実話怪談

実話怪談・呪いのバイク

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便利屋トシちゃんから聞いたお話です。
夜行列車ブログにご連絡いただき、お会いして取材してきました。

その昔、ビッグスクーターを中古で購入したトシちゃん。
気分良く乗り回していたのですが、3回ほど死にかけたことがありました。

1回目は片側二車線で交通量の多い大きな道路の右側車線を走っていた時のこと。
大きな交差点に差し掛かったところで突然エンジンが止まったそうです。
ビッグスクーターでエンストなんて簡単には起きません。
明らかな異常事態。
なんとか転ばないように停止したわけですが、後ろから凄まじいクラクションと共に後続車が迫ってきます。
法定速度+αで走行していて急に止まればそうなります。
後続車が急ブレーキをかけるガリガリという音が聞こえました。
死ぬ!と思って硬直したままトシちゃんは呆然と後ろを見ていたそうです。
間一髪、後続車はトシちゃんのすぐ横50センチのところを猛スピードで避けて行きました。
他の後続車はゆっくりと余裕を持って避けてくれました。
信号が変わって車の流れが途絶え、バイクを押して歩道の方まで運びました。

なんとはなしにエンジンスタートのボタンを押してみたらプルーン!と勢いよくエンジンがかかりました。
またいきなり止まってはたまらないので、しばらくエンジンを吹かしたり停止して再始動させたり、バイクの状態を確かめてから超ゆっくりの安全運転で自宅まで帰ったそうです。
しばらくしてバイクの調子を疑わなくなってきた頃、片側二車線の道路の左側車線を走っていたそうです。
トシちゃんの右斜め後方を走っていたワンボックスカーが、トシちゃんのバイク後方から突っ込む形で左折してきました。
後輪のあたりを引っかけられたトシちゃんは、訳もわからずバイクごと転倒。
そこでようやくトシちゃんに気づいたワンボックスカーは停止。
運転手が真っ青な顔で降りてきたそうです。
転倒したものの大きな怪我を負わずに済んだトシちゃんは怒り心頭で運転手さんに食ってかかりました。
「ありえない!前を見て運転していないのか!」
と怒鳴ったそうです。
すると運転手さんは「しっかり前を見ていた。左折のための目視もしていた。それなのにすぐ目の前にいたはずのあなたのことが見えなかった」と言ったそうです。
ビッグスクーターはかなり大きいので、死角に入りでもしない限り見落とすには無理があります。
ワンボックスカーのやや左前を走っていたトシちゃんを見落とすはずがありません。
それでも見えなかったと。
これが2回目です。

3回目は緩やかなカーブに差し掛かったときの単独事故。
うららかな日差しが気持ち良い日。
田舎の川沿いの道をゆったりと走行していて、前方の道が大きく右側にカーブしているのが見えました。
アクセルを緩めてスピードを落とし、右側にカーブしていくために車体を右側に傾けました。
バイクの教習所で習うことですが、バイクはハンドルだけで曲がる乗り物ではなく、車体を適切に傾けることで進行方向を調整します。
そんな当たり前の動作を意識せずに行いました。
いつも通り車体の傾きに合わせて右側へカーブしていくはずでした。
ところがバイクは右側に進むことなく直進します。
明らかに傾いているはずなのに、むしろ左側へ引き寄せられているように道路の中心からズレていきます。
車道の両脇には白いガードレールが設置されていて、道がカーブするにつれてガードレールが迫ってきます。
引っ張られている。
そう感じたトシちゃんはアクセルを完全に戻してブレーキをかけました。
にもかかわらずバイクのスピードは落ちることなく、車体の傾きを無視して左側へと引っ張られていきます。
目の前までガードレールが迫ったのが見えてトシちゃんは死を覚悟したそうです。
混乱する頭でいよいよダメだと思ったその時、グンと大きな力でよりいっそう左側に引っ張られたそうです。
その結果、左側に並んで設置されていたガードレールとガードレールの隙間をバイクが駆け抜ける形で通り過ぎました。
僅か1メートルほどの隙間をガードレールに接触することなく通り抜け、その向こうの川に続く土手を滑り落ちて行きました。
土手を滑り落ちる際にバイクは転倒し、トシちゃんは投げ出される形で川の手前に倒れました。
バイクはさらに数メートル先で転倒していたそうです。
体が震えていました。
先ほどのありえない現象。
右側へカーブするよう走行したのに左側へ引き寄せられていた。
アクセルを戻してもブレーキをかけてもスピードが落ちることはなかった。
最後の最後で思い切り引っ張られてガードレールの隙間を通り抜けることができた。
トシちゃんはその時、「バイクが俺を殺そうとしている」と感じたそうです。
そして最後の最後に大きく引っ張ってくれたあの力は、バイクから俺を助けてくれたんだ、と思いました。
トシちゃんから聞いたお話は他にもあって、幼い頃に亡くなったお祖母さんとのエピソードがいくつかあります。
トシちゃんはこの事故にあった時、「婆ちゃんが助けてくれた」と感じたそうです。
3回も死にかけ、3回目に「バイクが俺を殺そうとしている」と気づいたトシちゃんは、翌日さっそくバイクを売るために中古車販売の業者さんに来てもらいました。
バイクの状態を確認して、その場で買い取りの値段を決めてくれるのですが、その時に業者さんがこう言ったそうです。
「不動車ですね。何年くらい放置してあったんですか?これじゃあむしろ廃車のお金をいただきたいくらいです」
トシちゃんは反論しました。
昨日まで乗っていたと。
普通にエンジンかかるよと。
業者さんは半笑いで「ありえない」というのみ。
まるで動く状態じゃない。
これで走ったとしたら奇跡ですよと。
実際にその場でエンジンをかけようとしましたが、何度スタートボタンを押してもエンジンが始動することはありませんでした。
結局、タダで引き取ってもらえるだけでもラッキーということで、その場でバイクを手放しました。

その後に購入したバイクは快調そのもので全く危険な目には遭っていないそうです。
バイクに限らず中古車にまつわる怪談は後を立ちませんが、皆様も中古車を購入される際は充分にお気をつけください。
その中古車は何かの目的があって皆様の前に現れるのかもしれません。

  • この記事を書いた人

やこう

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