869 :5:2010/04/12(月) 00:11:29 ID:WbDIqEhy0
前置きが長くなりましたが、本当に洒落にならなかったのはこの後日の話。
医局に泥棒が入るらしい、とうわさが流れるようになったものの、普通に生活していましたが、
ある夜に相変わらず遅くまで仕事をしていると、廊下の方からガタガタいう音が。
え?と思っていると我が医局のオンボロドアを外から誰かがガタガタやる音がするのです。
最近どうやら物騒らしいということで、古い木製のドアに内側から簡単な閂を最近つけていて
一人でいるときにはそれを下すようにしていたのですが、医局員はみな当然知っています。
すりガラスの窓で明かりがもれていますので、中に誰かがいるのは一目瞭然。
ですから事情を知っていれば、声をかけてあけるように頼めばいいだけの話。
870 :6:2010/04/12(月) 00:12:14 ID:WbDIqEhy0
不審に思ってドアの近くまで寄った瞬間。
ガタガタガタガタガタガタ!!!!と激しい音と衝撃。
ドアの閂はもう外れそうなほどで、特に向こうがぐっと押した瞬間は少し隙間が空きます。
とっさにまずい!と思い、内側からほぼ体当たりするようにドアを押し返します。
ドアの向こうからはおそらく2人ほどの男の話声。
言葉からして外国人、それもおそらく2ちゃんねるで比較的嫌われている某隣国人と推察されました。
ますますまずい。あれほど冷や汗が出たことは覚えがありません。
ガッガッガッガッと、おそらく蹴っているのでしょう、ドアの下の方がきしみ、一瞬板が浮きます。
持ってくれ、戦前からの木板とか悪口言って悪かった、頼むから折れないでくれ。
もう、ありとあらゆるものに心の中でお願いしました。
定番の神様仏様。
忙しくて余りお墓参りできていないご先祖様に、まだピンピンしている田舎の祖父母4人。
小言が嫌なのと本当に忙しいので余り帰省していない両親。
この間出てきたおせっかいやきな兵隊さんの幽霊(推定)。
天国にいるはずの看取ったペット達。
871 :7:2010/04/12(月) 00:13:03 ID:WbDIqEhy0
祈りが聞いたのか廊下の音はひとまず落ち着いたのですが、今度は後ろから声が聞こえます。
廊下からも返事をするように声が。思わずぎょっとしました。
つまり、半地下の私の部屋を挟んで男たちが外国語で会話しているのです。
そして、バリーン!と大きな音を立ててガラスが割れました。
もう駄目だ…と半分覚悟を決めたのですが、奇跡的に助かりました。
というのも、その窓を半分ふさぐ形で大きな書棚があったのです。
吹っ飛んできた本が頭に直撃して涙目になり、
後からそこは見事なたんこぶとなって10円ハゲができましたけれど。
すぐさま侵入できなかったことと、思ったより大きな音がしたことで、向こうも慌てたのでしょう。
そのまま大声で話をしてバタバタと立ち去りました。
私はドアに寄りかかったまま、しばらくへたり込んで動けなかったです。
872 :8(ラスト):2010/04/12(月) 00:14:26 ID:WbDIqEhy0
そのあとは通報して大騒ぎになりましたが、廊下に出た瞬間が一番洒落になりませんでした。
たぶん慌てて置いていったズックから少し中が見えていたのですが、
定番の「バールのようなもの」はじめ、「金づちらしきもの」や、
むしろ包丁なんじゃないかと思うようなサイズの「ナイフらしきもの」が見えてましたので…。
ドアを開けてそれを見た瞬間、それこそすぐドアを閉めて立てこもり、半泣きで電話しました。
ほんとあれは死ぬほど洒落にならなかった。
あの時ドアが空いていたら、あるいは本棚の位置が少しずれていたら、
本当に死んでたかもしれませんしね。
それ以来、医局がトラウマになって、今は周囲の好意で更衣室に全部荷物を運び込んでいます。
ちなみに今でもたまにうとうとしてしまうことがありますが、不思議と金縛りはなくなりました。
以上、長くなりましたが、幽霊よりも生きてる人間が洒落になりませんよというお話。