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怪談夜行列車

怪談・洒落怖

【新作洒落怖】謎の歌声と腐臭

投稿日:2021年4月27日 更新日:

144 :7:2011/05/26(木) 19:14:46.88 ID:eyYw6u020

階段はそんなに長くなかった。
下に下りると、真っ暗でよくは解らないが、どうやら6畳くらいの正方形の
部屋のようだ。
上と違うのは、なぜか部屋の真ん中にユニットバスのバスタブが置いてある。
部屋の中にはそれ以外何も無いようだ。

バスタブの中を携帯の明かりで照らして見ると、中で何かを燃やしたような痕跡
があったが、燃やしたものは取り出したのか黒い煤があるだけで他には変わった
ものは何もなかった。

俺達は拍子抜けしてしまい、なんだこれだけか、とキャンプしている場所に
戻る事にした。
階段を上る時に、俺はなんと説明したら良いのか一瞬人の気配というか、
後ろから誰かが顔を近づけると気配でわかるよな?あんな感覚を感じた。
驚いて後ろを振り向いたのだが、最後列の俺の後ろに誰かいるわけでもなく、
上の3人が「どうした?」と声をかけてきたが、俺はなんでもない、気のせいだ
とそのまま階段を登った。

キャンプ地に戻ると、結構時間が過ぎていてもう夕方の5時近くになっていた。
俺達は夕飯の準備をして飯を食った。

その晩。
俺達4人は焚き火を囲んであれやこれやととりとめのない話をしていたのだが、
ふと気付くとBがやたらと背後を気にして何度も後ろを振り返っていることに
気が付いた。

145 :8:2011/05/26(木) 19:15:25.04 ID:eyYw6u020

俺が

「B、どうした?なんかいるのか?」

と聞くと、Bは

「あ、いやそれが…いやなんでもない」

というと黙ってしまった。
なんか変な反応だ。
他の2人も気になったのか、まずAが

「おいB、なんか気になることあるならいえよ、余計に気になるだろ」

というと、Cも

「変に隠すと逆にこえーよ」

と冗談半分に言った。
するとBが

「ほんとなんでも無いから、ただちょっとなんか視線を感じるんだよ、
でもどう考えても気のせいだろ?俺達以外に人の気配無いし」

と言い出した。
たしかに変な話だ、でも俺もさっきのことを思い出して少し気になり
始めた。
AとCも気になったのか全員で懐中電灯を持って周囲を確認する事にした。

146 :9:2011/05/26(木) 19:17:22.43 ID:eyYw6u020

懐中電灯であちこちを照らしてみたのだが、やはり人影も動物らしき
姿も何も見えない。
するとCがうおっ!と声をあげて俺の方へ振り向いた。
そして、俺に

「今お前俺のすぐ後ろにいた?」

と変なことを聞いてきた。
もちろん俺はそんな事はしていない、Cには近付いてないことを伝えて
Cに事情を聞くと、昼間俺が感じたのと同じように、自分のすぐ後ろに
人の顔があるような、そんな感覚を感じたらしい。

何かおかしい。
俺がそう思っていると、1人で川の方を見ていたAが

「おい、なんかおかしいぞ、ここなんかいるぞ」

と、俺たちのほうにやってきた。俺は

「なんかってなんだよ、はっきりいえよ」

と言うと、Aはなんだかわからないのだという、なんだか解らないが、とにかく
視線と気配をさっきからずっと感じるんだという。
全く要領を得ない。
埒があかないと思った俺は、とりあえずテントに入ろうと3人に促しテントに
入る事にした。

151 :10:2011/05/26(木) 19:51:47.33 ID:eyYw6u020

テントに入り、少し落ち着いたので俺は昼間の事を3人に話した。
するとAもBも同じ感覚を感じたらしい。
要するに4人とも背後に誰かいるような、そんな気配を感じていたのだった。
暫らくの沈黙のあと、Cが

「ここなんかやばくないか?車近いし、ひとまず荷物は昼間になったら取りに戻る
として、車でふもとまで下りないか?」

Aも

「その方がいいかもな…あの建物なんかヤバイ場所だったのかも…」

と、普段は結構強気なAとは思えない口調で言い出した。
BもやはりAやCと同意見のようで、どうせ荷物が盗まれるような事は無い
だろうし、ひとまず車まで行く事にしようと決まった。
その時、外で風が吹いて木々がザワザワと鳴り出した。

