やこう

ご乗車ありがとうございます。 車掌は怪談や奇談、洒落怖、ホラーなど、『怖いモノ』をジャンル問わず収集しているオカルトマニアです。 皆様も「この世発、あの世行き」の夜の寝台特急の旅をごゆっくりお楽しみください。

バ怪談・閣下ですか?

池袋の飲食店で働くジュンという男性から聞いたお話です。 まず最初に断っておくことがあります。 それは『ジュン君は愛すべきバカである』ということ。 それではどうぞ。 「俺たぶん前世でめちゃくちゃ恨まれてるんすよ!」 とある小さなバーのカウンターに立ってアハハと笑う彼は、子供の頃からそれはそれは恐ろしい目に遭ってきたという。 子供の頃、ジュン君は知らなかったが実家に住んでいる両親や祖父母が頭を抱えていた出来事があった。 ある時期から深夜に実家の電話が鳴るようになったという。 最初に電話に出たのは祖父だった。 ...

怪談の体験者さんと執筆者さんが匂わせしてきてイライラする話

「この先の話もあるんだけど、それは言えないんだ」 こういう展開は怪談に限らず人に話を聞く仕事をしていれば出くわすことだろう。 何かクリティカルな出来事があるらしいのだが、『とある事情』とやらで話すことができないと。 「これ以上はマジで洒落にならないからごめん。〇〇さん、これ以上はまずいよね?」 「ああーうん、まずいね、まずい」 グループ通話のやり取りを聞いて内心でため息をつく。 うんざりしていた。 グループ通話の相手は当該の怪談の体験者とそれをまとめた怪談作家である。 彼らとツイキャス配信をするためのテス ...

第三部 一話 大霊障・前編

勧請院さんと合流してから今日で3度目の天道宗施設襲撃。 俺がカメラを向ける先で、篠宮さんと勧請院さんが天道宗の男から話を聞き出している。 勧請院さんが1人で乗り込んで油断させつつ施設内を制圧し、その後にカメラを持った俺から施設内に入って撮影する。 まあ制圧といっても施設にいるのはほとんどが中高年の大人しそうな人たちで、なぜか不自然な体勢のまま気を失っているので、その場で暴力が振るわれた形跡はない。 勧請院さんによる威圧というか、霊的な何かを浴びせると普通の人間は気を失うのだそうだ。 試しにやってみせようか ...

駅のホームにいる霊がどう見てもウルトラマンにしか見えない件

2024年ニコニコ超会議出展ブースにて配布 取材:かみよう『琴葉茜と不思議探訪シリーズ』 執筆:夜行列車 「僕が見たものがなんだったのか、わかる人がいたらと思って」 そう語ってくれたのは、都内で接骨院を営むKさんという男性。 Kさんにはとある思い出がある。 今となっては思い出したくない記憶だが、それがなんだったのか、今も気になっているという。 東京の西のはずれの街で生まれ育ったKさんは、幼い頃から霊感があった。 物心ついた時には街中や家の中で変なモヤを見るようになっていた。 毎日見かけるものだし、彼に襲い ...

第二部 四話 それぞれの覚悟

平将門を封じた結界が破壊されてから2週間。 この間に私たちは実に6回のデモを行った。 最初のデモが成功したことを受けて私はまずジローさんに相談して、天道宗による解体工事が終わるまでなるべくデモを続けようと決めた。 すでに鎮しずめ物が掘り出されてしまった解体現場を除く全ての現場で連日デモを行う。 OH!カルトや怪談ナイトの公式Twitterで参加を呼びかけ、平日だろうがなんだろうが構わず集まってシュプレヒコールを上げる。 2回目以降のデモではマイクを握るのはジローさんの役目となった。 もともと芸能人として活 ...

第二部 三話 魔法陣喪失

「ミルキーウェイ?」 和美さんからの電話に出ると、開口一番にその名前を言われた。 「天道宗の本部の場所がわかったわ。NPO法人ミルキーウェイ。ネットで調べたけど横浜にある会社ね。最上階がオフィスになっていて、そこが天道宗の本部みたいなの」 和美さんは興奮しているようで早口にそう言った。 「ちょっ…ちょっと待って。どうやってわかったの?」 「理恵さんがようやく話してくれたのよ。あの子はそこでヨミの霊を取り憑かされた。地下にすごい数の箱が保管してあるらしいから、すぐにでも乗り込むべきだと思う」 これから乗り込 ...

実話怪談・池袋西口のラブホテルに現れた怪異

池袋の飲食店で働く霊感少女ナミさんから聞いたお話です。 たくさん聞かせていただいたお話のひとつなので、今後数話にわけて投稿します。 それではどうぞ。 当時付き合っていた彼氏とラブホテルに入ったら、部屋に入った途端、部屋の中からパキッというラップ音が聞こえた。 パキッ、パキッと続けざまに鳴っている。 氷の入ったグラスに水を注いだ時のようなパキッという音だったという。 かつて実家や心霊スポットで感じたような嫌な雰囲気は、その部屋では何も感じなかった。 ただ部屋の中では繰り返しラップ音が鳴っている。 彼氏にはど ...

