怪談・洒落怖

【新作洒落怖】夢魅

投稿日:2023年5月15日 更新日:

43 :本当にあった怖い名無し:2012/05/01(火) 09:12:07.69 ID:YSGKGk/pO

Aの家へ上げてもらったが案内されたのはAの部屋じゃなく祖父ちゃんの部屋でした
A 「祖父ちゃん今風呂入ってるから少し待っててくれ、飲み物持ってくるから」そう行って部屋を出て行き二人部屋に残された
昨日帰り際Aが「玉」を持っていた事である程度予想はしていた、Aは何かわかっててKの家に行った事を、Aは祖父ちゃんから何か聞いていたが私達には話さず、もしくは話せなかった事があると

私は張り詰めた緊張感の中に少しの懐疑心を持ち二人を待った

5分程経ちAと祖父ちゃんは二人揃って部屋に来た
祖父「おおっ私、久しぶりだな、元気してたか?」
私 「久しぶりって、最後に会ってから一ヶ月も経ってないけどね」
祖父ちゃんは「そうだったか?」と笑いながら座布団に座った
祖父「さて、話す前に…」と言いながら立ち上がり、私とEにゲンコツした
E 「いっいったーー」
私 「何すんだよ、いきなり、本気だっただろ今!?」
祖父「その位で済んで良かったと思え!!一歩間違えたらKという娘みたいになってたかもしれなかったんだぞ」

そう言われ私達は黙るしかなかった
少しの沈黙が流れたが、Aが沈黙を破った
A 「俺達が悪い事したのはわかってる、でも私もEもアレがどんな物かもわかってないんだ、説明してやってくれないか、二人も一応当事者だしな」
祖父は溜息をつきながら静かに話し出した

 

44 :本当にあった怖い名無し:2012/05/01(火) 09:18:12.84 ID:YSGKGk/pO

あの「玉」が出来たのは昔、正確な年などはわからないらしいが相当古くから在るものらしい

昔、まだ睡眠中に見る夢などのメカニズムなど解明される以前の時代に(宗介)という青年が夢を説き明かそうとしていたそうだ

夢には本人が知りえない人物や物が出たり、それらが実在したりする時もある、夢には隠された力があり、隠された力があるなら人の為に役立てたいと、様々な人の夢の話を聞きながら町から町にと流れていた

流れる旅の中、宗介はとある集落に辿り着き、いつものように人々から夢についての話を聞き回っていた

集落の人達から話を聞いて数日が経ったある日、その集落の長の使いという人物が現れた
是非あなたの話を伺いたいという誘いの話だった

宗介はそれに了解し、長の屋敷に行き、長と話をしていた
どうやら長の一人娘が毎晩悪夢ばかりを見てろくに睡眠も取れてない、それをどうにか出来ないかという話だった

宗介は今まで自分が得た知識で人助けになるならと、今でいうセラピーみたいな事を施し、数日後には娘は悪夢など全く見なくなり、長は大変喜び宗介を気にいったようだった

45 :本当にあった怖い名無し:2012/05/01(火) 09:18:59.46 ID:YSGKGk/pO

集落の者を使い宗介の為の家をこさえ、宗介にここに住んでもらいたいとの事だった
宗介は悩んだが集落の人達の暖かい歓迎を受け、それに承諾し、集落の一員となった

元々の人柄もあり宗介は集落の人達から人望を集めていた、一人娘もセラピー以来宗介に心を開いており、長もいずれは娘の婿として迎え、この集落をまとめてもらいたいと考えていた

だかそれを気にいらない人物がいた、長の使いで使用人の男だった、元々野心家で使用人になったのも一人娘を自分の物とし、いずれは自分が集落の長になるつもりだった

だから、宗介の存在がどうしようもなく疎ましかった、その為どうにか出来ないかと考えていたある日、他の使用人が一人娘の話をしているのを偶然聞き、それを利用しようと考えた

一人娘は毎晩色欲の夢ばかり見るという話だった、完全な箱入り娘だった為使用人以外の男と会話すらした事なく、年齢的にも考えておかしくはない歳だった

普通に考えて娘は宗介に好意があったのは間違いない、決して悪い事ではない、だがそれも言い方一つで悪い方に向かわせれる
使用人は長にこう話した「最近一人娘が色夢ばかり見るのは長の地位目当てに一人娘を自分の物にする為に宗介が仕組んだ事だ最初からこのつもりで近付いた事だと」と

