本文
229 :本当にあった怖い名無し:2007/08/02(木) 23:17:58 ID:S1H7zcE00
昔から霊感があると自称している同級生(♀)がいた。
大学生になった頃になっても彼女は時々「霊が見える」だとか「あそこには良くないのがいる」だとかよく言っていた。
日頃仲良くしている私は、そんな彼女の言葉を聞いてか聞かずか、「そうなんだぁ、怖いねぇ」などと軽く聞き流していた。
高校の頃から一緒で、霊を感じると言い張る彼女にずっと半信半疑だったが、この前それを決定付ける出来事が起きた。
先々週の日曜日。
バイトが終わり少々疲れていた私は、携帯を見るのを忘れて床に着いた。
目が眠さでまどろむ頃に携帯を見た。
彼女からメールが来ていた。
Sub:無題
本文:悪霊にとりつかれたかもしれない・・・
232 :本当にあった怖い名無し:2007/08/02(木) 23:42:06 ID:S1H7zcE00
私は彼女のメールに寝たまま首を傾げながら、何があったの?と返信した。
その日、彼女からの返信はなかった。
次の日。
大学の経営学の授業で会った彼女は、いつもより少々やつれて見えた。
私が昨日のメールについて聞くと、
「あぁ・・・何でもないよ」
と言ってそれきり黙りこんだ。
私がそれでも彼女を心配して聞き続けると、
「・・・あなたに憑いちゃダメだから」
私はなんだか背筋が寒くなった。
正直な話、私は霊の存在なんてほとんど信じちゃいないけれど、その時の彼女の顔と口調は嘘を言っているようには思えなかった。
授業が終わり、彼女と別れ帰途につくと、彼女からまたメールがあった。
「今日はごめんね」
悩み事があれば相談に乗るよ、と返信して携帯を閉じた。
変化は次の日の夜に起きた。
部屋で漫画を読んでいた時、彼女から電話が来た。
私「もしもし?」
彼女「あ・・・今大丈夫?傍に誰かいない?」
私「いないけど、どうしたの?」
彼女「ちゃんとよく見て。黒い影とか気配とかない?」
私「大丈夫だよ。どうしたの?」
彼女は何かに慌てている様子だった。
声に生気が無く、でも何かに急かされているような。
233 :本当にあった怖い名無し:2007/08/02(木) 23:43:25 ID:S1H7zcE00
彼女「うん・・・実はね、昨日のメール、本当なんだ」
その時、電話の向こうで、彼女の声の他に何かが聞こえているのに気がついた。
カリカリ、カリカリ、と爪で何かをひっかくような音。
私「悪霊に疲れたって本当なの?なんでそんなことになったの?」
彼女「私が、おばあちゃんの言ったことをしっかり守らなかったから・・・」
私「言ったこと?・・・それって一体どんな・・・」
彼女「わ、私が・・・管をちゃんと整理しておかなかったから・・・」
私「クダ?一体何のこと」
段々とひっかく音が大きくなってきていた。
カリカリ、カリカリ。
私「ねぇ○○ちゃん。後ろで鳴ってる音、何?」
彼女「え?音?」
私「うん、カリカリって」
彼女「ヒッ!!」
彼女は小さく悲鳴を上げると、電話を切った。
いや、今思うと「何かに」切られたのかも知れない。
その後何度か彼女に電話もしてメールもしたが、返事はひとつとしてなかった。
その日から、彼女は学校で全く姿を見なくなった。
授業中も、いつもいる談話室にも、彼女はいなかった。
237 :本当にあった怖い名無し:2007/08/02(木) 23:55:38 ID:S1H7zcE00
彼女と全く連絡が取れなくなって5日が過ぎ、心配で堪らなくなった私は彼女のマンションを訪れた。
私がマンションの入り口に入ろうとする直前、携帯が鳴った。
彼女からの電話だった。
私「○○ちゃん?授業に全然出てないけど、どうしたの?」
返事はなかった。
でも、電話の向こう側から何か聞こえていた。
爪で何かをひっかくような音と、何かの声。
ごにょごにょと何かを呟いているような、不気味な声。
私「どうしたの?今マンションの前にいるんだけど、何かあったの?」
彼女「・・・来ないで」
私「え?」
彼女「く、来ると、あなたも憑かれてしまう。」
私「一体どうしたの?憑かれるってなに?」
彼女「私みたいに・・・つ、憑かれて・・・しまうから、だめ。
彼女の声とは別に、あの呟くような声がしていた。
私「今、誰かいるの?」
彼女「い、いない。誰も・・・誰も・・・ひゃあああ!!」
彼女のつんざくような悲鳴がした。
私はエレベーターに乗って彼女の部屋の前まで急いだ。
私「どうしたの!?何があったの!?」
彼女「いや!あの音がする!!誰かいる!!!」
私がエレベーターに乗っている最中も、彼女は何かに恐れおののき絶叫し続けていた。
238 :本当にあった怖い名無し:2007/08/03(金) 00:00:22 ID:S1H7zcE00
彼女の部屋の前まで行くと、中で彼女の絶叫と大きな物音が響いていた。
私「○○ちゃん!?」
私は彼女の部屋に飛び込んだ。
すると、彼女の声も物音も止んだ。
私「・・・○○ちゃん?」
私はゆっくり玄関を進み、彼女を探した。
彼女の寝室の前まで来た時、中から音がするのに気付いた。
カリカリ、カリカリ。
私「中にいるの?」
返事はなかった。
私はドアノブを回してドアを開けた。