948 :本当にあった怖い名無し:2014/02/19(水) 17:29:47.97 ID:UVkn4pYzI
まさか自分が金縛りになるとは夢にも思わなかった。
本当に全く動けない。
唯一動くのは目だけだった。
当時幽霊なんて全く信じていなかったおれは、「とうとう体が悲鳴をあげはじめたのかな?」とか思ってた。
…ォ
「ん?」
…レォ
なんだ?変な声が聞こえてくる。
…クレヨ
斎藤さんの悪ふざけかな?
949 :本当にあった怖い名無し:2014/02/19(水) 17:33:53.11 ID:UVkn4pYzI
…クレッヨクレッヨクレヨクレヨクレヨクレヨォ!!
やばい。斎藤さんじゃない。
俺は目を可能な限り動かして、音の正体を見つけようとするが見つからない。
ピチャ…ピチャ
マジか。これはマジでヤバい。どうしよう。
ピチャ…ピチャ
明らかに近づいてくる。
950 :本当にあった怖い名無し:2014/02/19(水) 17:38:50.98 ID:UVkn4pYzI
ッッ!?
急に体が動くようになった。
すぐ後ろを振り返る。
…何もいない。
何だったんだ今のは?頭おかしくなっちまったんかな?
ピチャ…
いや、なんかいる。
951 :本当にあった怖い名無し:2014/02/19(水) 17:42:29.82 ID:UVkn4pYzI
殺人鬼とかだったらヤバい。
この部屋電気ついてるから、人がいるとばれてしまう。
かといって急に電気消したらそれこそここに俺がいるとばれてしまう。
ここはひとまず、斎藤さんと合流してどうにかしないと。
そぉっと廊下に出ようとした。
斎藤さんは居た。
か、『そいつ』も居た。
953 :本当にあった怖い名無し:2014/02/19(水) 18:07:54.00 ID:UVkn4pYzI
目の前には見たことがない光景が広がっていた。
斎藤さんは白目をむいていた。
そして、逆に黒目いっぱいの『そいつ』を引きずっていた。
『そいつ』には足らしきものはなく、上半身のみ。髪の毛が長くて、斎藤さんがそれを掴んで引きずってる。
「ア、イタヨ」
『そいつ』に見つかった。
「アタカミ?ちゃん行くよ」
斎藤さんがすごい速さで走ってきた。
955 :本当にあった怖い名無し:2014/02/19(水) 18:13:30.87 ID:UVkn4pYzI
気づけば俺は診療所の出入り口に向かって走っていた。
人間って危機を感じると考えなくても体が動くんだな。
後ろを振り向く余裕なんかなかった。
今すぐここから出たかった。
はぁ…はぁ…はぁ…
なんとか診療所から出た。
絶望だった。
956 :本当にあった怖い名無し:2014/02/19(水) 18:19:28.90 ID:UVkn4pYzI
そこらじゅうに『そいつ』がいた。
車に乗る余裕なんてなかった。
泣きながら俺は山林に逃げ込んだ。
今思えば、『そいつ』たちは自らは動けなかったのかもしれない。
10分ほどして、我に返った。
ここどこだ?
家はどっち方面だ?