46 :本当にあった怖い名無し:2012/05/01(火) 09:19:31.71 ID:YSGKGk/pO

長は憤慨した、そんな事しなくてもいずれは長の地位を継がせるつもりなのに、そんな形で今までの信頼を裏切るなんて、絶対許せる事ではない

長は宗介を呼び出し宗介を責め立てた
宗介は身に覚えがないと訴えたがまるで聞き耳を持たなかった、密告人は長年付き従った使用人、それに加え夢を操れる人物など宗介以外に考えられなかったからだ

長は宗介に2週間の猶予を与え、その間に色夢をやめさせないとただではおかないと言った
宗介はどうにかしようとあらゆる手を尽くしたが全て逆効果だった、何せ娘からしたら慕っている人物が目の前にいるのだ、色夢は止む所か膨らむばかりだった

その間に使用人は集落の人々にも宗介の話をし、ある事無い事を言い回し、宗介の人望を消し去った
今まで暖かかった人達は嘘みたいに冷たく、宗介を避け、宗介は孤立した
今までは周りの人の手伝いなどをし食料分けてもらっていたがそれすらも無くなった

宗介は絶望した、今までの周りの人々の信頼関係は崩れさり、食う物も無く、宗介はひたすら追い込まれついには狂った…

47 :本当にあった怖い名無し:2012/05/01(火) 09:20:19.62 ID:YSGKGk/pO

狂人と化した宗介は悍ましい事を考えた、夢は頭の中で見る物、ならば頭の中を直接見ればいいと
普通に考えればまるで意味の無い事だが、狂った宗介にはそう考える自体に意味が無かった、ただひたすら夢だけを考え追い求めた

旅人を襲い、狩りに出た集落の人を襲い、頭を割り脳を取り出し家で食い入るように見続けた

そして10日が過ぎようとしたある日変わり果てた宗介が屋敷に現れ、一つの「玉」を差し出した
これがあれば色夢など消え、更に良い夢をだけを見れると言い残し宗介は去っていった

宗介の言い残した通り娘に「玉」を持たせると、色夢などあっさり無くなり、自分に取って都合の良い夢ばかり見るようになった
これを良しとし、宗介を許し、全てが丸く収まったように思えたが、もちろんそれでは済まなかった

一週間も経たない内に事は起こった、Kのように一人娘は自分の体を傷付け自害したのだった

49 :本当にあった怖い名無し:2012/05/01(火) 09:23:41.72 ID:YSGKGk/pO

その異様さに長は宗介が渡した「玉」が原因と思い探したが「玉」は一向に見付からなかった
宗介も集落から姿を消し一向に行方は掴めなかった

そして本当の悪夢が集落を襲った
集落全体「玉」が見せる夢が感染し始めた

皆一様に都合のよい夢を見て、ある程度の期間が来たら一人娘のように体を切り刻み自害した
長は畏れた、これは宗介が起こした呪いだと…

50 :本当にあった怖い名無し:2012/05/01(火) 09:24:23.70 ID:YSGKGk/pO

呪い等に全く知識の無い人々は夢を畏れ、次は自分かもしれないと夢を見る事を避けるように眠れない日々を過ごした

そんなある日集落に旅の僧侶が乞食(こつじき)に来たが、集落の状況を察知し長の屋敷に訪れた
長から事情を聞き、恐らく「玉」を見つけどうにかしない限り、この状況を切り開く術はないと告げました

僧侶は長と集落の者数人を引き連れ宗介の家へ向かった
宗介の家は一度調べたと言ったが、間違いなく「玉」は家にあると僧侶は言い、宗介の家を調べた

やはり何もないと思われたが、僧侶は床下を掘ってくれと言い集落の人、数人で床下を掘った結果、大事そうに4つの「玉」を抱える腐乱した宗介の死体が見つかったのだった

僧侶は禍々しく光る「玉」を見た瞬間に吐き気を抑えるように口を抑え皆にこう伝えました
僧侶の友人の人形技師に至急来るように伝えてくれと、それまでこの家に誰も近付けてはいけないと
そして数日が経った晩に人形技師が集落に訪れ、僧侶と話し、宗介の家に入って行きました
明くる日の朝二人は家から出てきました、4つの桐箱と共に

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