怪談・洒落怖

【新作洒落怖】『とーきのぼー』

投稿日:2022年4月16日 更新日:

552 :本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 00:49:09.83 ID:cY098STr0

おっさんはおびえた顔で俺を見上げている。
「なにしてくれてんだよ」
「はやく!はやく!」
会話になってない。おっさんは早く早くと言うだけだ。
頭にきていた俺は「うるせーな!」っておっさんを掴みあげようとした。
「だああめえええ!」
おっさんは大声でそういって俺の手から逃げて立ち上がり、また走りだした。

国道の方におっさんは走って行き、俺は追っかけた。
濃霧で工事用の照明もぼんやりして足元がおぼつかない。
こんな山の中で狂人と追いかけっこしても仕方ないので俺はあきらめた。
とにかく異様な状況でおっかないし。
国道の方でおっさんがまだわめいている。
「わあああ!!くるなああ!!」とか聞こえた。

554 :本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 00:50:04.32 ID:cY098STr0

何から逃げてるんだあのおっさんは?
シャブ中かなにかか?

そんなことを考えているとひと際でかい声で「とーきのぼおおおおおおおお!!!」って聞こえた。
その瞬間、どしーん!!と地響きがした。
次に車の急ブレーキ音がした。
鳥肌が立ち、嫌な予感しかしなかった。

恐る恐る国道の方に向かう。
すると車のヘッドライトが近づいてきた。
同僚の車だった。急ブレーキをかけたのは同僚だった。

556 :本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 01:12:57.19 ID:cY098STr0

俺は同僚の顔を見て安堵した。
「さっきのどしーんって音、なんだったんだ?」
俺が同僚に聞くと、すぐそこの国道に落石があったという。しかもかなりでかい岩が落ちてきたらしい。
「あぶなかったのか?」と聞くと、
霧で落ちてきた岩が見えなくてぶつかりそうになっただけと笑っていた。

それで、背広着たおっさん見なかった?と聞いたが見てないようだった。
そういえば、おっさんの奇声がピタリと止んでいる。
まさか落石に潰されてないだろうなと思い、見に行った。
幸いにも潰された痕跡はなかった。
また落石があるとも限らないので早々に事務所に戻ろうとした。

その時、同僚が「あの霧なに?」って聞くので指差す方を見ると
何かでかい人のような形をした霧がゆっくり歩くように闇の向こうに移動していく。
「とにかく早く事務所に行こう」
すっかり怖くなった俺は同僚を急かして事務所に戻り、眠れない夜を過ごした。

出典http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1358521675/

  • この記事を書いた人

yoshida3

RECOMMEND

1

概要 2ちゃんねる・5ちゃんねる発祥の名作怪談「リョウメンスクナ」をアーカイブ&考察。 くねくね・八尺様・コトリバコなどと並んで洒落怖をジャンルとして確立した名作だと思います。 両面宿儺(りょうめんす ...

2

カルト 先日の【映画評】来る ※気持ち悪い人間関係+超絶エンタメに続き日本の除霊エンターテイメント作品をレビュー。低予算ながらしっかり除霊エンタメしてるので、オカルト好きなら必見の作品ですぞ。※知らな ...

3

オー・マイ・ゼット! 2016年制作。 東京03の角田晃広さん主演。 なんだかなあという序盤。 登場人物達の人となりや背景が描写されるも全員うさんくさいしどうでもいい感じで進行します。 後半15分ぐら ...

4

私とあの人は、世に言うところの幼馴染ってやつでした。 とは言っても、幼稚園から一緒で小学校中学校と同じクラスで……なんていう甘酸っぱいもんじゃなくて、病院でね。 私もあの人も、生まれた時から体が弱くて ...

-怪談・洒落怖

Translate »

Copyright© 怪談夜行列車 , 2024 All Rights Reserved.