第二部 二話 壊された日常

土曜日の昼過ぎ。 朝から自宅のパソコンでネットゲームをやっていたら携帯がヴヴヴッと震えた。 画面を見ると由香里からのLINEが来ている。 ちょうど手が離せるタイミングだったのでスマホの通知をタップする。 『ヨミまた出たって』 『ニュース見た?』 その文面を見たとき、それが何を意味するかわからなかった。 とりあえずヨミという単語にあの時のことを思い出す。 ビルの屋上から人がボトボトと落ちていく映像。 怯えた顔の由香里。 閉まっていく霊安室の扉の向こうから俺を見ていた女の霊。 既に解決したこととはいえ、あまり ...

第二部 一話 繰り返される悪意

内線電話で私宛の来客が到着した旨を聞いてわずかに逡巡する。 受付のスタッフに、そのまま来客を会議室に連れてきてもらうよう頼んだ。 本来なら私が取材相手をロビーまで迎えにいくのが礼儀だが、たとえその数分間だとしても私1人で天道宗と接触するのは怖かった。 部屋の中を見渡す。 緊張の面持ちの面々と、いつもと変わらない気楽な顔をした神宮寺さんが私を見ている。 部屋の中には注連縄しめなわが張られ、和美さんの近くには小さな護摩木ごまぎが組まれている。 会議室内はいつでもお祓いを始められるよう片付けられ、人数分の椅子と ...

第一部 四話 恐れを乗り越えて

「てことはここも天道宗の結界の内側になるわけか」 神宮寺さんがフムと息をついて腕を組んだ。 私は泰雲堂の応接セットで神宮寺さんと向かい合っている。 宗方くんはカウンターに座っているがこちらに顔を向けて話を聞いている。 三谷建設でのヒアリングで天道宗の敷いたレイラインのことを知り、特殊な鎮物をした箇所をマーキングした地図をコピーさせてもらって、すぐに泰雲堂へと戻って神宮寺さんに報告をした。 「陣じんがあるならどこかに傷をつけて破綻させるのが結界破りの定番だが、ビルの地下に埋められちまったものはすぐにどうこう ...

no image

月明り ~稲川淳二風実話怪談~

私とあの人は、世に言うところの幼馴染ってやつでした。 とは言っても、幼稚園から一緒で小学校中学校と同じクラスで……なんていう甘酸っぱいもんじゃなくて、病院でね。 私もあの人も、生まれた時から体が弱くて、物心ついた時にゃ病院で、入院したり退院したり入院したり退院したり、そんなことを繰り返してましてね。 学校なんかろくに行けやしない。 それでも病院に行けば大抵の場合あの人と会えるんで、私は病院に行くのが嫌いじゃなかった。   あの人は脳みその腫瘍かなんかの病気で、私は心臓が弱っちくて、お互いに「どっ ...

第一部 三話 見え始めた影

天道宗を告発する記事を書いて1週間ほど経ったある日、私は東京駅の近くにある喫茶店に呼び出されていた。 呼び出しをかけたのは姉。 昔から頭の上がらない数少ない相手である。 篠宮神社の長女として最も神様の近くに置かれ、何をするにも拝殿や本殿が目に入る位置で行うよう躾けられて来た神様の許嫁。 母にしてみれば「神様がしーちゃんを直接見守りたいから、おそばに置かせて頂いてるだけよ」ということだが、本人にとってはたまったものではなかったらしく、高校卒業と同時に姉は東京へ出た。 両親の教育方針としてはただ「何をするにも ...

【ありがたすぎてシェア】「闇の鳴動」に対する台湾の皆さんの反応

01「第一部 一話 霊能者インタビュー 嘉納康明1~2」「魔女」に対するコメント be*******:  篠宮神社を見ただけでスレをクリックした。 an******: タイトルを見ただけで凄く興奮した!!!! an*********: 興奮したのは私も同じです! do**********: 俺の愛人になってくれるって何よwww あしたのエピソードが楽しみです! o8****: おおおお!待っていました! cy*****: 長い間待っていました! an********: タイトルを見ただけでクリックした!嬉 ...

第一部 二話 望まぬ再会

「はい。今夜も始まりました。毎週金曜の夜にお届けする怪奇な番組『怪談ナイト』のお時間です」 阿部ちゃんのキューに合わせていつも通りの言葉で喋り始める。 いつもは小林さんと2人きりなので、5人もいると放送ブースが狭く感じる。 俺の対面に座っている笠根氏は、拝み倒してなんとか出演を了承してもらい、笠根氏の隣に座る篠宮さんは雑誌の宣伝になるとノリノリで出演OK。 意外だったのは伊賀野氏も若干乗り気で出演を快諾してくれたことだ。 ゆくゆくは伊賀野庵の二代目として、積極的にメディアを利用したいと考えているとのことで ...

【業務連絡】書籍発売のお知らせと今後の展望【読者の皆さんへ】

書籍化についてのお知らせです。 以前の投稿で「書籍化します」とお知らせをしましたが、実は日本国内ではなく台湾での書籍化となります。 特設ページ http://www.revebooks.com/chilin/Shrine/news.html 書影が確認できます。 表紙はあの御方!! 販売ページ https://www.books.com.tw/web/sys_puballb/books/?pubid=chihlin 「買いますよ~」と言ってくれた日本の読者さんには本当に申し訳ないですが、現在、日本国内での ...

Translate »