900 :本当にあった怖い名無し:2015/12/05(土) 21:35:11.49 ID:87hiRPoC0
その部屋から他へ通じるふすまは閉めてあったし、もし動物が入ってきたとしても、
またガラス戸から出たのか、でなきゃそいつが寝ぼけただけだと思った。
時計を見ると4時だったんで「もうすぐ夜が明けるし、暑くないから戸を閉めて寝るぞ」
で、また俺は吸い込まれるように寝てしまったんだ。次に目が覚めたのは8時過ぎで、
仲間は2人とも起きてて、縁側から庭の池を見ていた。
俺が起きていくと、池の水が3分の1ほどたまってた。
便利屋のジイサンの一人が来てて、車から小ぶりの箱を持ってきた。
何をするんだろうと思ってたら、箱の中から金色の仏像、15cmくらいの小さなものだったが、
それを3体、池の水の入った底に間隔が均等になるようにして立てたんだ。
「あれ見ろよ」仲間が池の底を指差した。澄んだ水の底に、
小さな足跡のようなのがいくつもあった。人間の、赤ん坊の足跡のように思えた。
朝飯のおにぎりと牛乳をジイサンからもらって、その日の仕事を聞いた。
家の中の拭き掃除ってことで見取り図を渡された。部屋数を考えて俺らはげんなりしたよ。
ただし、トイレや風呂、その他にも掃除しなくてもいい部屋もあって、
そこには入るなってことだった。雑巾とバケツを渡され、
雑巾は汚れきったら捨ててもいいと言われた。それと奇妙なことだが、
バケツの水は池から汲めって言われたんだ。言われたとおりにしたよ。
一人が6部屋の担当で、ホコリのせいで雑巾はすぐダメになった。
バケツの水もすぐに真っ黒になって、何度も草むらに捨て、池から汲みなおした。
そんなこんなで、昼飯をはさんで全部終わったのが3時過ぎだったな。
それからジイサンのハイエースに乗って、大学のある街に帰ったわけだ。
着いたら6時過ぎてて、ジイサンは「あんたら頑張ったから、色つけてある」
901 :本当にあった怖い名無し:2015/12/05(土) 21:37:37.94 ID:87hiRPoC0
そう言ってバイト料の封筒を渡してよこした。中を見ると6万入ってた。
2日で6万は、かなり疲れたがたしかに割はいい。だけど何か釈然としないものがあったんだ。
それで、ジイサンが帰ってから3人で近くのファミレスに入った。
金があるんでステーキを注文して、いろいろ話した。
夜中に叫んだやつは「俺の顔の上を通ってたのは、赤ん坊じゃないかと思う」
「だってよう、動物なら毛があるだろ。それがすべすべしてたし、なんかミルクのにおいもした」
もう一人も「あの池さらい変だよな。何であんな動物の骨が入ってるわけ?それと・・・
これは違うかもしれないけど、形の残ってる頭蓋骨は犬猫のものだろうけど、
くしゃっとつぶれたやつの中に、人間の赤ちゃんじゃないかと思えるのがいくつかあった。
それにジイサンが池に沈めた仏像はありゃ何なんだ?変すぎるだろ」
それから3人でいろいろ考えたが、はっきりしたことはわからなかった。
ただ、何か赤ん坊に関係があることだとしか・・・
でな、これからのことは関係があるかはわからないんだが。俺はこの後、
大学はなんとか卒業したが、就職はせずにアメリカに渡った。
観光ビザで不法就労してたんだよ。向こうで女もできてな。
結婚するつもりはなくて避妊してたんだが、子どもができてしまって。
彼女は産むといってきかなかった。だから俺も向こうの人になる覚悟を決めようと思ったわけ。
ところが、5ヶ月目に流産してしまって、それをきっかけに別れることになったんだ。
日本に戻って就職した。ベンチャー企業でやりがいがあるし成功してる。
結婚もしたんだよ。だけど2回妊娠して、2回とも流産だったんだ。
医者の話では、女房の体に問題があるということではないようだった。
でな、このバイトのことが気になるんだよ。俺以外の2人が今どうなってるかも。