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865 :1:2010/04/12(月) 00:07:26 ID:WbDIqEhy0
病院の心霊現象という話をよく聞くけれども、
自分では1回しかそれらしきことは体験していません。
自分が零感なのか、どうなのか、その辺はわかりかねますが…。
少なくともオカルトチックな話が好きな医師はおりますが
自分がそういうものが見えるとかいう人には会ったことないですね。
今勤めている病院は歴史が古い方で、先の大戦中には陸軍関係者がよく入院していたとか。
そのため、ゲートルを巻いた兵隊さんの幽霊が出るらしいです。
『らしい』というのも、なにせ、勤めて5年目で初めて知りましたから。
たまたま入院していた世間話の好きそうなご婦人に聞かされました。
『ええ、実は見たんですよ』系の話を期待されていたようですが、
本当に知らなくて彼女をがっかりさせてしまいましたが、しかたありませんよね。
病気を治すだけで満足してくださいとしか言いようがありません。
866 :2:2010/04/12(月) 00:08:40 ID:WbDIqEhy0
病院で寝ると金縛りや幻聴が多いのは確かです。
突然ズキズキ頭が痛い感じがして意識が遠のきそのまま深く眠りこむこともあります。
しかし、週に10回当直していれば、過労で寝起きに変な感覚にもなるでしょうw
そもそも、金縛りになるような時はソファーで体を縮めて仮眠していたり、
患者さんのモニターや壁一枚向こうのナースステーションの話が聞こえる状態だったりと
明らかにおかしな状況で寝ていますしね。
心霊より自分の健康という意味で洒落にならない。
病院自体もだいぶ建物が昔とは建て替えられています。
第二次世界大戦中から現存する唯一の建物には、現在病室は一つもなく、
更衣室や私たちの医局があります。特に、我らが医局はその中でも最下層なので半地下状態。
オカルト好きの某ナースからは
「あんな廊下が真っ白になるほど霊の立ち込めたところに良く入れますね!」とか
言いたい放題に言われてますが、別に喘息にも肺炎にもならない分、
禁止されてるはずの紫煙の立ち込めた看護師休憩室よりはましなんじゃないですかね。
愚痴になってしまい申し訳ありません。
867 :3:2010/04/12(月) 00:09:35 ID:WbDIqEhy0
くだんの患者さんに日本兵の霊が出る話を聞いてふと思い出したのは、ある当直明けの午後の事。
ほとんど寝れない夜間救急勤務後でも帰ることなど許されません、少なくともうちの病院は。
(うちだけでもないと思います、とんだブラック業界だ…)
幸い手術も外来もなく、病棟の患者さんも全員落ち着いていたため、
医局で調べ物をしながら疲労の余りそのまま突っ伏して寝てしまいました。
正確にいえばそれこそ金縛りに近く、体は突っ伏したまま動けないけれど頭は半分起きている状態。
「ああ、今日も疲れてるな…いつかこのまま死ぬんじゃないかな…」
と思いながら、休憩と割り切って半分うとうとしていました。
しばらくするとコツ…コツ…と固い靴でコンクリートむき出しの床を歩く音がします。
うちの病院では基本的に革靴は内科部長クラス以外ほとんど誰も履きません。
理由は音がするし、ダッシュもできないから。逆に言うと外科系だと部長クラスでも走らされます。
そもそもガタが来たドアが全く軋まなかったのも不思議な話。
誰か入ってきたのにも気がつかずに寝ていたのかと、内心驚きました。
一応起きなければと思うが、体が動かない。
「ああ、サボってるのがばれた…まあいいか…仕事はすませたし」
そう思ってると、誰かが話しているのが聞こえました。
868 :4:2010/04/12(月) 00:10:36 ID:WbDIqEhy0
『よく寝てるなあ』『慣れですかね』
聞き覚えのない声の会話。
嫌な感じは受けませんでしたが、すぐ後ろからコツコツ音がする割に、気配を感じません。
足音はすぐ後ろを行ったり来たりしています。
『度胸があるなあ』
『いつ見てもいますねえ』
『肝の据わるに越したことはないが、恥じらいがないのはどうしたものか。嫁に行き遅れはしないだろうか』
黙れおっさん。思わずカチーンと頭に来ましたが、涎が出ているのを自覚してる分何も言えない。
はい、親にも心配されてます。少子化の原因のうちの一人です。わかってるからもう何も言わないで。
痛む心を抱えつつ、そのままぐっと寝込んでしまいました。
『これこれ』と言われながら軽く頭を叩かれてはっと目が覚めたのは2時間後くらい。
余りに感触と声がリアルだったので、思わず口元がべちょべちょのままでキョロキョロしましたが、
やはり周囲は無人。
一応顔を洗って化粧を直して、汚れた本はこっそり引き出しに隠してから病棟に戻りました。
あれが兵隊さんの幽霊X2だとしたら、ドアの音がしなかったのも靴音も納得はできます。
でも、心配してくれるは起してくれるは、幽霊であったとしても、まるで「心霊いい話」。
少なくとも患者さんの言うような身の毛もよだつような体験ではないなあ、と思いました。