実話怪談

実話怪談・ルームクリーニングの依頼

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便利屋トシちゃんから聞いたお話です。
つい先日、トシちゃんの元にこんな依頼が入りました。

「老人が孤独死した物件なんだけど、特に腐乱してた訳でもないし部屋は綺麗な状態だから、普通にルームクリーニングしてくれないか」

依頼してきたのはトシちゃんの古い友人から紹介された動産屋さんで、断ることもできずトシちゃんはその部屋へ行って見積もりをすることにした。
約束の時間の少し前にアパートに到着したトシちゃん。
部屋の前にはすでに不動産屋さんが待っていて、トシちゃんが挨拶をすると部屋のドアを開けてくれた。
その不動産屋さんは定年間近といった感じの中年男性で、白いシャツにスラックスというラフな服装をしていました。
トシちゃんが挨拶をしてもチラッと目を向けただけで愛想のない感じ。
黙ってドアを開けて部屋へ入っていくので、トシちゃんも靴を脱いで部屋の中へ。
一見した限りでは部屋は普通に綺麗な状態で、家具は全て片付けられていました。
老人が孤独死していたと聞いていたトシちゃんは部屋の様子に一安心。

不動産屋さんがぶっきらぼうに説明してくれます。
「死んでそれほど立たないうちに家族が訪ねてきてね、部屋を汚す前に見つけてくれたんだ。だから綺麗なままだろ?」
そうなんですねーと相槌を打ちつつ部屋の中を見て回ります。
その時トシちゃん、ふとある場所が気になった。
この部屋で布団を敷くとしたらこの辺だよねというスペース。
「この辺で亡くなってたんですかね」
と質問のような確認のようなことを聞いてみました。
「そうだよ」とぶっきらぼうな返事。

お風呂場を見せてもらうと、浴槽がかなり汚れていたそうです。
水垢だらけでカビも生えている。
「お風呂かなり汚いですけど、風呂入ってなかったんですかね」
これを掃除するのかと文句を言いたい気持ちになって、軽い嫌味のつもりで不動産屋さんに聞いてみた。
「シャワーだけかな……毎日じゃねえけど」
へえ、この不動産屋さん、お客の生活サイクルまで知ってるのか。
もしかして仲が良かったのかな?
と思ってたら玄関が勢いよく開いた音がした。

「すいません遅れました!」

と言いながら部屋に入ってきたのは若いスーツの男性。
「トシさんですよね?どうやって部屋に入ったんですか?」
と不思議そうに尋ねてきたそうです。
「え?いや普通に開けてもらいましたよ?そこのオジサンに……」
と不動産屋さんを探すもどこにもいない。
その時、トシちゃんの背中に寒いものが走った。
続いてゾクゾク~っと全身に鳥肌が立ったそうです。

「やこうさんさ、俺がずっと話してたのって誰だと思う?」
「……部屋で亡くなった住人……とか?」
フウ~とため息をついてからトシちゃんが言いました。
「だよねえ」
結局その後、その場で経験したことをスーツの青年に伝えて、依頼も断ったそうです。
つい先日トシちゃんの身に起きた、怖い体験談でした。

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やこう

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