。
696 :小さくなる影:2011/06/26(日) 11:10:32.88 ID:nYwu4D7pO
そして2日前、友人の家に呼ばれた時、その影の話を初めて人に話しました。
2ヶ月前からほとんど毎日影が現れること、
その影が日に日に小さくなっていくこと、
今ではもう、普通の人間くらいの大きさになっていること。
私は影の事について全てを話しました。
すると、友人は少ししてから急に青ざめて、ケータイを取り出しました。
697 :小さくなる影:2011/06/26(日) 11:10:55.98 ID:nYwu4D7pO
「…お前…頭悪いなぁ……」
そう言うと友人は部屋を暗くしてケータイの写真用のライトを点けると、私に光を浴びせました。
「こっちに来い…」
心なしか友人の手は震えていました。
私は言われるままライトの近くに立たされます。
「あっちの壁に向かってゆっくり歩いてみろ」
私は訳も分からずに、ただ言われるままにライトから遠ざかり、壁へと歩きました。
698 :小さくなる影:2011/06/26(日) 11:11:27.57 ID:nYwu4D7pO
そして、壁のすぐ近くまで歩いた時。
私は、恐怖で腰を抜かしました。
「影が…小さくなってる……」
気付けば、私は今まで経験したことの無い震えと鳥肌に襲われていました。
そう、光源から離れ、壁へと近づいた私の影は、だんだんと小さくなっていったのです。
少し考えれば分かる事でした。
昨日見た時、あの影の主は人間と変わらない大きさ、
つまり、ふすまのすぐ近くまで、あの影の主は来ていたのです。
763 :小さくなる影:2011/06/26(日) 18:23:47.97 ID:nYwu4D7pO
最後投稿するの忘れてました…
今は、もうあの家に戻りたくないので、友人の家に泊めさせてもらっていますが、
もし、気付かないままあの家に住んでいたら、私はどうなっていたのか。
それを考えると、未だに震えが止まりません。