そして、そのザワザワという音に混じって何かが聞こえてきた。
耳をすますと、良く聞き取れないが風に乗って人の声のようなものが
聞こえてきた。
何か歌ってるような、そんな声だった。

本格的になんかヤバイ。
俺はその時そう感じた。
俺達は意を決してテントの外に出た。
そして、早足に車へと向かった。

154 :11:2011/05/26(木) 20:01:04.81 ID:eyYw6u020

その時、Bが車の方向に何かを見たらしい、らしいというのは、俺達には
何も見えなかったからだ。
Bは突然立ち止まりガタガタ震えながら進行方向を指差すと

「うわああああああああああああああああああああああ」

と叫びながら車とは逆方向、川の方へと走って行ってしまった。
俺達は「おいB待てって、ちょっと止まれ!」と言いながらBの後を追った。
Bはそのまま川を越えると、さっきの砂利道を建物とは反対方向へと走って
行く。
とにかくわけも解らずBを追いかけた。

暫らく走っていると、Bは一瞬立ち止まると90度方向をかえ、道ではない
場所を沢の方へと下りて行ってしまった。
俺たち3人もその後を追う。

暫らく懐中電灯を照らしながら道では無い場所を走っていると、俺は脚を踏み外し
窪みの様になっている場所に落ちてしまった。
背中を地面にぶつけて暫少しの間呼吸ができず、うめきながら起き上がると、遠くに
Bを呼ぶAとCの声がする、どうやら俺が落ちた事に気付いておらずそのまま
進んでしまっているようだ。

155 :12:2011/05/26(木) 20:01:51.74 ID:eyYw6u020

俺は手足を動かしてみた。
怪我はしていないようで、背中をぶつけた痛み以外に痛い場所は無い。
その間にAとCの声も聞こえなくなってしまった。
とにかく上に上がらないと、そう思った俺が窪みを登ると、また背後に気配を
感じた。
恐る恐る後ろを振り向き懐中電灯を照らした。

何もいない…

なんとなくホッとした、よたよたと歩きながらとりあえずB達が駆け下りて
行った沢の方へと歩き出した。
沢に下りると皆を探さないとと思い

「おーい、A、B、Cいるかーーーーーーーー!」

と大声で叫んでみた。
が、反応はない。
するとまた背後に気配を感じる…
そして、今度はそれだけではなかった。
風の乗って、さっきキャンプ地で聞いたのと同じ、何かが歌っているような声が
また聞こえてきた。
そして、まだ内容はよく解らないが、さっよりも近くはっきりと聞こえるように
なってきている。

156 :13:2011/05/26(木) 20:02:31.72 ID:eyYw6u020

暑さとは違ういやな汗が全身に噴出してきた。
歌声は段々と近付いてくる、恐怖心を振り払い背後を振り向くと暗闇を
懐中電灯で照らした。
しかし、やはりなにもいない…

歌声は更に鮮明に聞こえるようになり、ほんの20mか30m先にまで
近付いてきたのだが、何故かその時動けなかった。
動けずにいると、歌声はもうすぐ側までやってきた、なぜか未だに
どんな歌詞で歌っているのかさっぱりわからないが、かろうじてどうやら
何かの民謡のようだということだけ解った。

混乱してあたりをキョロキョロしながら懐中電灯で照らしまくっていると、
周囲に複数の気配を感じた。
だが、気配は感じるのだがどこにも姿が見えない、姿が見えないのに、
明らかにそこに「何かがいる」のだけは解る。

意味が解らない、俺は恐怖心と暗闇に一人というこの状況で完全に冷静さ
を失っていた。
その時、俺のすぐ後ろで誰かが何かを囁いた、囁く時の息の生暖かさ
すら感じた。
今まで感じた事の無いような恐怖心を感じながら後ろを振り向むき
懐中電灯を照らした。
が、やはりそこには何もいない…
何もいないのだが、はっきりと目と鼻の先に「何か」の息遣いを感じた。

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yoshida3

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