怪談・洒落怖

【新作洒落怖】不気味なホテル

投稿日:2020年10月2日 更新日:

本文

98 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 06:45:47 ID:oN6VsXL10
1/5
もう、5年か6年程前の話なんだけど……
僕の家族は旅行が好きなんだ。
好きって言っても、父が仕事忙しい人だから
そんな頻繁に行ってるわけじゃないけど
毎年必ず2,3回くらい旅行してたんだ。

その年も行ってきたんだ。
東京・横浜・千葉のいろんなところを巡る旅行ね。
2泊3日で、1日目の夜は東京の親戚の家に泊まって、
2日目の夜は横浜のとあるホテルで泊まる、ってことになってた。

僕の家族は、両親と僕と妹・それからまだ幼かった弟の5人。
ホテルの部屋は2部屋取って、両親と弟が3人で、
僕は妹と一緒の部屋で一晩寝て、翌日横浜の中華街行って帰る。
そんな感じだった。
ホテルの雰囲気は悪くなかったけれど、雲行きがあまりよろしくなく
一瞬、"不気味"と何故か感じていた。

チェックインを済ませ、9階だったかの部屋までエレベーターで上り
母に部屋のキーを渡されると、両親と弟は隣の部屋に入っていった。

99 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 06:48:46 ID:oN6VsXL10
2/5
ご飯はホテル入る前に済ませたし、小腹が空いた時のためにお菓子等も
少しだが、一応買い込んである。
お風呂も済ませ、時計も10時を回った。さぁ、そろそろ寝ないと明日起きれない……

なのだが……僕は枕が変わると何故か寝つきが悪くなる。
ホテル泊まりが初めてじゃないとは言え、寝れないものは寝れないのだ。

今更だけど、当時の僕は中学生で妹は年子。
「ママ!おばけが怖いの、寝れないの!」なんて言う年頃でもない。
むしろ僕は幽霊だのお化け等を信じていない。
確かにホラー映画とかは怖いとは思うけど、あれは怖がるように作られているんだから
"怖い"と感じるのは別に普通なんだ。
決して「幽霊が怖いと思う」=「幽霊を信じている」ではないと思うんだ。

前置きがとても長くなってしまったけれど、本題に戻ると……

その日は、東京のいろんなところを見て結構疲れてた。
そのせいもあって、妹は11時頃にはとっとと夢の中だった。

何と無く、心細くてテレビをつけた。
面白いものはやってないかと思いチャンネルを回す。
すると面白そうなバラエティ番組が放送していたので、それを見ることにする。

…何故がベッドの前にある大きな鏡が気になる。
夜と鏡はあまり宜しくない組み合わせなので、鏡の自分と目を合わせぬように
恐怖心を紛らわすためにテレビに没頭する。

100 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 06:51:31 ID:oN6VsXL10
3/5
鏡のことなどすっかり忘れていた。
幸運なことに、丁度スペシャルだったみたいで1時間では終わらず結構長いこと放送していた。

気が付けば時計は1時を過ぎた。

バラエティ番組がCMに入ると、よくわからないCMが流れた。
「なんだこれ?」と、何のCMか考えていると、あるホラー映画のCMだった。
バスに乗った男女2人、女が深刻な顔で男に何か相談している。
(相談している内容はもう覚えていない。)
女がふいに窓に目をやると、追い越すトラックに女の幽霊の顔がボウッと現れ
女が悲鳴を上げる…と、まぁこんな感じのCMだった気がする。

いつもならCMくらいでビビッたりしないのに、この時ばかりは本気でビビってしまった。
「せっかく恐怖感がなくなっていたのに…」
と、思いながら再び蘇った感情を消すために再びテレビに没頭するも、
蘇った感情はなかなか消えてはくれなかった。時間だけが過ぎていく……。

――コツン、コツン……コツ……

何かが窓に当たる音がした気がした。
風か何か…小石でも飛んできたんだろう。と、訳のわからない事を自分に言い聞かせる。
風がコツコツ言うわけもないし、真夜中に9階まで小石が飛ぶわけもない。
でもこのときはこう思うしかなかったんだ。そうしないと怖かったんだ。

3、4回鳴ると音はいったん止んで一安心…と、思った時だった。

101 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 06:55:39 ID:oN6VsXL10
4/5
コツ、コツ…トントン、トントン……ドンドン…

何かが窓を叩く音がどんどん強くなってる…!!

"これは怖い!これは怖い!!"

そう思ってテレビを消した。部屋の電気はつけっぱなしだった。
布団をかぶって、若干震えながらも羊を数え自分を無理矢理寝かしつけた。

「起きなさい!あと30分したら、バイキング行くよ!」

ハッと目が覚めた時は既に朝だった。なかなか起きない僕たち姉妹を
母が起こしにきたのだった。

「ちゃんと着替えて、荷物まとめて、カーテン開けて、ゴミは捨てて
部屋を綺麗にしてから来るのよ。遅れると置いて行くよ。」

と、言うと母は部屋から出ていった。
目が覚めると夕べの出来事なんて綺麗さっぱり忘れていた。
ただ、あーっねむ。まだ寝てたいなぁ~…と、ぼんやりしながら身体を起こす。

妹は寝つきもいいが寝起きもいい。
サッと起きるとササッと身支度を始め、部屋を出る準備をする。
遅れまいとダルイ身体を起こし、フラフラしながらカーテンを開けた。

102 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 07:02:23 ID:oN6VsXL10
5/5
見なければよかった。

本気で思った。

寝ぼけた頭が一瞬にして冷める光景だった。

窓には無数の手跡が残っていた。それも、内側ではなく外側の窓に……
このホテルにはベランダがない。ベランダどころか、足場がない。
それに窓は押すタイプというのか…45度くらいしか開かない窓で
とてもじゃないが人がそこから出ていくのは無理だった。

それだけじゃない。その手跡は何故か小さいものだった。

中学生にしては小柄の僕の手も結構小さいものだったが、それ以上に小さい。

まるで、幼稚園児か小学校低学年の子の手くらいの大きさで…
でも何故か指紋がついてない。手跡はついてるのに指紋がついてない。

どう考えても説明のしようがない出来事に、血の気がひいて寒くなった。
今思い返しても、寒いのだが…それでも幽霊は信じない。いや、信じたくない…。

出典http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1266716536/

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