怪談・洒落怖

【新作洒落怖】子供

投稿日:2023年8月25日 更新日:

本文

915 :子供1:2012/07/10(火) 01:35:53.01 ID:COnTfSmE0

あんま怖くないかも知れんが、俺自身は凄く怖かったって話し。
長いので暇な人だけ読んで下さい。

九州の南部に住んでるんだけど、去年の8月の半ば位に暇潰しに友人4人(男TとU2人、女RとK2人)とで肝試しをする事にした。
県内の山の中にあるS病院跡が割と有名らしく、夜の9時半位に家を出て俺の車で向かった。
病院跡の周辺には民家も何も無いって話しだったから、途中にあるコンビニに立ち寄って缶ビールやジュースやら菓子やら花火なんかを買い込んだ。
買い物が終わって店を出た駐車場で偶然、別の友人グループとバッタリ出食わした。
んでその場で駄弁ってる内に盛り上がっちゃったのね。
今買ったばかりのビールにジュースに袋菓子や唐揚げを食いながらで物凄く楽しかった。

そこのコンビニは郊外にあって、出来てまだ半年か1年位でまだ新しく、タクシーの待機所も兼ねていて、タクシーの運転手が2人、車外に出て世間話をしてた。
携帯でメールしててふっと横に目をやると、その内の1人の運転手のオッサンが話しながらこっちをチラチラ見てる。
目が合った途端、オッサンの方から顔を逸らしたけど、又直ぐにこっちを見てんのが分る。
コンビニの入り口から少し近いトコに集まって喋ってたもんだから、あー、ひょっとして俺達のこと邪魔とか思ってんだろうなーって。

そこで改めて周り見ると、いつの間にか駐車場に俺達と似たようなグループが2、3組み程増えてて、広めの駐車場が人でごった返してたのね。
これはヤベーわと思ってたら、案の定それから直ぐにパトカーが1台駐車場に入ってきて、スピーカーで「君達すぐに解散しなさい」って言って来た。

916 :子供2:2012/07/10(火) 01:37:04.07 ID:COnTfSmE0

国道沿いにパチンコ屋やゲーセンが集中してて、ナンパスポットも近くにあるし、そんな中心にあるもんだから週末になると、こういった事はしょっちゅうなので地元の連中は馴れっこ。
たまに国道を族がまとまって走って、パトカーと追いかけっこをやらかすんで、それ目当てのギャラリーも結構多く集まる。
コンビニの駐車場に人が集まり過ぎると他の買い物客が入り辛く、客も店も迷惑するんで集まり出したら速攻で警察に通報すると、顔馴染みになったやたら背の高いコンビニの
夜勤のオッチャンが教えてくれた。
しかも、ちょっと前にコンビニの入り口から店内に向けてロケット花火を何発もぶっ放したアホがいて、そのせいでパトカーの到着がやたらと速くなった。

警官がパトカーから降りて来て「家に帰るように」と促して廻る。
集まってる奴らみんな面倒臭そうにしながら徐々に駐車場から車で出ていく。
それで俺達も車に戻って、ようやくそこで最初なにやるつもりだったか思い出して、改めて病院跡へ出発した。
ちなみに上でビールを買ったって書いたけど、俺自身はアルコールは一切駄目な下戸なんで。
それもあるから運転は俺がする事になったわけで。

病院跡の場所を俺は知らなかったので、病院跡で肝試しをしようって言い出したUが助手席でナビゲートしてくれながら初めての暗い山道を進んだ。
約1時間半ほど掛かって目的地に付いた。
小さな休憩所みたいな所で、ここで一旦車を駐めて、そこから少し歩くらしい。

917 :子供3:2012/07/10(火) 01:38:39.08 ID:COnTfSmE0

時間は午前零時を回ってたと思う。
山の中にも関わらず意外と外は月明かりで薄明るい。外に出て持参した懐中電灯2本で適当にそこら辺を照らしてた。

マルボロに火を付けて背伸びしながら振り返ると車でTがしゃがんで後部座席の下をゴソゴソしている。
どした?って聞いたらライターを落としたんだと。
俺も運転席と助手席を見てみたけど何も見つからない。
俺「あれ?さっき吸ってたのは?」
T「Rから借りた」
俺「ひょっとしたらさっきのコンビニで落としたんじゃ?」
T「あー・・・かもなー・・・」
コンビニまでここから1時間半は掛かるから帰りに寄ろうって事になった。

