148 :本当にあった怖い名無し:2010/02/25(木) 02:19:22 ID:0/ZxkvvA0
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俺は両親に囲まれてずっと目をつぶっていた。時間ももう遅い。寝てしま
えば楽なんだろうが、緊張でまったく眠れない。婆さんはずっと念仏を
唱えている。と、バチンという音とともに電気が消えた。親父がブレーカー
を上げるも電気がつかない。停電か?仕方ないので仏壇用のローソクに火
をつけたようだ。すると婆さんが「むっ」と言い念仏をやめた。
カーン・・・カーン・・・
何やら遠くから鐘の音が聞こえた。。。
来たね・・・婆さんはそう言うとガサゴソと何かをいじっているようだった。
俺は目をつぶっているので何が起こっているのかわからない。ただ、鐘の
音がだんだん近づいているような気がした。
カーン・・・カーン・・・
俺は怖くなった。しっかりと両親の手を握っていたが汗でぬるぬるしてい
るほどだった。両親も震えている。婆さんは相変わらずガソゴソとしてる。
と、うちの前で鐘の音が止まった気がした。ずっと目を閉じてるから聴覚
が敏感になっていたんだと思う。途端に玄関の戸がガタガタと言い始めた。
ヒィッ!俺と親は怖くて悲鳴を上げた。玄関はしばらくガタガタしていたが
じきに止んだ。と、今度は屋根の上を何かが歩いている音がした。時折、
ヒ~ッヒヒヒヒというような不気味な声が聞こえてきた。しかも複数の声だ。
149 :本当にあった怖い名無し:2010/02/25(木) 02:21:01 ID:0/ZxkvvA0
6/7
いいかい?目をつむったまま声も出しちゃぁダメだからね?
婆さんはそう言うと家の中央の柱に何かを打ち付けていた。と、何かの気配
がする。。。すぐ近くに何かがいる。。。両親は気がついていないようだ。
でも声を出してはいけない。うう、でも何かが俺の近くで匂いを嗅いでる
ような感じだ。気持ち悪い。とてもじゃないがこの世のものとは思えない。
両親は気づいていないようだった。俺は恐ろしさと緊張で失神寸前だった。
見 ぃ ~ つ け た ぁ
確かに聞こえた。
と同時に俺は完全に気を失ってしまった。
翌朝、俺は外の騒がしい声で目が覚めた。
いたぞー 見つかったぞー たくさんの人がそんな感じで叫んでいた。
部屋の中を見回すと両親はいない。婆さんもいない。俺は昨夜のことを思い
出して再び怖くなった。と、視線を部屋の中央へ向けると何か違和感がある。
昨夜、婆さんが何かをやっていた場所だ。よく見ると中央の柱(大黒柱)が
真っ黒に焦げている。。。一体何があったんだろ。。。と、外にいたお袋が
家の中に入ってきて、俺に言った。ねぇ、かっちゃんが見つかったんだって!
俺はすぐに飛び起きて外へ出た。ちょうど親父が帰ってきた。俺はそこで
色々聞いた。
かっちゃんは近所の豚小屋の中でなぜか裸で寝ていたらしい。命に別状はない
が、俺とバイバイしてからの記憶がないらしい。ただ、手には火傷を負って
いたようだと言う。俺はというと、昨夜失神した直後に柱が燃え上がり、その
まま鐘の音も消え無事、朝を迎えられたと聞いた。婆さんが俺の髪を祈祷用の
人形に入れ、その柱に打ち付けたことによって、家の守り神の大黒柱が身代わ
りになって助かったんだという。
150 :本当にあった怖い名無し:2010/02/25(木) 02:23:07 ID:0/ZxkvvA0
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婆さんは?と聞くとかっちゃんの体を清めに行っているそうだ。どうやら昨日、
玄関をガタガタしたのも屋根の上で暴れたりしたのも彼なのだそうだ。きっと
取り憑かれていたんだろうということだった。その後かっちゃんは街の病院へ
運ばれたが元気になり帰ってきた。但し記憶は消えたままだそうだが・・・
この事件を通して、子供ながらに自然には立ち入ってはいけない場所があるん
だなとしみじみ痛感した。
時が経ち、今、その辻の周辺には高速のインターチェンジが出来た。北関東
自動車道という高速らしい。俺は田舎を離れて数年経つが、今でも帰省すると
あの時のことを思い出す。親の話では高速のルートもわざわざあの辻を迂回
して作られたということだった。確かにもし、工事であの辻が破壊されてたら
この高速の建設計画もどうなっていたか・・・考えると恐ろしくなる。