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山に入れなくなった話【朗読用】 第1話
子供の頃、俺・前田浩二まえだこうじは山で遭難したことがあった。 俺の地元は結構な田舎で小学校は人数が少なく、同学年は2、3人しかいない。 1~6年生全て合わせても20人ちょっとという有様で、それなりの ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第2話
高校を卒業した俺は大学に進学せず映像系の専門学校に進んだ。 その学校の卒業生が立ち上げた代々木の小さな映像制作会社に就職したのだが、この選択がまずかった。 なんせ零細企業のため人がいない。 社長を含め ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第3話
暮れ始めた街はまだ明るく少し不安が薄れるが、漠然とした焦りのような感覚が足を動かす。 仕事をしすぎたせいか肩が少し重い。 揉みほぐしマッサージに行こうか。 渋谷に着いてもやることなんかなくて、あちこち ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第4話
「わかりました。ちょっと待っててくださいね」 そう言って看護師・斎藤さいとうさんは部屋を出て行った。 あたりは静まり返っている。 カーテンの隙間から窓が見えて目をそらす。 いるのか? 何が? あの映像 ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第5話
笠根かさねさんと別れたあと、俺は夜間出入り口から病院内に入った。 病棟まで戻ると斎藤さんが俺を見つけて近寄ってきた。 「どうでしたか?」 心配そうに聞いてくる。 優しい人だ本当に。 「おかげさまでなん ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第6話
忙しげに準備をする笠根かさねさんとタッキーを見ながら俺は応接ソファに体を預けている。 頼もしい気持ちと共に不安が押し寄せてくる。 いきなりバトル、とはすぐに除霊を行うということだろう。 あの映像のよう ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第7話
目を覚ますと俺はまた病院にいた。 あの時と同じ病院のようだ。 病室に入ってきた斎藤さいとうさんが、俺の意識があるのを見て怯えた顔をしたあと、ベッドの側に来て「よかった……今、先生を呼んで来ますね」と言 ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第8話
俺が目を覚ましたのは除霊の翌日だったらしい。 点滴がされていなかったのは、ただ単に眠っていただけだったからだ。 伊賀野いがのトク子に続いて娘の和美かずみもやられた。 もう伊賀野庵いがのあんは無くなるか ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第9話
夕方まであてどもなく渋谷の街を歩いた。 腹が減ったらファーストフードで飯を食い、店から出たらまた歩き続けた。 途中何度も木崎美佳きざきみかの姿をしたモノがちょっかいをかけてきた。 背中の後ろで気味悪く ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第10話
時刻は23時になろうとしている。 周りは暗く人の気配はない。 昼間は賑わっているであろう土産物屋も全て閉まっている。 高尾山の山道入り口まで車で入り込み、高尾山薬王院たかおさんやくおういんという石碑が ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第11話
振り返ってみれば一連の怪現象に悩まされたのはたった四日間の出来事だった。 あのビデオ編集の仕事をした日から数えると結構な日数になるのだが、伊賀野トク子の死を知り、寺社を巡って御守りやお札を集め始めたの ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第12話
《月刊OH!カルト》編集者 篠宮水無月みなづき ライターさんが差し出した名刺にはそう印刷されていた。 クソみたいな名前の雑誌だなと思いつつ軽く談笑する。 この手のオカルト系雑誌は今まで積極的に避けてき ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第13話
結果が出たのは篠宮さんが初めて来社してから一週間ほど経ってからだった。 この一週間でほとんどわかったというのだからライターというのは大したものだ。 最初にわかったのはアレの正体だった。 「まずはアレの ...
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山に入れなくなった話【朗読用】 第14話
「ウチの母に事の顛末を説明して、それで例の神様についてどう思うかを聞いてみたんです。なので私の考察というよりは母の考察ですね。私を通してウチの神様もある程度は事情をわかってくれてるはずですから、その神 ...