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188 :本当にあった怖い名無し:2012/06/30(土) 23:58:45.36 ID:u3EIxa600
引っ越した先の部屋で家具を配置している時。
何となく湿気ていたので部屋を乾燥させようと思った。
とりあえずは水周りからと、キッチンの引き出しを次々と開けていく。
するとそのうちの1つにノートの切れ端だろうか、赤茶けた紙切れがポツンと入っていた。
なにげなくとそれを手にとって、くるりと裏返してみると――
「みつかっちゃった」
部屋の方からか細い女性の声が聞こえた。
まるで、財布を失くしたと気が付いた時のような、あのヒヤっとした感覚が俺を襲った。
今まで俺の出す物音以外に聞こえるものは無かったのに。
テレビだと思いたかったが、まだコンセントすらさしていない。
肝を冷やしながら部屋の様子をうかがう。
しかし、なんのことはない。先ほどと同じで家具が無造作に置かれているだけだった。
聞き間違いだと自分に言い聞かせながら、改めて手に持った紙切れを見てみる。
するとそこには赤いマジックでこう書いてあった。
「そっちじゃないよ」