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610 :本当にあった怖い名無し:2010/03/19(金) 12:25:57 ID:FgtYxavm0
ちょっとさっきあった話。
私は工事の施工管理の仕事をしているのですが、今日は現場が無くて
現場代理人もお休み。事務所には私一人きりなのです。
ちなみに営繕現場で、既に出来上がったビルの中に事務所があります。
現場が無くても事務仕事はある訳で、図面整理とか材料の手配とかを
やっていたんですよ。で、ある材料の個数を数えて終わった後。
「あ、倉庫にあったっけ? こないだ大量に取ったよな?」
今は決算期なので、材料は多めに取っているのだけれども、それでも
足りなくなる場合もある。年度始めは予算が無いから、材料を余らせて
おかないと、痛い目に遭う。
仕方なく、私は倉庫に向かった。ビルに倉庫なんてあるのか? と思う
人も居るだろうが、4階とか9階とかテナントが入りたがらないような階数
の所には機械室や電気室があって、そこに倉庫があるのだ。
ここの場合は4階。厭だな~と思いながら向かった。
機械室は延々と機械が動く音がして、まるで人の呻き声みたいに聞こえて
かなり気味が悪いからだ。あと、カビ臭いし。
4階の機械室へ。倉庫と言っても部屋がある訳ではなく、空調機の影に
段ボール箱が山積みになっていて、防炎シートが掛けられているだけ。
白く分厚いビニールみたいな素材のシートを剥がした。ごく普通に
段ボール箱があった。
望む材料が入っている箱は、どうやら下の方にあるらしい。
仕方なく、私は段ボール箱を一つずつ下ろしていった。
611 :本当にあった怖い名無し:2010/03/19(金) 12:28:21 ID:FgtYxavm0
ややあって、私は材料を無事に見つけた。これなら充分だろう。
必要な個数を取り出すと、元通りに段ボール箱を積み上げた。
そして機械室を後にしようと、私は防炎シートを再び掛けた。
その時。
シートで見えなくなる一瞬前に、積み上がった段ボール箱の上に人形が
置いてあるのが見えた。私の目線と同じ高さまで積んだ箱の上に座っていた。
金髪のフランス人形だろうか? 何故か片目だけ抉れた古ぼけた人形だ。
それがこちらをじーっと見ていた。
…そしてシートが掛けられた。空気をはらんだせいで少し膨れたシートを
少し叩くと空気が抜けて、段ボール箱の山の上が平らに凹んだ。
そこには、人形があるべきスペースは絶対に無かった。
もちろん確かめる勇気なんぞ、ある訳が無い。
ビビりながら慌てて機械室を出て、事務所に戻ってこれを書いている。
目の錯覚だろうか。灰色のコンクリートで囲まれた、殺風景な機械室に
色鮮やかな人形を、幻覚を見たのだろうか。
よく、分からない。
怖くて仕方ないんで書きました。憑いてきてたらホラーだよマジ。
つか、明日も材料を取りに行かなきゃいけないのに……。