準備を整えて廃墟へ向かう。
木ばっかりの細い獣道っぽい所をワイワイ喋りながら5分程進むと開けた場所に出た。

結構広い、サッカー場の倍くらいはありそうだけど、砂利が敷き詰められてるだけで何も無い。

918 :子供4:2012/07/10(火) 01:39:32.99 ID:COnTfSmE0

どうも取り壊して更地になってるって感じ。
なんもないじゃんって言ったらUは「えー?去年はあった筈なんだけどなぁ」とか首を傾げてる。

おいおいUさんしっかりしてくれる~?とかUをからかい、せっかくなんでコンビニで買った花火で遊びだした。
上半身裸になった男3人が両手に火の付いた線香花火を持って奇声を発しながら走り回る。
親から黙って借りてきたビデオカメラで巨乳のKにセクハラする。
そしてロケット花火で反撃を喰らう。
ねずみ花火でサッカーをしてたらいつの間にか砂利を相手に投げつける遊びに変化する。
今思い返すとなかなかに下らなくてアホ素晴らしい、つーか何やってんだろホント。

そんな風に騒いでると獣道の丁度反対側に道路があるのに気付いた。
辺りを良く見ると駐車場の跡らしきスペースがあってその先に道が続いてる。

T「本当はこっちから来るのが正解だったんじゃね?w」
俺「いや普通にこっちだろw」

919 :子供5:2012/07/10(火) 01:40:39.21 ID:COnTfSmE0

取り敢えず奥まで行ってみようって暫く歩いてると2~300M先に外灯の明かりとガードレールが見えてきた。
どうも本当にこちらから来るのが正解だったようだけど、今更車をこっちに回して来ても意味無いし、戻るかって話してると、
途中に横道らしいのものを見付けた。
真っ暗な林のせいで先は何処に続いてるのかは分からない。

T「ちょいコッチ行ってみねぇ?」

みんながTに付いて行って横道に入って直ぐ、急にTが立ち止まんの。

T「待った!」みんながTの様子を伺ってると、

ブフォッ

R「馬鹿じゃないのw」
K「イヤwホントくさーい!マジ最悪w」
T「ウフフフw」
俺「寄んな、抱きつくなw」

920 :子供6:2012/07/10(火) 01:41:48.25 ID:COnTfSmE0

ガキみたいに屁こきで爆笑して、じゃれ合いながら進んでると、木と木の間に黒い大きな塊が見えて来る。
パッと見どうも民家っぽい。

近づくと確かに2階建ての1軒家がポツンとある。
壁や塀に蔦が生えてたり建物の周囲も草がボウボウで、玄関の前にはゴミが散らばってるし、古い一輪車が裏っ返しにして置いてある。
どう見ても人が住んでいるようには見えない。

「うわぁ・・・なんでこんなトコに家があるんだろ?」とか「イヤー、ここ怖いよ」なんて女2人は言っててビビってる。

俺も心の中で(なんだかやべぇーなここ)と思いながら背筋がゾクッとした。
月明かりに薄っすら浮かぶ建物って結構迫力あって俺も含めてみんなビビってた。

すると家の方から「ガン」とか「カコン」って音がすんのね。
うぉお!?ってビクついてパッと横見ると、Tが石を拾って家に向かって投げてんの。
こいつがニヤニヤしながら「ビビった?」とか聞いてくるんでちょっとイラッとした。

このTって男は本当に悪戯好きって言うか怖いもの知らずって言うか、黙ってるとダルビッシュに似た顔とタッパでモテる筈なんだが。
ガキっぽ過ぎるって女達から言われる事が多い。

921 :子供7:2012/07/10(火) 01:42:50.68 ID:COnTfSmE0

実はコンビニのくだりで省いたが、パトカーから警官が降りてきた時に、手に持った缶ビールを振りながら大声で「さて運転しよっかなー」
とか言いつつ運転席に乗ろうとしたり、駐車場から出る時も警官に向かって何か暴言を吐いたり、やたら挑発的。

ここでもTだけは余裕でスタスタ塀の内側に入って行き、玄関の扉をガチャガチャやって開きそうにないのを確認すると、裏手に回って庭に入って行った。
この行動力だけは感心するっていうか、半ば呆れた。
それでTに付いて行くと、何か違和感がある。それが何なのか思い出せない。
でもイライラしそうだったからあまり気にしないようにした。

生え捲った雑草で歩きにくい庭に入ると縁側の1階の窓が1枚、人が潜れる位に割れてて中に入れそうだった。
閉めきったままのカーテンを捲って中を照らすと6畳位の部屋らしい。

RとKの女2人は完全にビビってて「ムリムリムリ」とか半泣きで中に入りたがらなかった。
この雰囲気では流石にしょうが無いなと思った。
でも逆にTだけでなくUも案外平気そうにしてんのね。
男3人の中で俺だけビビってるのは有り得ないでしょ。駄目でしょって自分に言い聞かせながら、俺も平気な振りしてた。

結局女2人は外で待って、俺とTとUの男3人で中を探検する事にした。

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