第七作 呪の曙(しゅのあけぼの)

第二部 二話 壊された日常

前回のあらすじ 天道宗のインタビューを受け入れた水無月達。 インタビューを続ける中で天道宗の思惑を見抜いて、彼らの望みが『この国の破壊と混乱である』と断ずる水無月。 そんなさなかテレビをつけてくれと申し出る天道宗。 画面に映し出されたのは国内4か所で同時多発したヨミによる集団自殺テロの映像だった。 再び現れたヨミという恐怖にさらされたこの国は…。 土曜日の昼過ぎ。 朝から自宅のパソコンでネットゲームをやっていたら携帯がヴヴヴッと震えた。 画面を見ると由香里からのLINEが来ている。 ちょうど手が離せるタイ ...

第二部 一話 繰り返される悪意

前回のあらすじ 天道宗によるヨミ騒動や大規模な呪術結界の存在をOH!カルトで告発した水無月。 出演したラジオ番組「怪談ナイト」生放送中に天道宗から取材の申し込みが届く。 恐怖を抱きつつもまたとない機会に取材を受けることに決める。 水無月、神宮司、伊賀野、ジロー、阿部の5人が民明書房の会議室で天道宗を待つ。 内線電話で私宛の来客が到着した旨を聞いてわずかに逡巡する。 受付のスタッフに、そのまま来客を会議室に連れてきてもらうよう頼んだ。 本来なら私が取材相手をロビーまで迎えにいくのが礼儀だが、たとえその数分間 ...

第一部 四話 恐れを乗り越えて

「てことはここも天道宗の結界の内側になるわけか」 神宮寺さんがフムと息をついて腕を組んだ。 私は泰雲堂の応接セットで神宮寺さんと向かい合っている。 宗方くんはカウンターに座っているがこちらに顔を向けて話を聞いている。 三谷建設でのヒアリングで天道宗の敷いたレイラインのことを知り、特殊な鎮物をした箇所をマーキングした地図をコピーさせてもらって、すぐに泰雲堂へと戻って神宮寺さんに報告をした。 「陣じんがあるならどこかに傷をつけて破綻させるのが結界破りの定番だが、ビルの地下に埋められちまったものはすぐにどうこう ...

第一部 三話 見え始めた影

天道宗を告発する記事を書いて1週間ほど経ったある日、私は東京駅の近くにある喫茶店に呼び出されていた。 呼び出しをかけたのは姉。 昔から頭の上がらない数少ない相手である。 篠宮神社の長女として最も神様の近くに置かれ、何をするにも拝殿や本殿が目に入る位置で行うよう躾けられて来た神様の許嫁。 母にしてみれば「神様がしーちゃんを直接見守りたいから、おそばに置かせて頂いてるだけよ」ということだが、本人にとってはたまったものではなかったらしく、高校卒業と同時に姉は東京へ出た。 両親の教育方針としてはただ「何をするにも ...

第一部 二話 望まぬ再会

前回のあらすじ 天道宗によるヨミ騒動や邪悪な箱の呪術を受け団結する霊能者達。 月刊OH!カルトでの特集をラジオでも拡散するべくジローに依頼する水無月。 リスナーから相談を受け呪術の施された箱を回収し、伊賀野庵で除霊を行う。 伊賀野和美の除霊に感銘を受けたジローは、伊賀野・笠根・水無月に出演を依頼する。 「はい。今夜も始まりました。毎週金曜の夜にお届けする怪奇な番組『怪談ナイト』のお時間です」 阿部ちゃんのキューに合わせていつも通りの言葉で喋り始める。 いつもは小林さんと2人きりなので、5人もいると放送ブー ...

第一部 一話 反撃開始

月刊OH!カルト8月号 特集ページより一部抜粋。 『ヨミの騒動を覚えている読者は非常に多いことと思われる。 つい先日の出来事であったし、近年稀に見る大規模テロであったことも要因だろう。 ヨミという女が現れて、数十人が自殺した。 自殺という極めてプライベートな事柄でありながら、それが数名あるいは十数名同時に行われたこと、さらに複数の場所で複数回行われたことから、政府や報道機関は組織犯罪ではないかという見解を発表しているが、テロとの明言までは避けている。 弊誌でも繰返しお伝えしてきたヨミ騒動であるのだが、この ...

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